【ドラッグ無法地帯】西成・あいりん地区で"日本最高齢の売人"に接触
TABLO / 2016年10月14日 14時12分
覚せい剤が蔓延している地域として日本一、と悪評の高い西成のあいりん地区。今まで何回か当サイトでも触れているが、大阪浄化作戦により、その形態も変わってきた。今までは街を歩けば数十人の売人が街角に立ち、それらが一掃されたら、電話注文でのデリバリーに変わり、それと同時にドヤ(安宿)での販売になった。
ドヤの販売と言えば、過去において摘発劇がニュースで取り上げられ、大規模な取り締まりがなされてきた。それらのドヤは現在廃業されて身売りされている(過去には博徒組織などの義理も行われていた程、その世界では有名なドヤなのであった)。
今年に入っても、売人の巣窟となっていた複数のドヤが摘発されている。今までは「〇〇のドヤに行けば買える」と評判だった密売場所がどんどん消えている。そこで筆者はあるドヤを根城とする売人と接触した。この人物はかなり特別な人間だった。なぜなら、彼はかなりの高齢というよりは、恐らく日本最高齢の売人のようなのだ。
◇◇◇
――今いくつになったのですか?
「今年で88や、米寿と言うんやろな」
――国から福祉、つまり生活保護は受けていますか?
「そんなの受けてないわ。住民票もどこにあるか分からん。30年以上前に西成に来て、戸籍を売ったか......どうなってるんやろな」
――マイナンバーについては。
「噂では聞いとるけどな。わしには必要ないわ。足が少し悪いけど介護の世話にもなってないしな」
――医者とかはどうしているのか。その年齢になれば体が大変なはずだが。
「そやな。だけどそんなのどうにでもなるしな。あいりんセンターに行けば医者はいるし、ちょっとした病気は薬を誰かに持って来て貰うからそんなに困ってないな。足も湿布薬をまとめて人から貰ってる」
――今はドヤに住んでいるようだが、その家賃は生活費はどう工面しているのか。
「ドヤの家賃は3万やしな。この年になれば飲みにも行かへんし、飯もそんないいモン食わんでも生きていけるしな」
――では生活費は?
「威張っては言えへんけど、全部覚せい剤のシノギや」
――その年齢では街角には立てないし、デリバリーも無理では。
「部屋に来させるんや、固定の客をな。それだけで十分や」
――毎日色々な人が訪ねて来たりネタを売っていると噂にならないのか。
「そんな噂にはならへんって。お前もワシの事は知らんかったろ」
――確かにそうだった。
「一日ワンパケ売れればそれでええんや。1万の金が入れば仕入れ代払っても3000円は抜ける。そしたら月に9万やろ、それだけあれば生きていけんねん」
――顧客は何人位いるのか?
「5~6人やろな。新規の客は受け付けへんしな、寒くて(※)しょうがないやろ」(※逮捕されるのを恐れての意味)
――その生活を何年続けているのか?
「今の状態になったのは80才前後やから10年近く。派手にやれば体掛かるやろ。それやったら地道にな、ワシは残す金もいらんし、その日に使う金があればええんや」
――一日で3000円あればカネは残る?
「多少はな。だけどな、たまに贅沢すんねん、スパワールドとかあるやろ、あんなとこに行って一日過ごすんや、そんな事したら金残らへんがな、それに毎月初めにドヤの金払うやろ」
――自分では覚せい剤はやらないのか。
「この歳でやったら体いかれるやろ。あんな体に悪いモノはやらへんって」
――部屋にあったらやりたくなるのでは。
「部屋には置いてへんで。客が何時頃行くから、と電話入るやろ。そしたらワシが電話でワンパケ持って来さすねん、それを渡すだけや。電話すると言うても着信を残すだけで相手が持って来るねん。あうんの呼吸やな」
――もっと簡単に電話の紹介だけにするつもりはないのか。
「そんな事やったら、誤魔化されてワシに金回って来ないがな。相手だって必死や、客捕まえるのに」
――あなたは私の知る限りでは日本で最高齢の売人だが引退するつもりはないのか。
「そりゃやるしかないやろ、他に食う道がないしな。なんかいい話あったら回してな」
◇◇◇
最後は山っ気たっぷりの言葉で話をうち切ったが、日本最高齢と思われる売人はまだまだ元気である。もし、この人物が逮捕されても、本人が言うところでは「戸籍も無い」ようなので扱いには困るだろう。どこまでも逞しい闇社会の生息者である。
Written by 西郷正興
Photo by K-SAKI
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