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過去のシリアルキラーに当てはまらない座間九人殺人事件白石隆浩容疑者の正体

TABLO / 2017年11月11日 16時20分

過去のシリアルキラーに当てはまらない座間九人殺人事件白石隆浩容疑者の正体

 座間の猟奇殺人事件。九人の遺体の身元が全て判明しました。一部メディアによる遺族へメディアスクラムが始まってしまっている、とも聞きます。が、基本、犯罪は「やった奴が悪い」。被害者はあくまで被害に遭った方々。遺族に関してもそうです。

 

【「元警察官」コメンテーターのうさん臭さ】

 先に言っておきます。ワイドショーが番組を成り立たせるため、どうしても「元警察官」をコメンテーターに呼ばざるを得ないのは分かります。が、そのだいたいが一課(殺人を扱う)出身でない元警官ではないようです。という事で、残念ながらコメントが信頼度に欠けます。

 事件記者やレギュラーコメンテーターの言っている事の方が、理にかなっているくらいです。目も当てられないほど、空虚な意味のないコメントを連発しており、悲惨でさえあります。むしろ、犯罪心理を専門にしているような、大学教授のコメントを僕は聞きたいです。

 肩書があいまいな人は、誰であろうと信用していません。「警視庁刑事」とか「●●県警刑事」などなど。どこの部署だったのか。地域課の交番勤務巡査だったのか。交通警察だったのか。自動車警ら隊だったのか。たまに殺人捜査に駆り出さされただけなのか。ハッキリして欲しいです。

 それならそれで良いではないですか。職業に貴賎なしです。確かに、警視庁管内の警察官なら「警視庁刑事」ですし「●●県の警察官」なら「●●県刑事」ではあるのですが、それだけだと何をやっていたのか、中身がわかりません。この人、警察で何をやっていたの?という事です。

 

【過去のシリアルキラー】 

 本題に入ります。この事件の不可解さは過去に事例を見ません。「太陽の下に新しきものはなし」と言われます。つまり今、起きている事件は、たいてい前例があるものです。特に猟奇、大量、快楽、遺体損壊の場合は顕著です。この事件は遺体解体、快楽、大量の三要素が混じっています。

 遺体損壊から見てみます。映画「冷たい熱帯魚」のモデルにもなった埼玉愛犬家殺人事件。四人を殺害。遺体を「透明」にして、事件そのものの発覚をなくそうとしました。関根元元死刑確定囚と風間博子死刑確定囚のほか、一人の共犯者でやった恐るべき犯行です。主犯は二人で殺害・解体しました。

 北九州監禁殺人事件は主犯は二人。夫婦で六人を殺害、遺体損壊は二人以上でやりました。この二例を見ると、数人の遺体を二人以上で解体しています。白石隆浩容疑者は一人で、しかも9人もの遺体を損壊。これがまず聞いたことがない例です。すなわち、共犯がいるのではないかと言われる理由です。

 凌辱殺人事件だと戦後の小平義雄事件、大久保清事件などがあります。両者とも凌辱が動機でしたが、白石隆浩容疑者の供述は今のところ違っています。

 それでは、殺害そのものに快楽を求めていたのでしょうか。神戸児童連続殺傷事件は事件を起こす前に、猫を殺めています。江東区神隠し事件の犯人はmixiでダルマ状態の女性に関心を示しています。このように、前兆があるものですが、今のところ白石容疑者にはそういった前兆は認められていません。

 大量殺人事件という共通点で言えば、池田小学校殺人事件、相模原障害者施設殺人事件。犯行に及んだ二人とも護送車などで送検される際に顔を隠していませんでした。特に池田小殺人事件の犯人宅間守元死刑囚は顔を隠すどころか、公判では、傍聴していた遺族に対して悪態をついていたほど、開き直っていました。が、白石隆浩容疑者は顔全体を覆っていました。前例に出した事件と違い、まるで己の行いを恥じるのように。

【日本犯罪史上初めてのケースか】

 このように過去の前例には当てはまらないのが白石隆浩容疑者の犯行です。つまり、快楽なのか、社会に反意があって大量殺人に及んだのか(戦中の津山三十人殺人事件もそうでした)、動機が分からないのです。

 また大量の遺体損壊事件も二人以上でやっていることから九人もの遺体損壊は白石隆浩容疑者一人でやったのかという事に関しても共犯がいるのではないか、とされていましたが警視庁は単独犯で捜査を進めています。

 ベテランの大手新聞記者が僕に言いました。「君の疑問もわかるが、それは通常の考えであって、これはそうでないという事件という事になる。一人で。あの部屋で。全てをやったとされている。それでいくしかない。だけどまだ分からない。自分の中で分析ができていない」。

 この姿勢がまっとうな記者の見解です。まだ「分かっていない」のです。「大量・遺体損壊事件を一人でやった」とされる初めての事件と、今のところ、とらえるしかないようです。白石隆浩容疑者は日本犯罪史上、前例がない人物と言わざるを得ません。彼の人物像を解析する事が、このような悲劇を二度と起こさないようにする一つの手段ではあるはずなのですが、困難を極めるでしょう。

 

【歌舞伎町スカウト時代に何かが起きたのか】

 一つの入り口として、歌舞伎町スカウト時代に何が起きたのかという事が解明されれば白石隆浩容疑者とは何者か、がわかるかも知れません。

 話に出ているのが「臓器売買」「人身売買」など組織的な犯罪に属していたのではというものですが、あくまで噂レベルです。

 最後になりましたが身元が判明した九人の被害者、そして遺族の方々にお悔やみを申し上げます。(久田将義)

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