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「秋葉原には児童ポルノや児童買春が溢れている」というデマを弁護士らが流すワケ

TABLO / 2015年11月4日 13時20分

「秋葉原には児童ポルノや児童買春が溢れている」というデマを弁護士らが流すワケ

 国連から派遣された特別報告者であるブキッキオ氏の来日に合わせ、懲りずにいつもの方々が 「日本は児童ポルノ大国で児童買春も行われていて~」 と大騒ぎをしている。それどころか、ブキッキオ氏に直接接触した議員らの報告によると、前もって氏に偏った情報を吹き込んでいた連中がいるようで、ブキッキオ氏はそうしたデマを信じ込んだ状態で来日した可能性が高いとのこと。

 ではそのデマを吹き込んだ連中とは誰なのかという点に興味が湧くが、それについては「とある女性活動家」の存在までは行き着いているものの、具体的に尻尾を捕まえている訳ではないため、これ以上の犯人探しには "国連に対する日本としての正式な抗議" のひとつもない限りは難しいだろう。

法に定められた"児童ポルノの定義"を無視してデマを拡散

 さて、今回の本題は「秋葉原は児童ポルノや児童買春が」というデマについてなのだが、これは簡単な反論で斬って捨てる事が可能だ。 もしその手の主張をしている連中が、本当に秋葉原が児童ポルノや児童買春で溢れている様子を目撃したというならば、なぜその場で警察を呼ばなかったのか。

 今や "児童ポルノ" とは犯罪を指す単語である。その定義は法律で(不備はあるものの)定められており、その範疇に含まれない物を児童ポルノ呼ばわりする行為は、相手が個人であれば名誉毀損だし、企業などであれば信用毀損であろう。ではここで伊藤和子弁護士のTwitterでの発言をお読みいただきたい。

「秋葉原の街は未だに、児童ポルノと児童買春にあふれています。警察はなぜあからさまな児童ポルノを野放しにしているのか疑問。国連から厳しい報告書を出してもらうよう、明日はしっかりプレゼンするつもりです♪」(http://togetter.com/li/892957)

 仮にも法の番人である弁護士という立場の人間が発する言葉であれば、法律に定義された児童ポルノや児童買春を、その目で見たのであろう。では、上に書いたように、なぜ伊藤氏は警察に通報せず、わざわざ 「国連にプレゼンします」 などと遠回りな事をやっているのか。 国民の義務として、そのような違法行為を目撃したのであれば、とっとと通報すべきではないのか。

 秋葉原に限らず、大きな街には、探せばアンダーグラウンドな店にヤクザ者のシノギであろう児童ポルノがあるかもしれない。 こっそりと未成年者が売春しているのかもしれない。 だが、それらは重大な犯罪行為なのだから、一般人にもぱっと見て解るような形で "そこにある" 訳がない。 そのあるはずがない物を伊藤弁護士は見つけ出した、証拠があるとまで言うのだから、彼女には警察に通報する義務がある。 その義務も果たさずに正義漢ぶって 「国連に~」 ではまったく意味不明だ。

 とはいえ、彼女にそれが出来ない理由はハッキリしている。 「そんな事実はない」 からだ。 この手の輩は法に定められた児童ポルノの定義を無視し、児童ポルノではない物(合法) を児童ポルノ(違法) 呼ばわりするというデマを飛ばしている。

・児童ポルノには、マンガ・アニメ・ゲームは含まない

・JKリフレ系の店は児童買春にはあたらない

・アキバでビラ配りしているメイド服姿の女性達は児童ではない(イベント的に未成年者のアイドルがビラ配りしている場合などは除く)

 この基本中の基本である3点を理解していれば、伊藤弁護士のように 「秋葉原は児童ポルノの街」 とは口が裂けても言えないはずだ。

 AVからジュニアアイドルの業界まで 「現場で知っている」 私の個人的な意見を述べさせていただくが、JKリフレのような店は、児童買春やよりえげつないセックスワークへの入り口になり兼ねないので、早急に規制する手段を講じるべきだし、店の経営者達を労基法違反程度でしか裁けない現状、ないしは鉄砲玉のようにバイト店長だけ逮捕されて終了という状況は改善せねばならないと考えている。 また、厳密に解釈すれば児童ポルノに含まれないとおかしいジュニアアイドルの着エロDVDなども、同様に規制する手立てを講じねばならないだろう。

 だが、あれだけ大騒ぎしたにもかかわらず、改正児童ポルノ法はこれらを満足に摘発する事も、またそうしたグレーゾーンがあるお陰で人生を壊してしまう子供達を守る事もできない、とんでもない欠陥法なのだ。 そういう意味で、児ポ法に問題がある事は事実である。

 しかし、そうは言っても法は法である。 現行の児童ポルノ法で児童ポルノの括りから外れている物を児童ポルノ呼ばわりする行為は、無実の一般市民に対して突然 「アイツは人殺しだ」 と罵るも同然の暴言なのだから、仮にも弁護士という肩書きを持つ人間がやっていい事ではない。 もし気に入らないというのであれば、まずはそうしたグレーな物を児童ポルノに含めるよう運動を起こすべきであって、現段階で 「ほら児童ポルノだ!」 と言ってしまうのは順序が違いすぎる。

 最後に、彼女らが口にする "児童ポルノ" とは何を指しているのか、より具体的に考えてみよう。 とはいえこれも答えは簡単だ。 ようは彼・彼女らにとって好ましくない物、嫌悪感を感じる物が児童ポルノなのである。 だから伊藤弁護士のような人間の主張を正しく翻訳するとこうなる。

「秋葉原には、今でも私が嫌悪感を感じるマンガやアニメやアイドルのDVDが溢れている。 私にとって目障りなメイドカフェの店員らがビラを配る姿も目に入る。 だから早くこれらを児童ポルノや児童買春という事にしてしまって、この世から消し去りたい」

 こうでも解釈しなければ、存在しない児童ポルノを相手に大立ち回りをしている伊藤弁護士らの言動が理解できない。 もし解釈が違うというのであれば、ぜひ正しい答えを教えていただきたい。

「今の秋葉原には児童ポルノなどなく、また児童買春も見られず、代わりに女性経験のなさそうなオタクをピンポイントで狙う新手の美人局や、背後にカルト宗教がいそうな勧誘の類が溢れています♪」 と、秋葉原の隣町に住んでいる私が言っておく。

Written by 荒井禎雄

Photo by B_Me

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