元ジャニーズ・平本淳也が見た"SMAP解散騒動"四面楚歌の中居が進むべき道
TABLO / 2016年1月21日 17時0分
本来ならば相談できる父や母であったジャニーさんとメリーさん。飯島さんも(SMAPマネージャー/マネジメント室長)SMAPメンバーも30年の付き合いを経ていま敵対する間になるとは思いもしなかったであろう。
勝手な行動を取り、会社に対して損害を与えたという事からも、飯島さんには本来なら解雇が妥当なところを辞任・退社という形をとり、会社としても功労に相応しい処遇のもと「芸能界からの引退」を織り込んだ条件とした内容で決着させるだろう。簡単に言えば「ご苦労さん、二度と顔を見せるな」と事務的にあしらう格好だ。
これで一種の「脅威」を上手に収拾できる。大手プロで日本を代表するアイドルグループを仕切ってきた飯島さんクラスのマネージャーならば、そのコネクションも力も計り知れないところだ。ジャニーズにとっては無暗に敵として放り出したくないのが本音となる。SMAPのメンバーの処遇も話題となるが、飯島さんこそ「FAの大物」として扱われる稀にも見ない大きなチャンスでもある。他の大手芸能プロダクションは「飯島獲得」を目指したいが、ジャニーズサイドはこれを完全に遮断していくことだろう。
■"独立"のハシゴを外された中居が進むべき道
独立騒動の親と頭とそのキッカケ、つまり独立に関する「主」を失ってしまったSMAP"造反組"メンバー4人については、基本契約のもと9月(契約10月更新のため)まではジャニーズ事務所所属とし、グループも解散ではなくそのまま存続というのが妥当で、中居ら4人にとっては「時間的猶予」が作られた格好に過ぎず、改めて条件と処遇については、今後の活動において査定されるだろう。
SMAP関連の番組や制作物、広告など、関係各方面には説明や協議を行うにしても時間は必要で、互いに損失は被りたくないのが内情だ。これを回避するためにも時間の猶予は歓迎されるところで、その反面「Xデー」というものは残されるが、それが継続(容認)なのか、やはり解散(責任)となるかは時間の問題となる。
ただ、クーデターによる独立が失敗した今、移籍の情報や噂が取りざたされても、ジャニーズから出たタレントを引き取り、安定した活動を継続できる芸能プロダクションはほとんど見当たらず、ジャニーズに対抗しようと考える会社など皆無に等しい。それは、一部のメディアで中居の移籍先として名前の上がった吉本興業とて同じことだ。
東のジャニーズ、西の吉本と言われ芸能界の勢力図を大きく分ける二社ではあるが、エンターテインメントに長けた専門分野ではやはり、ジャニーズが相当の立場を有するわけで、テレビ番組での構成からキャスティングまで意見や希望を押し付けられるのもジャニーズならではのことだ。
吉本をはじめ「お笑い」を主としたプロダクションからすれば、活動範囲を侵攻して我が物顔にしてきたジャニーズを良くは思っていない。お笑いやバラエティといった吉本が握っていたテリトリーを侵すなという声が昔から少なくない。それでもジャニーズはテリトリーを広げ、司会業や冠番組を随分と勝ち取ってきた。その代表格がSMAPであり中居正広であるが、それもこれもジャニーズの傘の下にいて成立した話である。
中居ら4人が、独立や移籍という形でジャニーズを出ることになっても「当面の間」は何も出来ない。そういった場合は"条件"として数カ月、あるいは年を超える長い期間の「活動の自粛」が提示されることが普通である。継続して残る場合も同じく「自粛」や「減俸」があっても不思議ではない。
いずれにせよ、今回の騒動で「雨降って地固まる」ということはない。ハリケーンが残した傷跡は想像より遥かに深く刻まれたという結果になる。タレントはイメージが大切であることから、ジャニーズは内情はともかく外部世間に対しては今後、「温情采配」を印象付けていくことになるだろう。KAT-TUNの田中のような示しも必要ではあるが、国民的アイドルSMAPの場合は話が別だ。余計に簡単な答えは出しにくいわけだ。
出ていくも地獄、残るのも地獄......という四面楚歌の状況で、中居に道は残されていないのか。ジャニーズの先輩として僕が考える「あったら面白い路線」としては、中居の政界進出がある。欲しいものはすべて手に入れてきたジャニーズがまだ手中に収めていないのは、現役ジャニーズの国会議員だ。すでにジャニーズOBで地方議員というのは存在するが、国政への進出はまだである。かつては「ジャニーズのアイドルが紅白の司会?」と驚かれた時代もあった。そう考えたら、決して「ない話」ではない。
例えば中居が吉本入りすれば、参院選への出馬もあるのでは......とリアルな想像も可能となってくる。僕の知る限り中居は面倒なことはしたくない性格だし、そんな意思や希望もないのは分かっている。しかし、今回の騒動で、「力の論理」を誰よりも思い知ったのは中居だ。ジャニーズを追われるような立場になったら「生きる道」としての選択肢は残るだろう。
ジャニーズ事務所の力を持ってしても抑えきれない分野はもはや政界だけではないか。それを担えるとしたら、ジャニーズでは中居のほかには見当たらない。今回、全国生放送で謝罪させられた彼ら4人の選択肢は本来、無限にあるはずだ。僕のように、ジャニーズを辞めても生きていける。SMAPだけが人生ではないということを可愛い後輩たちには気付いてほしいものだ。
Written by 平本淳也
Profile●ジャニーズ出身の実業家、作家、投資家。10歳でジャニーズ事務所から芸能界入り、30歳過ぎまでアイ ドルを続け、現在もテレビや雑誌で活躍を続けるなか、月間100万アクセスを獲るカリスマブロガーとしても知られる。22歳のときに物書きデビューして以来、34冊の書籍を発表。
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