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タイの「サル奴隷ココナッツ製品不買運動」を欧米人らが主張 木を見て森を見ない“言いがかり”

TABLO / 2020年7月20日 10時58分

タイの「サル奴隷ココナッツ製品不買運動」を欧米人らが主張 木を見て森を見ない“言いがかり”

画像はイメージです

サルがココナッツの収穫に使役させられているのは動物虐待に当たるとしてタイのブランドのココナッツ製品ボイコットを動物愛護団体が訴えたことで、タイ国内外に波紋が広がっています。

「サル奴隷」とは?

米国に本部を置く動物愛護団体「動物の倫理的扱いを求める人々の会」(PETA)の英国支部が、タイの海外輸出用ココナッツ加工製品向けのココナッツ農園でサルが「ココナッツ収穫機械にさせられている」とツイッターで告発したのは7月3日のことでした。

ジョンソン英首相の婚約者で動物愛護活動家のキャリー・シモンズさんがそれを受けて早速同日にスーパーマーケットに対して「サル奴隷」の労働を使用した製品を販売しないようにツイッターで呼びかけました。

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するとテスコなどの英国内スーパーマーケット4社が呼びかけに応じてタイのブランドのココナッツジュースとココナッツオイルを店頭から撤去するまでに運動が発展。

タイのジュリン・ラックサナウィシット副首相兼省務大臣は8日、タイのココナッツ製品輸出にはココナッツ収穫にサルを使役していないと反論しました。ソムデット・スソムブーン商務省貿易奨励局長も工業製品用にはサルの収穫量では不十分のため可能性は低く、地域生活の中で使われているだけだと語っています。

タイでは高い木の上に実のなるココナッツの収穫にサルを使うことを100年以上前から行ってきたと言われています。しかし世界からの風当たりが急に強くなったことで、ココナッツ収穫サルの「新たな職」にもタイ国内では注目が集まっています。

ビーチリゾートで有名なフアヒンのあるプラジュアップキリカン県の県庁舎で警備員の職を得たというのです。

県庁舎は付近の山に生息するカニクイザルの群れによって屋根瓦を落とされたり天井板を剥がされたりするなど深刻な被害を受けてきました。そこで県はココナッツヤシ収穫にも使われるブタオザルを3匹、県庁舎の警備に雇ったのです。期間は県庁舎修繕工事の3か月間で月給は1匹あたり3万バーツ(約10万2千円)。

サル使い歴10年のイベント警備業男性(27)によると、自分の集落ではブタオザルをココナッツ収穫のほかにイベント警備にも使っていると語りました。プラジュアップキリカン県では様々な野外イベントで商品がカニクイザルに襲われる被害が出るので需要があるとのこと。

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特大のブーメラン返ってきますよ?

ブタオザルはカニクイザルより体格が大きく牙が鋭いうえに性格も獰猛なので、カニクイザルはブタオザルの匂いがすると恐れて近付きません。その習性を警備に利用しています。

県庁舎警備の仕事は24時間で、ブタオザルだけでなく人も一緒にいなければなりません。3食きっちり与え、飲み水も毎回新しいものに交換する必要があるからです。さらにブタオザルが寂しがったり、不慣れな場所で落ち着かなくなったりするのを防ぐためにもやはり人がいることが不可欠なのです。

こうした実情からは「サル奴隷」とはまた異なった、人とサルの心の通じ合った信頼関係も感じ取れるのではないでしょうか。

ココナッツの収穫にサルを使用することは批判されるが、欧州でトリュフを収穫するのに豚を使っているのとどう違うのか。お互いの文化を尊重すべきだといった声もタイ国内では上がっています。この問題、着地点を見出すにはまだ相当な時間を要しそうです。(取材・文◎赤熊賢)

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