SMAP解散を元ジャニーズ平本淳也が解説「ジャニーさんに中年愛はなかった」
TABLO / 2016年8月15日 19時0分
先月、僕の番組で7月下旬にはじめて「活動休止」という言葉を使ってリリースしたがまだこのときは一旦休止して落ち着こうといったプランが妥協案として課題となっていた。ジャニーズのグループで解散ではなく活動を休止してまで長く在籍するのは後にも先にも少年隊の1組だけだが、ジャニーさん的には寵愛する少年隊と同様の扱いにてその待遇を模索したのだろう。(KAT-TUNも休止中)。
しかし「休止なら解散」と強く訴えたのが香取慎吾で、これを一歩も譲らなかった。リーダー中居は大人の対応でこれを受け入れる余裕を見せていたが、問題が問題なだけに修復の可能性には否定的な環境から妥協案を蹴って解散という仕切りを求めた格好だ。
一方の木村は「情けない」とのコメントを発表したが、その言葉の通りの心境だろう。25年以上の付き合いから生まれた信用や信頼、あるいは折衝や対立の総決算が解散という終止符ではすべてを受け入れられないのは本音だろうし、こういった結果が見えているなら違うやり方もあったのではと思うところも多いはずだ。
今回の決断は、今のSMAPには首長が存在しないのが大きな事由とも言える。学校でいう担任、会社でいう部長というレベルのリーダーを失った状態のまま半年が過ぎたころ、まとめる長がいない環境でそれぞれが大人である以上の考えや行動を取る事となったら、解散という結果も容易に想像できる。
つまり、飯島さんというチーフを失ったSMAPは運転手のいない暴走車両と化したわけで、道路や信号、標識といった存在であるジャニーズ事務所とジャニーさんを見失ったイメージに思える。かじ取りがいない船なら衝突や座礁も時間の問題であっただろう。
そもそも事件の発端を作ってしまったのはメリーさんに他ならないが、例の『SMAP×SMAP』での生謝罪にしても、メリーさんの仕切りで行われたすべてが裏目に出てしまった。ジャニーさんからすれば「メリー! 余計なことをしないでよ!!」という感じだろう。ちなみに姉弟は「ジャニー、メリー」と呼び合う。
娘のジュリーからすればほとんど携わってないSMAPの面倒を押し付けられてもどうすることも出来なかったのが正直なところ。SMAPクラスなら業務上の管理であれば事務所でも可能だが、メンバー個々の精神面でのケア、世話となれば飯島さんの抜けた穴は簡単には埋められるはずもない。
だが、今回の大きな要因はジャニーズ事務所という特質な芸能プロダクションとジャニーさんにあると思えるのは僕だけの見解だろうか。
ジャニーズ事務所は言わずと知れた"巨大アイドル帝国"であるが、アイドルの定義が時代と共にその背景も変わり、タレントの高齢化が進んで現在のようなグループのメンバーが40代でも現役というスタンスが確立されたが、実はジャニーさんにとっては初めての経験である。
ジャニーズ事務所のアイドルグループで最年長と言えばメンバーの全員が今年度で50代となる少年隊で未だ現役だが、2008年を最後に活動の一切を休止している状態である。前出したが、ジャニーさんにとって少年隊は歴代の中でも傑作であり決して手放したくないグループのひとつであるからして解散ではなく休止のカタチで存続させている。
例え休止でも少年隊と同様にSMAPを存続させることが最大の愛のカタチであったが、ジャニーズ新世代の筆頭で日本を代表する天下のアラフォーらはその"過剰な愛"を受け入れなかった。
アイドルというカテゴリーにおいて筆頭のジャニーズ事務所が今の時代を予測したかどうかは別にして、随分と長い間「解散」という言葉を聞いていなかった。シブがき隊や光GENJIや忍者という時代まで遡らないと解散の経緯が見当たらないほどアイドルグループの存続は息の長いものになっていた。
10代デビュー、20代で独り立ちの流れが主としてあったアイドルのカタチは大きく変わりつつある。ジャニーズでも多くは20代を迎えた機にフェードアウトするかのごとく解散や休止、自然消滅などの路を辿ってきて例外ではななかった。
ジャニーズのアイドルグループにあって、高齢で解散したのはリーダーの柳沢超が29歳のときの「忍者」だろうか。次点はワケあって変体した光GENJIでリーダー内海光司が27歳のときである。シブがき隊においては22~3歳で解散だった。
またグループの解散を機に独立や移籍をするのも定番的行動で、ジャニーズ事務所に残るのは僅かなジャニーさんのお気に入りのみ許されることだ。現役では前出した光GENJIの内海や佐藤アツヒロ、男闘呼組の岡本健一らは解散後から20年を経ても現役所属である。
忘れてはならない過去の最長記録は、グループの解散から残ったフォーリーブスのおりも政夫が40過ぎまでジャニーズに残っていたが、年齢と在籍だけなら近藤真彦がその記録を抜いて第1位を継続中だ。一方、グループ外では最初からソロで活動してきた田原俊彦が33歳(独立時)で最年長だったはず。
