母親はホラー漫画家?障害者19人殺害事件から見える"マスコミの差別意識"
TABLO / 2016年8月5日 17時0分
相模原の障害者施設で起きた45人殺傷事件に関する報道では、この手の事件のお約束である「アニメ・マンガ・ゲームのせい」と臭わせる情報が殆ど出て来なかった。それに加えて、犠牲になったのが障害者で、容疑者にも処置入院歴があり、誰の目にも触れ方が難しいと解る事件である。そのせいか「この事件は○○のせい」といった手軽な手法を採り難かったようで、犯行の動機や心理といった面への切り込み方が甘く、意図的に避けているようにも見受けられた。
ところが、ここに来て「容疑者の母親がホラー漫画家だった」というネタを掴んだ週刊FLASH(光文社)が、喜々としてそれを記事にしたのだ。
問題の記事は、【(1)容疑者の生い立ち (2)両親の職業 (3)両親を知る人物の証言 (4)母親が描いたとされるホラーマンガの紹介 (5)容疑者の同級生の証言】といった構成になっているのだが、3と4及び4と5が文脈として繋がっておらず、いっそ4を抜いて読んだ方がスッキリするほどである。 どうにも無理やり突っ込んだ感が否めないのだ。
FLASHが何故このようなチグハグな記事を掲載したのか定かではないが、まず間違いなく「親の職業が解ったから」が理由のひとつとしてあるだろう。では、なぜ漫画家だという母親の話だけが掘り下げられ、教師である父親については数文字程度でサラっと流されているのか。印象操作と言ってしまうと少々陰謀論チックになってしまうが、これが仮に母親がキラキラした作風の少女マンガ家であったなら、このような書き方をしただろうか。
そう考えてみると、この記事の根底に酷い差別意識が働いている事に気付くはずだ。
「母親はホラーマンガを描くような女だ」
→「マンガにはスプラッター描写もあった」
→「だから異常な子供が生まれてもしょうがない」
こういうロジックなのである。
さて、この事件の容疑者は日頃から「障害者は殺した方がいい」といった言動を繰り返していた。そこには「障害者は人間として劣等である」という意識がある。今回のFLASHの記事には、それに共通するドス黒い差別心が根底にあると断言してもよかろう。ホラーマンガというジャンルを"賎"と捉えているからこそ、母親の職業だけをネタにしようなどと思い付くのである。
今回の記事を書いた記者ならば、この凄惨な事件の容疑者の心情が我が事のように理解できるのではないかと思う。
Written by 荒井禎雄
Photo by Amateur.Qin
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
すすきの殺人 娘から「首を拾ったと言われた」、「毎日奴隷ではない」…父親が法廷で証言
日テレNEWS NNN / 2024年11月21日 6時11分
-
〈たつの市・小4児刺傷〉「みんな犯人はアイツしかいないって…」勝田容疑者の幼馴染が見たイジメと“優しい家庭”
集英社オンライン / 2024年11月11日 7時0分
-
〈加古川小2殺害事件犯人逮捕へ〉関与を認めた受刑囚の男(45)は警察官の息子だった…過去にも少女に暴行やわいせつの逮捕歴
集英社オンライン / 2024年11月6日 20時0分
-
《新橋ガールズバー殺人》「機械いじりが好きなあの子が…」泣き崩れた親戚たちが語る“容疑者”の人柄
週刊女性PRIME / 2024年11月6日 6時0分
-
〈旭川・江別…2つの全裸集団暴行死〉「オトコ好きの肉食系、中学で孤立、共犯は年下…」記者が見た“主犯のオンナ”の共通点と相違点「江別事件は自首、旭川のリコ被告は逮捕すらネタに…」
集英社オンライン / 2024年11月5日 20時0分
ランキング
-
1八戸5歳女児死亡の初公判、検察側「母親らは一日一食しか与えず隠れて食べていた女児に暴行」
読売新聞 / 2024年11月26日 15時45分
-
2【速報】共同通信の社長が外務省に謝罪 生稲晃子外務政務官の靖国参拝めぐる誤報問題で
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月26日 19時51分
-
3求人サイトで公募した市長後継候補、原因不明の急病で辞退…あす現市長が記者会見
読売新聞 / 2024年11月26日 16時1分
-
4コロナ新しい変異株「XEC株」はどんなウイルスか 「冬の対策とワクチン接種の是非」を医師が解説
東洋経済オンライン / 2024年11月26日 9時0分
-
5石川県西方沖でM6.6の地震 最大震度5弱 津波被害の心配なし
ウェザーニュース / 2024年11月26日 22時47分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください