西成あいりん地区に増殖する"中国版ガールズバー"の正体

TABLO / 2016年4月27日 20時5分

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 普通の繁華街は週末の金曜日若しくは給料日後、つまり25日以降の休日前に人が集まり、宴が行われるのが普通だが、この西成のあいりん地区ではそれが少し変わっている。

 大阪市の生活保護費受給日は毎月1日であり、銀行振り込みで生活保護費が支給されている人間はその前日に生活保護費が振り込みをされる。

 支給日の前日の0時を回った頃にコンビニで保護費をATMから引き出す人間の姿、毎月1日に役所の窓口に保護費を受け取りに来る人間の行列がよくニュースの映像が使われるのを見た記憶のある読者の方もいらっしゃるであろう。西成のカーニバルと呼ばれる月末から月の5日位までのこの地域の夜は全く別世界を映し出す。

 それは保護費を使おうとする人間、使わせようとする人間の戦いが始まるのだ。少し前までは役所の窓口で貰ったその足でパチンコ等、ギャンブルに使う人間が正直多かった。別にこれは法律上では全く問題が無い行為ではある、道徳的、倫理的には非常に問題があるのだが。

 そして、この流れがここ1,2年は全く違うのだ。パチンコ屋ではこの支給日に合わせて回収時期を設けて、受給者が見境なく使う金を取り、今はほぼ壊滅しているノミ屋などに人が押し寄せていたり、覚せい剤の売人も街角に通常より多く立っていた。

 だが、今はその様な姿を見かける事は少なくなった。路上に覚せい剤の売人に変わって立ち始めたのが、中国人居酒屋の客引きである。

 西成のガールズバーと呼ばれるこの中国人居酒屋は周囲に大きな影響を与えている。例えば夜中でも大きな音量でカラオケを流したり、決められた日にゴミを出さない等の大きな事から小さな事までの苦情が絶えないのである。元々シャッター商店街が多かったこの地域で、現在中国人居酒屋の数は約150店舗と言われているが、その数はどんどん増えている。

 この地域の筆者の取材協力者は筆者の素朴な質問に対して明確に答えを出してくれた。「元々始めたのは1人の中国人が始めたんや、それが当たってその人間が他の人間に又貸しする様になって、タケノコの様に増え始めたんや。今でもそのシステムは変わってないやろ」と、答えた。

 では前述した以外に何が問題なのか? それは簡単に書くと「ツケ」である。通常ワンセット〇〇円と書かれている。そしてカラオケ一曲〇〇円と書いてある。確かに他の地域と比べてもそこまでの異常な高さではない。

 しかし、それは日雇い労務者等、ツケが効かない人間への値段である。生活保護を支給されている、つまり支払いが固い客にはそれ以上の請求が成されている。普段は安酒ばかり煽っている生活保護受給者はそのシステムを大歓迎した。

 筆者の知り合いにもそのシステムにはまった1人である。その人間の言葉を借りよう。

「普段は若い女の子なんか接触する事ないやろ、あったとしても精々そこらを歩いている物売りや、介護の人間やろ。パチンコ屋のコーヒーレディなんか話が出来れば儲けもんや。それが見た目と言葉は問題やけど、ツケでつまり金無しで飲めて歌えて、請求は後回し、その場では請求書も出す事もせえへん。だけどな、それが問題やねん。初めに飲みに行く時、生活保護受給証明書が必要なんや。意味分かるか?」

 察しのいい読者の方は気付いたであろう。つまり金が入る公的な証明書が必要なのだ。闇金等で生活保護費が振り込まれる銀行口座を抑えられた人間は数多くいる。だが、それは振り込み口座を替えたり、その月は手渡しで貰う等逃げ道はあった。そしてそれらの行為はより悪質として厳しく処罰される対象だ。

「それがな、振り込みがあった翌日は支払い期限や、めちゃ高い金額でな。こっちはワンセット位しか頼んで無いのに、それが請求では2,3セットに化けとる。そしてカラオケ代にしてもやな、女と歌ったら手数料まで請求されとるんや。支払いに行かなかったら取り立てが来て、その分上乗せや。今ではここらはシノギも少ないから、みんな喜んで取り立てに来よる。もうわしは行かんわ」

 この男は保護費を家賃以外殆ど取られて、その月は炊き出しと役所から臨時で支給される乾パンで一か月をしのいだと言う。ちなみに筆者が行ったこの日は月末の最終日であり、この様な中国人居酒屋通称西成のガールズバーは昼間からカラオケで歌を歌っていた酔い客が多く見かけられた。これも新たに生まれたこの地区の問題点であろう。

Written by 西郷正興

Photo by  K-SAKI(コラージュ)

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