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10億円の愛人契約、サイン会も大盛況...中国で荒稼ぎするAV業界人のたくましさ

TABLO / 2015年9月10日 19時0分

10億円の愛人契約、サイン会も大盛況...中国で荒稼ぎするAV業界人のたくましさ

 違法アップロードや購買層の減少などにより、衰退の一途を辿っている現在のAV業界。たかだか10年ほど前は、1万本を超えねばヒットとは看做されず、大手メーカーを背負って立つ有名監督ともなれば、新作の売り上げが1万本未満だった場合は責任問題になり兼ねないほどだった。それが恐ろしいまでの急降下である。

 具体例を出すならば、私が約10年前に在籍していたドグマという有名メーカーなど、看板監督のTOHJIROや二村ヒトシ(当時)の新作が数千本程度しか売れなかった際に、上層部が集まって「なぜあの作品が売れなかったのか理由を考えろ」と、監督を囲んで自己啓発セミナーかと言いたくなるようなシビアな反省会を開いていた。今や数千本売れたらメガヒットを名乗って良い結果なのだが、当時の一流メーカーでは "汚点" 扱いだったのだ。私など新作の注文が50本程度しか入らない超弱小メーカーから移籍したので、当時のドグマの売れっぷりは同じ業界とは思えず、これが一流メーカーなのかと驚愕したものだ。

 そんなAV業界がどうして衰退したかは様々な人間が解説しているが、冒頭に書いたように最大の要因は「新作が次々と違法アップロード(ファイル共有含む)されてしまう」事と、それを「簡単に日本人が見られてしまう」という状況にある。これが数年前ならば、お気に入りのメーカー・女優への愛着や義理から「ちゃんと買い支えよう」という気持ちのあるAVユーザーが多かったのだが、違法アップロードされたAVを視聴しても特にリスクがないと広まるにつれ、次第に「AVなんかタダで見るのが当たり前」と考える人間が増えてしまった。ここまで言うと暴論めいているが「AVを金出して買うヤツは物好き」「地下アイドルに金を注ぎ込んでる人種と変わらない」という考え方すらあるのが現状なのだ。

 ちなみに、AV業界の知財協がFC2を訴えた裁判では、被害額を調べ上げて "数億円" という結論を出していたので、FC2以外からの被害まで含めたら、業界全体で2桁億規模の被害を受けているという計算になる。皆が「ちょっとだけならいいだろう」を繰り返した結果、そこまでの数字になってしまったのだ(ただし、違法ダウンロード被害件数の中には海外からの接続者も含まれているので、国内からの被害のみに絞るなら2割程度は引いて考える必要がある)。

●日本の市場は"カタログ"程度、実収入は中国で

 さて、こうした法によるガードが間に合わない酷い状況の中で、考え方を変えて荒稼ぎを始めたAV業界人がいる。それが今回の本題なのだが、彼らはすでに日本の市場を "カタログ" 程度にしか考えていない。

 どういう事かと言うと、日本の流通にAVを流しても、買ってくれる人間は僅かしかいない。それどころか、発売日にtorrentや動画サイトに流されてしまう。これをマイナスに考えるのではなく、その中から金に替えられるポイントを見つけ出そうという発想をしたのだ。例えばAVやエロマンガに中国語のタイトルを付けられたり翻訳されたりしてアップロードされた場合、その作品の存在が中国に広まったと考えられる。それを、いわば海外への広告宣伝という位置付けで考えたのだ。折しも中国では何年も前から日本人AV女優のブームが起きており、かの地ではちょっとしたアイドル・有名人扱いを受けられる。蒼井そらなどが代表格だが、彼女レベルまで行かなくても、飛行機代と宿泊代込みプラス数十万円程度のギャラで良ければ、いくらでもイベント需要がある状況なのだ。「じゃあそこで取り返せばいいじゃん」という発想なのである。

 中には水咲ローラのように、(失礼ながら)国内で旬の過ぎたAV女優が活動拠点を中国に移してそこそこ名を売った結果、大富豪と15年10億円の愛人契約を結んだなどというニュースがあったほどで、そこまで大きな話ではなくとも似たようなケースが色々とある。悪い言葉を使うなら、中国人相手の女衒手法が定着しつつあるのだ。

 また、中には日本人AV女優の偽物まで出現しており、私が一緒に番組をやっている横山美雪(AV引退済)など聞いたこともない "妹" が現れた。横山雪子という女性で、彼女は横山美雪の妹を名乗って活動しているのだが、そもそも横山美雪という名前は芸名なのが気にかかるところである。しかもこの女性、雪子と名乗って活動しているのは中国でも都会に限り、少し田舎に行くと情弱が多かろうという判断なのか、堂々と「私が横山美雪です」と名乗っていた。天然物なのに超正統派美女の横山美雪に比べ、似ても似つかない風貌かつ、太ももに巨大な刺青がガッツリ入っているような子なのだが、いくら中国の田舎のひとが情報を知らなかったとしても、かなり無理があるやり方である。

 そんなプチパニック状態の日本人AV女優ブームに乗り、有名AV女優を中心にサイン会や握手会、果てにはカジノディーラーなど、様々な形で出稼ぎしているのだが、これが国内相場よりも高い金額なのに大勢の客が押し寄せている。日本のAVショップなどで参加費1万円のサイン会など開いても、高すぎて不満の声が挙がるだけだと思われるが、中国ではそれプラス物販という価格設定でも、平気で100人以上は集められてしまうのだ。広い中国大陸なのだから、都会を中心にドサ回りすれば、1回の渡航でそれなりの金額になるだろう。中国経済はすでに下火になっており、崩壊などという言葉が使われるほどだが、それでも日本国内とは比較にならない数字が叩けている。裏を返せば、今までどれだけ日本のAV女優の情報(違法アップロード含む) がばら撒かれていたのだろうという話なのだが......。

 商売人からすれば、今の日本人は口うるさいだけで金を使ってくれないどうでもいい客が多く、日本ブランドが通用する海外にこそ、実収入になる良いお客様がいるという発想になってしまっており、これは裸商売に限った話とも言えない危険な兆候である。

 一昔前は、韓国やフィリピンなど、日本に出稼ぎ売春しに来る女性の多い国を下に見る風潮があったが、これから先は日本人も決して近隣国を笑えない状況になるかもしれない。貧すれば鈍するの言葉通り、国内の健全な商売や、何より人々の生活が守られなければ、その流れは止められない。国が壊れる時、まず富裕層が財産を守りに入り、続いて食うためにモラルだのキレイだの言っていられない人々が食い扶持の確保に動き出す。このまま国内の経済混乱や弱者切り捨てが続けば、海外へ出稼ぎしているAV女優達を「一部の恥知らずな売女や女衒が日本のイメージを汚している」などとは言えなくなる未来が近くやって来るだろう。

Written by 荒井禎雄

Photo by andresdavid90

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