70歳破天荒男が、ピースボートで様々な熟女と… 純愛物語「セルロイドの海」

TABLO / 2020年6月19日 13時30分

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「セルロイドの海」ロフトブックス)

 

平野悠さんと言えば、日本を代表するミュージシャンが数多く登場してきたライブハウス『ロフトグループ』の創始者であり、トークライブハウス『ロフトプラスワン』を設立した方。『ロフトプラスワン』には、僕ら編集者やライターのみならず、現在ではアイドル、芸人さんら多種多様の人たちが登壇しています。僕も1995年、ロフトプラスワン設立当初から、出入りしており、いつの間にかたまに登壇し、舌ったらずな口調で人前でしゃべる事があります。

その平野さんの「恋愛小説」。いや、ノンノンフィクションと言うべきか、が上梓されました。70歳の「私」(平野さんで良いでしょう)がピースボートに乗り、その船で出会う熟女たちとの恋愛・失恋を描いた「意欲作」です。僕らが20代の頃、70歳の人が恋愛なんかするものだろうか、と思っていた時もありました。が、それは人生経験が浅い若輩の愚見でしかなかったのです。

 

平野さんは西欧人のような顔立ちをしていますし、さぞかしモテていたのだろうと想像がつきます。さらに下衆な話ですが金銭的にも裕福だ、と。つまり、まだモテ要素が残っています。

平野さんは、ピースボートで様々な女性に声をかけます。船内ではちょっとした有名人だったようです。声をかけらける女性は熟女(「熟女」と「おばさん」は違うがその解釈はまたの機会に)と言われる女性たちです。

 

参考記事:ポツンとキャバクラ一軒家 東京から東海地方まで熟女を求めて約300キロの一人旅|久田将義 | TABLO

 

突然ですが、僕は熟女好きを20代の頃から公言をしていました。が、その熟女というのは若き日の五月みどりや映画「白蛇抄」で濡れ場を演じた小柳ルミ子といった「分かりやすい」女性を指していました。その会話は「熟女の旅」(松沢呉一著 ポット出版)という本になりました。

あとがきで、編集者でもあり当時、テレビのワイドショーの司会をしていた亀和田武さんは山田五十鈴が熟女として良いと仰ったようです。それを聞いて、まだ20代後半の若僧だった僕は爆笑してしまいました。「お婆さんじゃないですか」と。今思えば何と愚かな発言でしょう。亀和田さんは僕の反応に対して「彼はまだまだ」と言ったと聞いています。本当にその通りです。

女性の色気は年齢ではありません。心根の優しさにあるのではないでしょうか。その優しさと人としての魅力は外見に表れると、思っています(男性にも言えますが)。つまり、熟女が好きという人は女性の美しさの芯の部分をちゃんと見ている、という事にほかなりません。

平野さんは、そのあたりをご自分の年齢とか重ね合わせて見られているのでしょう。平野さんの文章を読んでいて気がつくのが、「ご自身の年齢」について、です。今が楽しいというより「もういつ死んでもおかしくない年齢」と言ったマイナス的記述が出てきます。

恐らくですが、20代は学生運動、30代はライブハウスを通して、音楽や文化と表現が難しいですが「喧嘩」しながら突っ走ってきた半生に由来しているのではないでしょうか。燃え尽き症候群なのか、とはたから見て心配しましたが「ピースボート」で「恋愛」という新たな喧嘩相手を見つけたようです。

 

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平野さんとは、そんなにじっくり話した事はないのですが、意外と歯に衣を着せぬ言い方をする人です。
文中にも女性に対して

【「俺はこの女性と恋を語れるか」と考えたら無理だった】。

とか、意中の女性に

【「昔はお綺麗で相当モテたでしょう」】

と、怒られてもおかしくない言葉をズケズケと発します。これで、もめていないのが不思議ですが一応、「小説」なので大丈夫だったとしておきます。もちろん、平野さんもそれはご存知で「よくあんな失礼な事を言ってしまったものだ」的表現が度々出てくるのですが、それほど失礼ではなく、上記の二例の方が危ういなと感じるのは僕だけでしょうか。

とは言え、この「小説」を通して感じる事は「平野さんモテるなあ」でした。

70歳の恋。どこが悪い。

ピースボートですから世界中を周るワケで、ヨーロッパ、北欧、北極、カリブ海に船が訪れる度に、何らかのアクションが起こります。ちょっとしたロードムービー感覚の本です。

これ、映画にしたら良いのではないか? 主演・国村準(「私」) 出演者・片平なぎ(晴美さん)、余貴美子(麗子さん)、平泉成(村西さん)でどうでしょうか。僕は観ますよ。(評者◎久田将義)

 

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