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昭和時代から進歩なし?ろくでなし子「3Dわいせつ裁判」有罪判決の波紋

TABLO / 2016年6月2日 12時0分

昭和時代から進歩なし?ろくでなし子「3Dわいせつ裁判」有罪判決の波紋

 ろくでなし子氏のいわゆる "3Dデータ裁判" に有罪判決がおりた。しかし、問われていた "わいせつ電磁的記録等送信頒布" "わいせつ電磁的記録記録媒体配布" "わいせつ物公然陳列" のうち、わいせつ物公然陳列にはあたらないと、一部無罪の判断が下された。(ろくでなし子氏は不服として即日控訴)

 この裁判は、作品制作の協力者に自身の性器をスキャンした3Dプリンター用のデータを送った件と、アダルトショップに自身の性器をモチーフにした作品を展示した件について、上記の3つの罪に問われていたもの。

 判決では、ろくでなし子氏の性器作品は、デフォルメまたは装飾が施されているため、性的刺激が弱められており、芸術作品の範疇に含まれる(わいせつ物ではない)となっている。だが、3Dデータは性器そのものとみなせるため、こちらはわいせつ物と判断されたようだ。

 弁護団らは「愛のコリーダ以来の一部無罪だ」と述べているが、実はこの判決はまったく新しさも意外さもない。なぜかと言うと、性器そのままでは有罪になるが、何か装飾を施して誤魔化せば無罪というだけの話なのだから、AVのモザイクと全く同じロジックなのだ。結局のところ、3Dプリンターなど新しい分野の話とされてはいたが、昭和の時代から続く「性器はモザイクで隠しましょう」という古臭い決まり事から一歩も外に出られていない。

 今はAV強要問題や、児童ポルノ問題など、似たような性に関する問題がアチコチで噴出している。またインターネットの発達により、法律の違う海外のサイトへも容易にアクセスでき、そこでは無修正のポルノ動画・画像などが見放題だ。そんな時代に、いつまでも「性器にはモザイク」と言い続ける事が、果たして必要なのだろうか。

 しかしながら法は法であるので、過剰にろくでなし子氏らの活動を擁護するつもりはない。それでも、せっかく彼女達が身体を張って戦ってくれているのだから、その隙に「性器にはモザイク」という概念を取り払うべく、そちらに尽力する人間がもっと増えても良いのではないだろうか。法自体を変えてしまえという方向性に向かなければ、ろくでなし子氏の戦いには絶対に勝ち目がなく、単に売名行為で性器をさらした女としてしか名前が残せなくなってしまう。

 ろくでなし子氏を支援する最高の手段は、「性器は何があっても隠さねばならない」から、せめて 「ゾーニングさえされていれば、性器の露出はOK」といった辺りに、この国の法や常識を変える事であろう。

Written by 荒井禎雄

Photo by StephaniePetraPhoto

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