作家なのかライターなのか...今更ながら「肩書問題」を考察してみた|久田将義コラム
TABLO / 2017年4月17日 20時22分
![作家なのかライターなのか...今更ながら「肩書問題」を考察してみた|久田将義コラム](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/knuckles/knuckles_2380_0-small.jpg)
人気ブロガーのはあちゅうさんという方が、作家宣言をしました。そこにメディアの方がいろいろな私見をはさんでいき、ちょっとした炎上になりました。少し古い話題ですね。恐縮です。以下がまとめです。
https://togetter.com/li/1094859
この問題は、二つに分けた方がよさそうです。
一つは作家とライターの違い。
二つは作家とライターではライターの方が地位が低いのか。
まず、20年以上前からこの問題は繰り広げられています。またかと思うと同時に、また何年か後に繰り広げられる問題なのだと思います。歴史は繰り返します。
まず作家とは、フィクションを書く人だと僕は思っています。文字通り、「作る人」。小説家が一番わかりやすいでしょう。私小説家、SF作家、ホラー作家、歴史小説家、ラノベ作家。みんな「作家」です。
ライターは文字通り、ライティング(文章を書く人)。フードライター、映画ライター、評論家、コラムニスト、エッセイスト、テクニカルライターなど。
ブロガーも広い意味ではライターになるのだと思います。はあちゅうさんという方は、僕はネット媒体に疎いのですみませんが、炎上体質なせいなのか寄ってたかっていじめられている、という向きもあったようですがそうではないでしょう。前述したように、二十年以上前から論じられている問題なので。たまたまはあちゅうさんが、話題を投げかけただけの事です。
ライティングを仕事とする人は名刺に文筆業、売文家、ノンフィクションライター、ジャーナリスト、などと刷っている人が見受けられます。これは本人の好みですからどう名乗ろうが勝手です。
が、ライター(ノンフィクション)なのに作家を名乗る、あるいは小説もかいていないのに作家を名乗るのには、当然違和感を皆さんは抱きます。はあちゅうさんは小説を書いていらっしゃるようですから「これから私は作家と名乗る」という意思表示なのでしょう。
僕の知り合いのライターさんも以前、「これからは私は『作家』で行きます」と作家宣言をしてきた人もいました。その人は、確かに大手出版社から一冊フィクションを出していたのでまあ、気持ちはわかります。が、「少し痛いな」と思ってしまいました。その人が学歴も職歴もかなりのキャリアの持ち主であり、年上という事もあったのでしょう。「いちいち宣言しなくても」と思ってしまったのです。
僕はノンフィクション畑で育ってきました。ですから小説家の方とあまり接する事はありません。が、たまに出版パーティなどでお会いしたりするときもあります。
芥川賞、直木賞を取った方もいらっしゃいます。特徴があります。大体が名刺をもっていない。あと、自分から作家と名乗ってないのではないか。おおむね、「小説を書いています」「物書きです」というような自己紹介をされていた記憶があります。
自ら名乗るのが「痛い」のではないでしょうか。作家は人から言われるのが、雑な言い方をしますと「カッコいい」のかなと思っています。名乗るのも自由ですが、名乗られた側がどう思うのかも自由です。
二つ目の問題ですが、日本ではライターが作家より地位が低いとみられているのでは、という「空気」が漂っている気がします。欧米ではライター=作家ですからこういう偏見はなくなってほしいものです。
また、ライターも作家も免許がいらない自己申告制ですから、ややこしくなるのだと思います。銀行などで職種の欄に「ライター」「作家」とはないですから。銀行などという公的性が強い機関では、理解ではない職種は「アヤシイ」思われてしまうのでしょうか。
僕などは女性芸能人が結婚する「実業家」(特に西麻布の、とかがつくと)逆に「アヤシイ」とし職業柄か感じてしまう訳ですが。
僕は文章を書ける人を無条件に尊敬しています。僕が書けないからです。大学時代にそう悟りました。では、文章を書く人のサポートをしようと。つまり編集者になろうと考えました。
ライター、作家、どう名乗ろうが書く人に対して僕はリスリスペクトします。ただ、僕も人間です。感情があります。時と場合によっては「痛い」と感じる事あるのも事実です。とは言え、物書きは小説だろうがフィクションだろうが、コラムであろうが書いたものか全てです。読者の評価が全てです。どう名乗ろうが、自ら名乗ろうが結果が全てです。例え「痛い人」と仕事をしようが、あがってきた文章が素晴らしければすべてが帳消しになります
そういう世界です。
Written by 久田将義(東京ブレイキングニュース編集長)
Photo by JoshArdle Photography
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