なぜ予想より早く"指定暴力団"に?神戸山口組の今後を占う
TABLO / 2016年4月15日 19時0分
六代目山口組から分裂した神戸山口組の指定暴力団の認定は当初の予定より早められて、4月7日午後には兵庫県公安委員会が正式に決定。これで指定暴力団の数は22団体となる。
指定されるのには3つの要件が揃う事が条件だ。「組織の威力を使って資金を獲得している」「一定の構成員に特有の前科がある」「階層的な組織を構成している」である。
組織の威力とはみかじめ等のシノギである。次の一定の構成員に特有の前科とは所属の組員の中に粗暴犯とか、麻薬犯罪とかの犯歴が一定の割合以上いる事。最後の階層的な組織とは組長が存在して、組員がいる組織を意味する。
昨年8月末に分裂して以来、両組織の抗争事件は警察当局が把握している事件だけで70件以上であるが、再三書いている通り小競り合いはここ数日は収まりつつあるが、報道されないだけであり、連日起こっているのが現状だ。
神戸山口組の組員の数は3月1日時点で約2700人、勢力は36都道府県と発表されているが、実質の組員の数はこれよりも多いであろう。しかし、この実数だけでも山口組約5700人、住吉会約3200人に次ぐ第三の勢力であり、減少を続けている他組織に比べ、その勢いは留まる事を知らない。指定暴力団に認定されると様々な弊害がある。銀行口座を作れない、車を買えない、家が借りる事が出来ない等、多々あるが、当然それだけではない。
今回指定を早めた大きな理由は5月末に伊勢志摩サミットが大きな理由ともう一つには過去起こった山口組と一和会の抗争、通称山一抗争の再来を恐れているのであろう。
あの「山一抗争」では大阪駅等で名物の壁新聞が貼られて、人が多くその報道に見入り、実話誌はそれを煽る様な報道を行った。今では壁新聞はなくなったが、実話誌はその報道姿勢は変わらず、それに増して今はツイッターなどが流行して、対立を煽る発言が目立つのだ。
この抗争当時は暴対法も暴排条例もなく、取締り当局は既存の法律で取締りを続けるしか手段が無く、5年近く抗争が続き、317件の抗争事件が発生、一般人を含む多くの犠牲者を出した事案だ。
今回は新たな法規制により、双方が指定暴力団のみに厳しい規制がされる特定抗争指定暴力団に認定される事は間違いないであろう。ご存知の読者の方は多いであろうが、過去にこの特定指定抗争暴力団に認定されたのは道仁会と九州誠道会(現浪川会)のみである。
この認定は3ヶ月毎の延長で指定期間は3カ月で、この抗争で5回延長されているが、この認定をされた事によって、厳しい取締りを受け、抗争の終結が早まったのは言うまでもない。今回の六代目山口組と神戸山口組の対立はあまり長引かないと言う情報も筆者の耳に飛び込んで来た。
その理由はまだ確定ではないので断定はしないが、落としどころは決まっているらしいのだ。その他複数の組織の独立も秘密裡に行われている(移籍ではなく独立)。
この情報を無視出来ないのは、過去に本誌で書いた様に移籍組織を全て言い当てた情報源であり、理由を聞くと無視出来るような内容ではないのだ。過去の山一抗争の期間中、ユニバーシアードが行われ、有名な地方政治家が間に入り、俗に言うユニバーシアード休戦があったが、今回の伊勢志摩サミットによる休戦はないであろう。今、政治家が間に入った所で褒められる様な時代ではないからだ。
ある有名なジャーナリストが広島県出身の政治家が間に入る動きがある、と書いていたが、その様な動きは全くなく、その政治家自体がその様な力は消え失せている。どちらかの組織が潰れるまで抗争は長引く事は無い。そこまで行われずに幕を引くであろう。
Written by 西郷正興
Photo by K-SAKI(コラージュ)
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