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【美濃加茂市ポスター騒動】地元民の努力を否定する"総会屋的手口"の是非を問う

TABLO / 2015年12月10日 12時15分

【美濃加茂市ポスター騒動】地元民の努力を否定する"総会屋的手口"の是非を問う

 美濃加茂市の観光ポスターが「性的だ!」と非難を受けた騒動で、美濃加茂市の観光協会は駅前など特に人目に付く場所からポスターを撤去した。この話題は地上波のニュース番組などにも取り上げられ、良くも悪くも美濃加茂市という無名な地方都市の名前があちこちに露出する事となった。

●「のうりん」とのコラボでリピーターを呼び込んでいた観光協会

 市の観光協会によると、のうりんとのコラボは過去に何度も行われており、スタンプラリーに関しては昨年の9月に第1回が行われた。 2014年9月~10月(第一期)、2014年11月~12月(第二期)、2015年1月~2月(第三期)と続き、第四期は行楽シーズンを待ち、11月7日~1月31日までの3ヶ月間行われる予定。アニメの制作チームと協力し、毎回景品を変えるなどし、リピーターを呼び込んでいたそうで、ポスターにはアニメの登場人物を順番に登場させていた。

 また、ポスターのサイズも探さねば目に入らないようなごく小さい物で、あくまで外から訪れたアニメファンが迷わぬような目印になればいいという程度の物だったという。電話応対してくださった担当者によると、批判を受けたポスターは撤去し、絵柄を変えるなどしてスタンプラリーを継続する方針だという。

◇◇◇CM◇◇◇

 美濃加茂市は今がまさに旬という名品がある。その代表的な物は、1300年もの間製法を変えていないという 『堂上蜂屋柿』 だ。 これは朝廷に献上されていたほどの逸品で、ミラノ万博にも日本の食の遺産として出品され、海外でも絶賛の声が上がった。

 この 『堂上蜂屋柿』 は殆どの工程が手作業となるため生産数が少なく、美濃加茂市に行けば必ず買えるという物ではない。確実に入手したい場合は、12月1日からJAで予約が始まっているので、それを利用すべきだろう。

 金額は3個で2,400円程度の物から、高い物でも1個2~3,000円という価格帯。歴史を考えれば1個800円程度で口に出来るというのは嬉しいところ。 お高い方は贈答用として購入する事をオススメする。

◇◇◇CM◇◇◇

 さて、この騒動で残念に思ったのは、「さすがにエロ過ぎでは?」「何もよりによってあんな絵柄にしなくても」といったゾーニング問題として批判する声の他に、観光PRでアニメとコラボした事そのものを否定し、さらに酷いものになると、美濃加茂市自体を侮辱する声まで挙がったことだ。

 また今回のポスター撤去の報を受け、それまで美濃加茂市を庇う立場だった人間からも「なぜ退いた」「見損なった」といった声が挙がり、個人的には何よりそちらの方にショックを受けてしまった。

 現在、地方の市町村は厳しい状況に置かれており、どこも必死に知恵を絞って努力を続けている。のうりんとのコラボは、そうした地元民の努力やアイデアが形になって始まり、また継続されて来たものである。そのような試みを否定・非難するのであれば、より効果的なPR方法を提示するのが筋だろう。それを代案を提示する事もなく、上から目線で「もっとキレイな手段があるだろう、それが何かはお前達が探せ」などと非難するとは、誰にそんな権利があるというのか。末端の人々の生活も考えず、自らの嗜好・嫌悪感・政治的主張を優先するなどあってはならない事だ。

 しかし、ポスター撤去の際に美濃加茂市を非難した人々も、また同類と言うよりない。こうした騒動が起きた場合に、最も割を食うのは観光協会の担当者であったり、コラボに協力したお店の店員などである。ネット上で「負けずに頑張ってください」といくら声を挙げたところで、実作業にあたる人間にとっては何の応援にもならない。「ではアナタは美濃加茂市に赴いて電話番を代わるなどする覚悟があったのか」と言いたい。そこまで腹を括れた人間がいるならば、残念がるのも無理はないと思うが、そうでないなら観光協会の対応を口汚く罵るのは無責任が過ぎる。

 ただし、エロ表現とゾーニングの問題については迂闊に突っぱねてはいけない。エロ業界に籍を置いていた人間として、そこでヘタを打つと一気に法制化へ向かいかねないので、そうした意見にだけはなるべく耳を傾けるべきだと忠告させていただく。 自主規制や自粛でどうにかなるだけ、まだ状況はマシだと考えるよりないのだ。(ただしこれについては後に補足する)

◇◇◇CM◇◇◇

『美濃加茂焼きそば』の最大の特徴はソースが後がけであること。 麺は食べ応えのある中太麺を使用し、塩胡椒や魚粉でシンプルな味付けの塩焼きそばを作る。それを客に提供する際にソースを別添えし、お好みで味を変えて食べて貰うというスタイルだ。

