豊田真由子衆議院議員記者会見失敗に見る謝罪の仕方
TABLO / 2017年9月19日 20時30分
僕は編集者生活26年くらての若僧で、偉そうに言うのも何ですが比較的、普通に暮らしている方よりは謝罪をしてきたと思うので経験上、考察してみたいと思います。
実話ナックルズ(ミリオン出版)の時は編集長という立場でしたが、大出版社とは異なり、編集長自身が相手に謝罪する機会が多かったと思います。相手はヤクザや元ヤクザ、元暴走族(警察庁によれば最近は準暴力団と規定されているチームもあります)や政治家が多かったです。
また、会員制情報誌の月刊選択(選択出版)に在籍していた時は編集次長という役職でして、当時のオーナーに「君が社外対応してくれ」と言われてしまい、秘書の女性と一緒に裁判対応をしていました。相手は実話ナックルズと違い、企業や政治家、文化人に大学教授といった方々がほとんどでした。
つまり、さまざまな職種の方の抗議を受け、時には謝罪をしたり、裁判にまで行ってしまうことが多かったわけです。
といった立場から豊田真由子議員の謝罪のどこが間違っていたのかを論考してみます。
僕も失敗してきましたし、これからも失敗する可能性がありますが、まず謝罪する場合、
・余計な事は言わない。「ちなみに」とか「そう言えば」とか「ところで」とか話を長引かせない。
・自分をさらけ出す。プライドを捨てるといってもよいです。
・質問された以外のことは答えない。
要するに、骨についた肉を削ぐがごとく、とことんシンプルにしていきます。
そういえば、土下座という手段があります。鈴木砂羽さん騒動で一躍フィーチャーされた行為です。(参照・鈴木砂羽「土下座強要」騒動で見えてきた芸能村人のかばい合いhttp://n-knuckles.com/media/entertainment/news002412.html)
土下座の名シーンといえば、僕が好きな漫画家新井秀樹の「宮本から君へ」があります。主人公のサラリーマン宮本が街中で衆人が見守る中、仕事とるために土下座をして相手根負けされるというシーン。
僕は土下座は芝居ががっていて好きではないのですが、様式美としてとらえれば「アリ」かなと思っています。この漫画のシーンで重要なのは、土下座をすることによって心情的に相手より上にいったという点。相手の度肝を抜いたわけです。相手の心の隙間をついて。
豊田真由子議員があの、記者会見上でいきなり土下座をしていたらどうでしょうか。賛否両論あったでしょう。想像してみてください。記者会見場にいた記者たちの度肝を抜いたに違いありません。立場で豊田議員が記者たちより上に立ったでしょう。政治家なら、あえて挑発的な言い方をしますが「土下座ぐにらいタダだからいくらでもいます」ぐらいふてぶてしくても良かったでしょう。
記者たちに「こいつ何者だ」とそう思わせれば勝ちです。が、これはあくまで飛び道具。やったら大したモノです。そしてまず誰もやらないでしょう。昔、焼肉チェーン店の社長が食中毒を出してしまい逆切れ土下座をしましたが逆切れしては土下座の意味がありません。土下座と逆切れは相反する行為だからです。
オーソドックスにいけば上記の三つに順じて、会見を開くべきでしたがなぜか豊田議員は、自分の夫の話などをしました。余計でした。余計な事を言うとどういうデメリットがあるのかと言えば、そこに突っ込みどころができる可能性が生じるからです。会見中に「薄毛の夫が好きだ」などと言えば、薄毛に関してどう思っているか、など話が広がってしまいます。
また、豊田議員が「自分がコンプレックスだらけで」というのも、余計です。桜陰中・高校→東大→厚労省にコンプレックスを感じると言われれば、反感を持つ人もいるはず。大学に行きたくても家庭の事情などで進学できない人だっているのです。というように突っ込みを受けます。
殴った、暴言を吐いた、というような事実関係はワイドショーなどにお任せしまます。芸能人、政治家の謝罪会見を見るたびに、以って他山の石としたい。そして、彼ら彼女らの謝罪の失敗を分析することでビジネスの役にも立つのではと思うのです。(久田将義)
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