元ジャニーズ・平本淳也が見た"SMAP解散騒動"と非情な人間ドラマ
TABLO / 2016年1月15日 18時0分
![元ジャニーズ・平本淳也が見た"SMAP解散騒動"と非情な人間ドラマ](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/knuckles/knuckles_2155_0-small.jpg)
芸能界史上、そしてジャニーズ事務所における最も大きい事件となるだろう今回の出来事。スポーツ紙の1面からなる「ジャニーズの大人事情」を、NHKをはじめとするテレビやラジオなどほぼすべてのメディアが報じたのもこれまでになかった。特に芸能スキャンダルに遠慮がちなNHKでさえもこの経緯を事実としてニュースで読み上げたのは驚きである。
■SMAP解散騒動は複雑な人間関係のもつれ?
ジャニーズ事務所における事件や事故に関する報道は、相当に気を遣うメディアにおいて、これまでワイドショーにおいても「宣伝」(プロモーション)に関係する以外はまず報じられることはなく、事務所本体やタレントの負となる材料には腫物のごとく扱うところ、今回の騒動に関してはその遠慮や配慮さえ見せずにいる。
また、それぞれの意見や取材による情報をもって知らせてはいるが、異口同音にキーワードとなっているのは「飯島さんの退社」と「木村以外の独立」というものだ。しかし、ここで少々疑問に思うのは「独立」という言葉である。多くのメディアはSMAPマネージャーの退社、退団、移籍というものではなく「独立」として扱うが確かなところはなく、今でも情報が錯綜としている。ただ飯島さんの退社とSMAPメンバーの独立の関係性は確実であり、偶然や無関係といったことはない。
木村拓哉(43)は事務所に残り、中居正広(43)、稲垣吾郎(42)、草彅剛(41)、香取慎吾(38)ら4人のメンバーの意思は「飯島さんが辞めるなら僕らも辞める」という意味には違いないだろうが、小規模のタレントならともかく、SMAPは国民的スターであり、業界トップのジャニーズ事務所の筆頭タレントという立場だ。そんな大人がマネージャーの人生に左右されることもないわけだが、今回の一件の背景には複雑な事情による様々な人間ドラマが繰り広げられている。
昨日の記事でも記したが、飯島さんがジャニーズを辞めるという事だけなら「それも人生」。解雇であっても「せいせいするわ」くらいの威勢だろうし、少し早い定年でご苦労様といった例えも不思議ではないが、逆に言えば「まだ58歳、更なる大きな旗を振って芸能界に軌跡を残してやる」という思いの長けも見えてくる。
飯島さんが独立して動くならと協力者は無数に存在する。業界のトップクラスから企業や政治家まで多岐に渡って多くの支援が得られるだろう。同時に中居をはじめとする国民的な知名度のSMAPメンバー4人もついてくるならば強力盤石であり、天下のジャニーズ事務所もそれを簡単には邪魔できない。世間で言われているように露骨な"干し"に出ていけば、むしろ悪者扱いとなって立場を追及されるかもしれない。また、事務所に残った木村に対しても「仲間を裏切った男」としてネガティブなイメージが植え付けれる可能性もゼロではない。
つまり天下のジャニーズでもやすやすと勝ち戦に持ち込める境遇ではないということに、大きな懸念が残されている。不透明な飯島さんの退社後と一緒に辞めると宣言したメンバーの動向はハッキリしないが、彼ら5人の動向は共同体として考えるのが妥当である。
であれば、単なる1人+メンバー4人の退社&独立ということでは済まず、ジャニー&メリー姉弟にとってもこの判断が良かったのかどうかの答えも簡単には見いだせないだろう。
1年前「SMAPを連れて出ていけ」と言い放ったメリーさんの言葉に忠実に従ってこのような行動に出たのなら、飯島さんは最後まで忠義の姿勢を貫いた立派な社員であり、マネージャーということになる。事実として大量に山積みされた残務を企業負担としてどう処理していくのだろうか、御歳90にもなるメリーさんにとっては、もしかしたら最後の大仕事になるのかもしれない。
■メリーさんに評価されないSMAPメンバーの心情とは?
今回のSMAP解散騒動は、長いジャニーズ歴史において決して歓迎できる出来事ではなく、事件の発端を作ってしまったメリーさんには分が良くない。そのとき言い放った「SMAPを連れて出ていけ」という言葉の中に「SMAPはいらない」の意味も含まれているということは、当のメンバーたちにおいては衝撃だったはずだ。
「俺たち、いらないみたいだよ」とか、「そんな言い方ってある?」という感情だろう。自分のおよび知らないところで会社のトップが自分たちを不必要だとし、正当な評価さえされていないと知ったメンバーの気持ちを察すれば、今回の退社意思にも頷ける。
言葉(口)は災いの元である。いくら権力者であっても人を傷つけたり罰したりする権利はない。木村を含むSMAPのメンバーは酷く傷つけられていた。メリーさんを恨んでいてもおかしくはない。境遇は違えど一般社会であれば、パワハラにも該当する行為である。
アイドルとはいえ40歳を前後する男たちの意思には選択の自由がある。将来を見据えた人生の選択にも希望を唱えた行動がうかがえる。ジャニーズでいなければいけない理由も、飯島氏のいないジャニーズに留まる理由もない。
僕にとって、ジャニーズ事務所は「ファミリー」であった。レッスン場にいつも笑顔で現れるはジャニーさんを父、そしてメリーさんを母とする家庭的で温かい環境だった。そんな僕の思い出とはほど遠い人間の冷たささえ感じる今回の騒動では、そのジャニーズがまさに無機質な企業体にしか感じられないことに寂しさを覚えてしまう。
Written by 平本淳也
Photo by Photo by rkramer62
Profile●ジャニーズ出身の実業家、作家、投資家。10歳でジャニーズ事務所から芸能界入り、30歳過ぎまでアイ ドルを続け、現在もテレビや雑誌で活躍を続けるなか、月間100万アクセスを獲るカリスマブロガーとしても知られる。22歳のときに物書きデビューして以来、34冊の書籍を発表。
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