緊急事態の今こそ、わかりやすい「ナラティブ」には気をつけろ! 放射線治療とコロナ死の因果関係は見つかっていない
TABLO / 2020年5月4日 10時0分
画像はイメージです
4月23日、岡江久美子さんが、新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなりました。その後の報道や、インターネット上の反応を見ていると、受け入れがたい事実を突きつけられた人々の反応に、注意が必要である部分が見えてきました。
事務所からの発表によってもたらされた、岡江さんの訃報には「乳がん手術をうけ、1月から2月半ばまで放射線治療をうけていたため、免疫力が低下したことで重症化した可能性がある」との一文。これをうけて世間は、放射線治療による免疫力の低下を死亡の大きな原因として嚥下しました。
しかし、日本乳がん学会の理事長はすぐさま「放射線治療による免疫低下とは考えにくい」と真っ向から否定。他の医師からも、放射線治療と関連している可能性は低いという声が続々と発信されました。
それにもかかわらず、現在でも関連を信じる人が多いという状況。なぜ、放射線治療とコロナ重症化の関連性を信じる人が減らないのでしょうか。
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これは「人にはナラティブ(物語性)が必要」だということです。特に今回のような、突然で理不尽にも思われる悲しい事態を前にすると、私たちはわかりやすい原因を見つけ、心を着地させずにはいられないのです。
訃報を受け取った側の私たちには「事務所発表」というバイアスもかかっていますが、それが否定されても関連性を信じる言説が止まらないこと。そして、事務所の方々が拙速に、放射線治療との関連性について言及したこと。これらは、死という理不尽な悲しみに整理をつけるための、自然な心の動きなのです。
心が、理由のつかない整理されていない状態に置かれることは不安で怖く、早く整理をしたくなるのが人の性(さが)。何十年にもわたって「血液型と性格は無関係」と言われていても、いまだに血液型と性格を結びつけるような会話がやり取りされることにも似ています。私たちには「見えやすいナラティブ」が必要なのです。このことについては、宗教学者で僧侶の釈徹宗さんも繰り返し言及されています。
しかし、誤った認識で、がん治療における放射線利用が必要以上に忌避されてしまうことが懸念されています。心の整理に大切なナラティブですが、誤った認識の広がりは避けなくてはいけません。
では私たちは、何に気をつけていけばいいのでしょうか。
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そのひとつは「見えていないことにも想像力を向ける」ということ。今回は、放射線治療という「見えやすいもの」に飛びついてしまった結果、誤った物語がつくられてしまいました。心の整理がつかない不安の中にあっても、見えないことも含めて想像しながらじっくり落ち着いて心を整えていかなくてはいけません。
数日前に、金正恩氏の死亡説が流れた際も「これほど大きな国の式典に出席しないということは」といった、死亡説を逞しくするような物語ばかりが広まっていきました。しかし、結果はご承知の通り。
ナラティブに頼るのは人間として仕方のないこと。しかし、不安や焦りの中にいるときは、単なる相関関係でしかないものを因果関係だと誤認しがちです。そうした中でも、エビデンスとも折り合いをつけながら、この緊急事態をなるべく心おだやかにやり過ごしていきたいものです。(文◎Mr.tsubaking)
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