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女医タレントの逮捕で見えてきた"診療報酬詐欺"と闇社会の関係

TABLO / 2016年3月17日 18時5分

女医タレントの逮捕で見えてきた"診療報酬詐欺"と闇社会の関係

 警視庁は3月9日、指定暴力団住吉会系組長らによる「診療報酬詐取事件」で、患者の診療回数水増しなどで診療報酬を不正に受給していたとする詐欺容疑で、女医でタレントの脇坂英理子容疑者(37)を逮捕した。昨年11月に本サイトで執筆した「診療報酬詐欺」の記事で、その時にこのようなことを書いている。

「今回逮捕されているのは現在ではまだ16人であり、現状ではまだ捜査が続いている段階なので細かく書く事は出来ないが、年越しをする大事件である事は間違いない。現段階での逮捕者は16人だが、今後逮捕者は増えるはずである。第二弾ではそれらを逮捕する予定であり、それによっては第三弾、第四弾と逮捕者が出るはずである」(http://n-knuckles.com/street/underground/news002117.html)

 じつは組対四課は関係者のチャート図を作っていて、その中でまだまだ逮捕される人物の名前が挙がっていたので、今後逮捕者は増えるはずと書いたのだ。

■不正診療詐欺は闇社会では古典的な手法

 今回の逮捕者でいちばんの鍵を握ると目されているのが、昨年逮捕されている住吉会系三次団体組長三戸慶太朗被告であるが、より事件に重要な関わりがあると言われているのが、コンサルタント会社役員の早川和男被告である。

 早川被告が一連の診療費詐欺、療養費詐欺を組織的に考え、反社会勢力に回した張本人だという。元々、住吉会系の他組織の人間の下で金貸し等を行い企業舎弟的な位置にいた人物で、それらの手法を色々な組織に伝授して、大きなシノギにしていたのだ。

 不正診療詐欺は古典的な詐欺の一つである。交通事故などでむち打ち症になった等を詐病し、その手口は昔から行われてきたものだ。そのやり方で組織をまたぎ、巨額が動くものにしたのは前例がない。事件を振り返ってみよう。

 杉並区下井草の「杉並すこやか接骨院」の不正な療養費請求詐欺から端を発し、その後患者等が事情聴取され、第二弾の逮捕者が船橋市で歯科医を開業していた重松武容疑者である。重松容疑者は複数のルートから患者を紹介され、その歯科医院では暴力団員なども複数受診し、1億円以上を騙し取っていたという。

 直接の逮捕容疑は 逮捕容疑は23年夏から25年初頭まで、自身が経営する重松歯科医院で、実際は1~2回しか診療していない患者12人を多数回診療したように水増しして診療報酬を請求し、都内の自治体などから計約366万円の診療報酬をだまし取った疑いだ。この悪質さは、紹介された患者を一度は受診して、歯の状況を把握した上で、その後の治療に矛盾が無いようにカルテを偽造し、診療報酬を騙し取っていたところにある。

 その重松容疑者と同じ敷地内にクリニックを開設して、同じく金を騙し取っていたのが、最後の逮捕者と目されるタレントで医師の脇坂英理子容疑者である。一部で3月末逮捕、既に事情聴取済み、と書かれていたが、これは誤報である。人事異動の時期に有名人の逮捕は有り得ないし、逮捕する人間の事情聴取は普通行われない。行わなくても事件は明らかになっているからだ。

 脇坂容疑者の逮捕容疑は2012年年11月上旬から14年9月上旬、脇坂容疑者が院長だった千葉県船橋市と東京都目黒区のクリニックで、実際には行っていない治療をしたように装い、千葉県内と都内の8自治体から患者14人分の診療報酬計約155万円を騙し取った疑い。重松容疑者の受診した患者を自分の経営するクリニックに回してもらい、不正な請求を行っていた。

 組対四課が把握しているだけでも6900万円の不正な請求が明らかになっている、患者の大半は一度通院しただけだったが、脇坂容疑者らはその後も再診されていた様に、診療報酬明細書を偽造していた。患者は診療代金を支払わず、報酬を受け取った者もいたという。

 脇坂容疑者はお嬢様育ちであり、ストレートで医師免許を取得。その後結婚して、離婚。そしてホストにはまったという。父方の先祖は、豊臣秀吉の家臣だった戦国武将の脇坂安治と、公言していたが脇坂家16代当主の脇坂安知氏が、経営する会社のHPで関係を否定する等、どんどん嘘がめくれている。

 脇坂容疑者の過去のインタビューを見ると、初めは否定しているインタビューもあるが、自身の逮捕に怯えた直後から生意気な態度で取材拒否をしているが、実は饒舌に答えているインタビューも一社だけある。余談であるが、その社の記者がイケメンだったのが理由だ。バカげているがこれは事実である。

 今回の事件は先に挙げた早川和男被告が発案し、不正に集めた金を自分の懐に半分入れて、その後関係者に折半していたというシンプルなもの。一連の不正診療費詐欺はこれで幕を閉じると思われる。

Written by 花田歳彦

Photo by  K-SAKI(コラージュ)

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