 具材や味付けについては特に難しい規定はないのだが、それは『美濃加茂焼きそば復刻会』の最大の目標が味の継承ではないため。 目指すところは「あの頃の地元の賑わいを取り戻そう」であり、『福寿堂の焼きそば』は地元の方々の共通する思い出だったためシンボル化されたようだ。

 ベースとなる作り方は公式サイトで紹介されており、家庭でも作れるレシピなので、美濃加茂市民の郷土愛を感じながらいただこう。

◇◇◇CM◇◇◇

 碧志摩メグ騒動といい、今回ののうりんコラボといい、その土地の発展になんら寄与しない人間の声があまりに大きかった点が共通している。さらに碧志摩メグ騒動の際は「私達に倫理団体を作らせろ」という声まであり、それはもはや総会屋の手口である。

 だが、相手が総会屋であれば国家権力に助けを求める事もできるが、萌え絵を潰して回っている連中は厳密に言えば総会屋ではない。 あくまで手口の一部を真似ているだけというのが厄介なところで、大企業を狙う総会屋と違い、役場の担当者や店の店員といった弱い立場の人間を疲弊させ、結果的に萎縮させられればいいという点も卑劣極まりない。

 これは例えるならばクジラ漁に難癖をつけて地元民・地元漁師に多大な迷惑をかけている海外の抗議団体と同類で、そうした活動を国内法でピンポイントに取り締まれる状況にないのが難点なのだ。かといって、何か新法を作ろうにもその他の国民の権利を侵害しかねないため、それもまた難しい。事は素人が独自の判断でどうこう出来るレベルではないため、何か対抗手段を講じるとするならば、いざという際の相談窓口になる団体(いわゆる倫理団体・審査団体など)を設ける事くらいしかない。

◇◇◇CM◇◇◇

 太田宿は、木曽の渡しが中山道の三大難所のひとつとされ、増水によって頻繁に川止めされてしまう事から、宿場としての機能が充実したようだ。 皇女和宮が嫁ぐ際に中山道ルートが選ばれたため、太田宿の本陣に宿泊したという記録が残されている。

 昭和30年代の里山の風景を再現した日本昭和村には、日本人が手を合わせて力強く生き抜いた戦後復興期への想いが込められているという。

 施設内には岐阜県内の野菜がバイキング形式で食べられる場所や、地元のコシヒカリを使った団子などを提供する茶店、棚田や畑の風景を見ながらくつろげる蕎麦屋などもあり、さらに築100年を超える民家で自家製のどぶろくが呑める。 他にもキャンプ施設や動物と触れ合える牧場、様々な体験教室もあり、散策に疲れたら銭湯もあるので、家族連れでのんびり楽しむのに最適の場所と言えるだろう。

◇◇◇CM◇◇◇

 まるで総会屋のような手口で暴れまわる連中をどうにかしなければならないのは当然としても、美濃加茂市のケースのように表現規制反対派からも罵られるようでは、末端の人間が疲弊し「アニメや萌え絵を使うのは面倒臭いから止めよう」と思われてしまう。結果的に萎縮を招いては、敵に塩を送っただけで終わってしまい、元も子もない。

 そうした圧力に対し、何か盾になってあげられるような団体を作るにしても、それを実現するには時間がかかる。よって「ではその間をどう耐え抜くのか」という点をもう少し考えるべきであろう。

 先ほど「自粛・自主規制もやむなし」と述べたが、その理由は、現時点で今回のような騒動が起きた場合に、コレという頼れる先が存在しないからだ。したがって、自粛してやり過ごすのは、そうした窓口が作られるまで、ないしはより効果的な対処法が確立されるまでの時間稼ぎという事になる。終わらない自粛では、法制化されて違法とされたも同然なのだから意味がない。

 それでもこうした及び腰な考え方に納得行かないという方は、もっと即効性があり、今後も起きるであろう類似ケースに適用でき、末端で作業にあたる人間が干上がらずに済む良い案を、ぜひご教授願いたい。

 最後に、今回この記事をこのような読みづらい構成にした理由は、おそらく言わんでも解っていただけるものと信じている。現在の貧困大国日本を考えた場合に、そしてそんな国に生きる人々の営みを考えた場合に、【◇◇◇CM◇◇◇】で区切った箇所と、それ以外と、どちらが大切な情報だろうか。

 総会屋的手口に対する対処法を今すぐ具体化するのは難しくとも、市町村なり企業なりに「クレームと戦ってみようかな」と思いとどまって貰える手段はいくつかある。その中で最も効果が高いのは "買って応援" だ。金にもならない上にクレーム処理で人手が潰されるのでは何のメリットもなく、だったら萌え絵のようなクレーマーに餌を与える表現手段は止めようとなってしまう。それを回避したいのであれば、せめてお金を落として、その成果を見て当事者に判断させるよりない。

 観光協会によると、美濃加茂市は干し柿に適している土地だけあり、雪はそれほど降らないので、暑さ寒さ対策だけ気をつければ通年楽しめるそうだ。1泊程度でもあちこち回れそうなので、近く遊びに行ってみようと思う。

Written by 荒井禎雄

Photo by 美濃加茂市観光協会ポスター

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