社会学者・古市憲寿が小沢一郎を怒らせた騒動の構図
TABLO / 2016年7月14日 19時0分
社会学者の古市憲寿氏のニコニコ生放送の公式放送「参院選前の党首討論」での小沢一郎氏への質問の内容、およびその後の謝罪の仕方が批判にさらされている。
もともと、炎上発言の多い人ではあった。が、これを望んでいるテレビ、視聴者も一定層いる事だからさほど問題はあるまい。テレビというマスに出ると共感する人ばかりではない。必ず、アンチは出てくるものだ。それは目くじらを立てなくてもよいと思う。
今回の騒動は三つに分けてみたい。
1 小沢一郎氏へ質問
2 小沢一郎氏への謝罪
3 6月27日の「ワイドナショー」での出演者たちの空気
まず1。いきなり「小沢さん、再婚の予定は」という空気の読めなささ質問は、言った側が例えば、亡き浜田幸一氏や田原総一朗氏のような百戦錬磨・修羅場をくぐっている人間の言葉だったら、もしかしたら小沢氏も苦笑レベルで済んだのかもしれない。「ハマコーさんならしょうがないないな」と。
が、古市氏はその態度から(これは少し同情するのだが)可哀想にも、「生意気」がそもそもそ前提になっているキャラである(僕もいけ好かないなとは思います)。そのなめた口調でハマコーさんでも田原さんでもない、まして政治学者でもない社会学者、さらに言葉のプロでもない人から言われれば、小沢氏は「は?」という態度になるだろう。
この発言で古市氏は「党首の人柄も大事。それを浮かびあがらそうと思った」と言っているが、であるならば公明党山口代表にも池田大作さんについて聞いたり、他にもご家庭の事情を全員に聞いていくという方法をトライしなければならない(党首ではないが野田聖子議員に「ご出産の予定は」などと尋ねたら党首討論でなくても、下手すれば訴訟問題だ)。
で、ワイドナショー(フジテレビ系)では安倍首相夫人とのプライベートでも仲が良い事を明言しており、盟友乙武氏の自民党出馬宣言でも一役買ったのだろうと想像しても言い過ぎではないだろう。そこで小沢氏に毒でもぶっこんでやろうと思ったのか台本なのかカンペの指示なのかわからないが失敗をした。
要するに、あまり政治に関心がないけど「ワイドナショー」的にいつも通りにやっていれば笑ってくれるだろうという甘えがあったのだと思う。結果、「失言」を古市氏はしてしまった。が、これはまだよいのである。失言などテレビに出ていれば、誰もするものである。政治家など日常茶飯事と言ってよい。テレビを見ているお茶の間の方も会社や家庭で失言をするであろう。
そういう時はどうするか。「謝罪」をするのが社会性のある人間も通常の行動である。社会性がなくても良い。天才にはそういう人もいる。が、古市氏は人間が生活を構成する上で必要な社会牲とは何か、社会とは何かを研究する学者、と言って悪ければ学生(院生)である。社会学を学んでいる人が社会性がないって事がバッシングの元になった要因の一つだ。
運営から渡されたペーパーを「これ、俺読んだ方がいいの」とつぶやきながら棒読みで謝罪したものだから、小沢氏の怒りに火がついてしまった。
社会生活を営んでいる人なら、どうしたって「謝罪」しなければならない場面に出くわす。僕が広告営業時代には上司についていって貰って頭を下げた。また、頭を下げられたりもした。
多くの人は彼の「謝罪」の姿勢にムッときてしまったのだ。謝罪はしかし、屈辱かもしれないが、仕方によれば一気に逆転を出来る場でもあるのだ。男らしくキチンと頭を下げたり、態度で示すと「この人は間違った事を言ったかもしれないが、人間として必要な礼儀をちゃんと備えている人なんだな」と逆に好感を得られるチャンスでもあったのだが、ふてくされてしまった。
3に移る。この不名誉を挽回するなら「ワイドナショー」でしかないと思い僕はその趣旨のツイートした。司会に東野さん、ダウンタウンの松本さんがパネラーなら、古市さんの失言・謝罪の失敗をこの二人の天才型芸人が笑いに昇華されてくれるだろう、と。
出演しないのかなと思ったりもしたが、やはり出演した。松本さんはあくまで芸人としての立場から「大御所に行くときは」「あそこで笑いが起きなかった」事を指摘。東野さんは相変わらず、スマートに場を回していた。松本さん、そして空気を読む天才・HKTの指原という温かいメンバーに囲まれた古市さんは思わず、本音をもらしてしまった。
「テレビはかばってくれるけどネットは孤独なんですよ」と。
この言葉から古市さんがすでに「学者」ではなく文化人タレントとして生きていきたい、と受け取れたのだが、いかがだろう。学者なら学者らしく、ブログでもツイートでも発言の真意や謝罪の真意を発表すればよいのに、松本さん、東野さんらの温かいコメントで、視聴者からすれば「守ってくれた」という印象を持った人もいるだろう。
が、松本さんの発言はあくまで「芸人の立場」からである。このテレビの天才ともいうべき松本人志という人が言うから「小沢一郎も笑かしたろ」という発言が通るのであって、古市さんには到底真似ができない高等スキルである。
小沢一郎氏はいまだ怒りが収まらず、ドワンゴおよび古市氏に謝罪の要求をしているようである。身から出た錆である。古市さんはこういう言葉は嫌がるだろうが「男らしく」謝ってみてはいかがだろうか。前述したように逆転ホームランが待っているかもしれない。
以上、古市さん騒動についてかなり優しく書いてみました。
Written by 久田将義(東京ブレイキングニュース編集長)
Photo by 小沢主義(イズム)―志を持て、日本人
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