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AV業界は自滅する?大規模なガサ入れをした警察の"真の目的"とは【1】

TABLO / 2016年6月16日 13時5分

AV業界は自滅する?大規模なガサ入れをした警察の"真の目的"とは【1】

 大手AVプロダクションが摘発された事件に関して、様々なメディアが「AV出演強要!」といった煽りで報じている。だいぶ大きく扱われているので、おそらくそうしたニュースをどこかで目にした方も多いだろう。

 だが、これらの報道内容には大きな間違いがある。今回の逮捕容疑は(現時点では)あくまで労働者派遣法に定められている「有害業務」に派遣した事であり、AVへの出演を強要したからではない。ここまで行くと誤読や書き間違いの範疇ではなく、もはや見出し詐欺であろう。

 さて、過去に東京BNでは、色々な角度からAVを含めたセックスワークの業界について記事にしてきた。その中には今回の騒動の肝になる部分について言及したものも多く、それらの記事は今となってはちょっとした預言書のようになってしまっている。

※参考記事

 これらはHRN(ヒューマンライツナウ)の、いわゆる「AV出演強要に関する報告書」に対する反論・批判としてアップしたものだが、このテーマに興味のある方は、ぜひ全4話すべてに目を通していただきたい。

 ここから先は、上の4記事の内容を頭に入れていただいたという前提で進めるが、今回の逮捕劇はプロダクション虐めが目的ではない。すでに大手メーカーにガサ入れされており、問題とされる作品に出演した女優達(の自宅)にまで捜査の手が及んでいると聞く。警察の捜査は今月いっぱいには終わりそうなので、「警察が何を狙っていたか」が解るのはそれ以降になるだろう。少なくとも、大手プロダクションを1つ捕まえて終わりという単純な話ではない。また、警察に被害を訴えた元AV女優の一件だけをどうこうという話にもならない。この一連の捜査の後、おそらくAV業界は「存在の根幹」を揺るがされる事になるだろう。

 例えるならば、パチンコ業界が突然"三店方式"を全否定されるようなもので、そうなったらパチンコ・パチスロなど、単なる違法賭博でしかない。実際にどこまで攻め込まれるかは警察の思惑次第だが、大袈裟ではなくAV業界ではまさにそれが起きようとしているのである。これに対して、強く危機感を持てているAV業界人は、おそらく殆どいない。よって、もう助けられないかもしれない。

 先に挙げた参考記事の中で、私は「現行法でもAVは違法」と断定口調で述べ、それ故にHRNの「新法や監督省庁の設置など無意味どころか逆効果だ」と結論付けたが、その指摘の正しさがまさかこれほど早く証明されるとは思わなかった。この"時間的余裕"を見誤った点だけは悔やんでも悔やみきれない。

 私と同様に、AV業界の危うさや、実は合法である根拠などないという点を指摘し、業界に危機感を持たせようとしていた人間は何人もいるのだが、彼らの活動が実を結ぶより、警察が撃ってくる方が早かったのである。事ここに及んでは、既存のAVビジネスは忘れて次を考えるよりない。これまで通りのやり方にしがみ付いていては、業界すべてが警察の狩場となり、裸になるくらいしか道がない女性から、自立手段を奪う事になる。果たしてこれが「女性の味方」を自称するHRNの望んだ事だったのだろうか。

 次回からは、より具体的に、AV業界の何がどうマズイのか、何が狙われたのかを解説して行く。

Written by 荒井禎雄

Photo by StephaniePetraPhoto

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