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「フランク三浦」勝訴の裏に大阪独特の土壌があった!|プチ鹿島の余計な下世話!

TABLO / 2016年4月19日 19時10分

「フランク三浦」勝訴の裏に大阪独特の土壌があった!|プチ鹿島の余計な下世話!

 先週、「フランク三浦が勝訴 フランク・ミュラーの主張認めず」(朝日新聞デジタル 4月12日)というニュースがあった。一体なんのことかわからない方もいるだろう。どうでもいい方もいるかもしれない。でもこれを追ってゆくと興味深いのです。

 まず「フランク・ミュラー」と「フランク三浦」はどちらも腕時計のブランド。フランク・ミュラーはスイスの「天才時計職人」と呼ばれる人で今年58歳。その時計の多くは100万円を超える。一方の「フランク三浦」は2012年に商標登録をとり、販売をしている大阪の会社。価格は4000円~6000円。フランク三浦のHPでは次のように説明している。

《人前に顔をほとんど出さない謎の天才時計師。その「フランク三浦」が作る腕時計は、シャレとお洒落がわかるハイセンスな人にオススメの「デザイン・ノリ・低価格」を追求したパロディーウォッチ。営業マンが付ければ話題に困らず、プレゼントをすれば意外と喜ばれ、キャバクラでは予想以上の大ウケだ。》

 今回の経緯をいうと、特許庁が許可した「フランク三浦」の商標権登録(2012年)に「フランク・ミュラー」が異議を唱えた(2015年)。その結果取り消されたのだが、「フランク三浦」はいやいや、おかしいと知財高裁に訴えた(同年)。そして2016年4月12日、「三浦」側の勝訴とする判決が出たのである。

 ポイントは、「呼称は似ているが、外観で明確に区別できる」「多くが100万円を超える高級腕時計と、4千~6千円程度の低価格商品の『三浦』を混同するとは到底考えられない」という点。

 私が出演する「荒川強啓デイ・キャッチ!」(TBSラジオ)で商標権にくわしい専門家の方に聞いたら、「客層の棲み分けができている。間違えて買うことはまずない。お客はパロディとわかって楽しんでいる」と補足して説明してくれた。こんなことも言っていた。ふつう、本家本元にニラまれたらパロディをやめる場合が圧倒的なのだという。裁判(知財高裁)に訴えるのは珍しいと。なので「パロディをやっているプライドを三浦側に感じた」と妙に感心していた。ここで私が思ったのはフランク三浦は大阪の会社であることだ。

 昨年1月にこんなニュースがあった。大阪や京都の市街地で、道路標識にシールやステッカーが張られることが相次いだ「道路標識アート」。これを仕掛けたのはフランス人男性であることがわかった。

 いろいろ調べてみると、フランスで同じことをするととくに問題にならず「おもしろがる人が多い」という。反骨精神やお上をからかって楽しむ国民性を指摘する人もいた。

 巨大な相手やお上をからかう精神。これって日本のどこかの都市に似ていないだろうか......。そう、大阪である。もしかしたら、大阪で「道路標識アート」を敢行したのは、単に友人が住んでいたという理由だけでなく、大阪ならシャレで笑ってくれるという期待があったのだろうか。あのときそんな想像をした。

 今回、フランク三浦のパロディとしての「堂々としたふるまい」をみると、やっぱり関西の風土や気概が大きく影響しているのではないか。私が今後注目したい点は、フランク三浦をパロディにする人が出てきたらどうなるのか、ということです。

Written by プチ鹿島

Photo by m-louis

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