いつの間にか中年だらけのジャニーズ事務所となり、どういうことかそれらしい少年が見当たらない......。Sexy ZoneやジャニーズWESTなど一部のメンバーが十代後半となるが多くが「大人」が占めるジャニーズのカタチが近年の認識だろう。
■30代の中年アイドルをプロデュースできないジャニーズ
そこで気が付いた"ジャニーズ論"がある。ジャニーさんは少年を育てて輝かせるプロではあるが、オジサンをどうこうする趣味がないだろう。一桁代から十代の少年たちをプロデュースさせたら間違いなく世界一のテクニシャンではあるが、30代を超えたアイドルたちに何の興味が湧くのだろうか......。
ふと思うところである。芸能界で不動の地位を築いた半世紀の歴史を持ち、いくつものギネス記録を保有しては世界にその名を知らしめた正真正銘、天下の御仁であるジャニーさんは中年アイドルを扱っている現況は初体験である。言い換えれば、今回のSMAPの件についても過去に例がない初めての経験を目の当たりしているわけだ。
何でも言うことを聞いて必死で頑張っている子供たちは大好きだろうし、扱いも随分と楽だと感じるしそれは共感も覚えられる程度だが、逆に自信は満々で、何億もの収入を得ていて金にも困らない40歳の大人の扱いとは極端に違うことも頷ける。
今回もジャニーさんはSMAPのメンバーを「自分の子供たち」と表現しているが、当のメンバーたちとは随分と開いた温度差がありそうだ。以前にも書いたが、可能性や選択肢はいくらでもある彼らに強制力が効かなくなったのは「もう子供じゃない」からであって、彼らにしたらSMAPどころかジャニーズにこだわらなければならない理由も僅かになっていく一方だ。
例え、全員がジャニーズから出たとしてもジャニーズ事務所に彼らの活動を静止させる力はないだろうし、いまのSMAPは誰にも抑えられないほどの影響が備わっていると言っても過言ではない。
その昔、「ユーたちはドリフターズのように」とSMAPの将来を予測したが、これは今なお国民に愛され続ける日本の代表的スターグループ「ドリフターズ」に倣ったものだが、彼らはアーティストでありながら何時の時代も笑いを提供し続けた国宝級のタレントであり、SMAPならなれると見据えていたのだろう。
しかし、今回の選択でドリフターズにはなれなかったが、ある意味では「ジャニーズ事務所の力を超えた」とも言えるだろう。大きくなりすぎた我が子という例では、大塚家具の親子戦争にも例えられるが、力を持った子供は面倒だし、何を言っても訊かないのが世の常でもあるでしょう。
大人を扱ったことがないというジャニーさんにとっての初体験であることに間違いはないが、今年85になるご老体にして多くの「初めて」を体験中なのだ。TOKIOの山口達也の離婚会見もそうだ。男闘呼組の岡本や少年隊の植草など現役ジャニーズの離婚は過去にあったものの丁寧に会見を開くなどありえないジャニーズのキマリもまた随分と変わったと思えるし、今回の解散速報についても焦りにも見えるほどの速さでマスコミ発表を行うのも異例だ。
そんな今年85歳になるジャニーさんもSMAPのメンバーら話し合いをする際にも年齢のことを弱々しく語ったと言うが、いい加減もう疲れただろう。それにメンドクサイとも思える。いつの時代かは神様のごとく誰しもを自由に扱えたことだろうが、ここ近年ではKAT-TUN事件をはじめとする謀反も頻繁に起こりその求心力が大きく揺らいでいることを徐に露呈している結果でもある。
一方、もっとも要因の原因、つまり根本的な問題を起こしてしまったのはメリーさんだが、こちらは一切出てこないのが不思議である。今年90歳を迎えるメリーさんこそ、もはや「踊れない」SMAPのことはどうでも良いのか、はたまた御身体に何か支障をきたしたのか......。
しかし、まだ多くの謎を秘めているSMAP事件だが、これで終わったかのように思えて実は......。そんな「続き」が見られるのもジャニーズならではのお楽しみニュースだろう。それまでしばしお待ちを......。
Written by 平本淳也
Photo by Marc Veraart
Profile●ジャニーズ出身の実業家、作家、投資家。10歳でジャニーズ事務所から芸能界入り、30歳過ぎまでアイ ドルを続け、現在もテレビや雑誌で活躍を続けるなか、月間100万アクセスを獲るカリスマブロガーとしても知られる。22歳のときに物書きデビューして以来、34冊の書籍を発表。
※平本淳也プロデュース「AbemaTV公式チャンネル」
https://abemafresh.tv/lzm
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