ラグビー部暴行コーチの「情熱」はただのノイズ 日大はヤクザが本当に背後にいるのか調査すべき
TABLO / 2020年8月8日 5時40分
![ラグビー部暴行コーチの「情熱」はただのノイズ 日大はヤクザが本当に背後にいるのか調査すべき](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/knuckles/knuckles_28154_0-small.jpg)
また日大(撮影・編集部)。
「これでまた日本大学のイメージが悪くなるのか…」
そう考えた日大関係者も少なくないでしょう。
日大ラグビー部の元コーチが部員に対して、未成年にもかかわらず飲酒を強要したり、部員の頭に爪楊枝をぶっ刺したりしました。その他にも暴力をふるったようですが、写真で確認できるのは「爪楊枝」です。それと写メで同じく確認できるのは、以前飲酒がばれた際はLINEで部員に「ちくった奴殺してー」「友達のヤクザに犯人探させる」といった、暴走族になりたての少年が後輩に向かっていうような言葉を羅列させています。
僕は元ラガーマンとして本当に情けなく、また旧精神論を排除したラグビー近代化が進んでいる中、未だにこういった人物がラグビー界にいる事に恥ずかしさを感じます。
参考記事:自称天才編集者・箕輪厚介氏のセクハラ・パワハラメッセージを解読 女性ライターは必死に抵抗していた|能町みね子 | TABLO
脅迫罪にあたる文言の数々。40歳にもなる、そして人を指導する立場の人間が、まるで暴走族同士のようなやり取りをしている事に、人間性を疑います。
もっとも、暴走族の少年たちだったら、不良少年ネットワークから、このコーチの言っている「ヤクザ」が本当がどうかリサーチする事でしょう。そしてもし、何の関係もなければ、報復をするのではないでしょうか。
報道で、このコーチがどういった人物なのかを紹介する際、
「ラグビーにかける情熱は大したものだった」
「日大ラグビー部のランキングを挙げた」
といった声が取り上げられています。
しかし、そんなのはどうでも良い訳です。たかが(あえてたかがと言いますが)、日大ラグビー部がリーグ戦で順位を数位あげただけです。功罪のうち功と言えばそうですが、本当に強いチームは帝京大のように優勝回数9回といった、ラグビー史に燦然と輝くような成績を持ったチームのことを指します。このコーチが数位あげたとして、帝京大や、早稲田、明治、慶応のような伝統校が築いた数字には遠く及びません。これは決して日大ラグビー部をディスっている訳ではありません。
つまり、こういった報道にありがちな「だけど」は無視していい「ノイズ」に過ぎません。この場合「だけど」は通じないのです。
もし元コーチの良いところを挙げようとして、あるいは元コーチが「順位を上げたのは俺の功績だ」(だから傍若無人に振るってよい)という意識だとしたら、よほどチンケなものだと言いたい訳です。
関連記事:なぜサブカル界はパワハラ・セクハラが起きるのか 暴力を知らない人間が暴力を振るう愚かしさを知れ|久田将義 | TABLO
確かに日本ラグビーの歴史の中では、不祥事はありました。暴力や薬物などもありました。が、前々回のラグビーワールドカップや帝京大連覇あたりから、「ラグビーの在り方・考え方」が変わってきました。旧精神論ではないもの(精神力は大事ですが)。それを強制ではなく自主的に出すようにしていくシステム作り。またプロテイン一辺倒だったトレーニングも科学的に、ポジションによってどこをどう鍛えるのか、というように良い方向に変わっていきました。
本当の意味で「紳士がやる野蛮なスポーツ」に磨かれていっていました。が、この元コーチは「野蛮」だけしかありませんでした。
最後に日本大学そのものに問いたい。
元コーチを誰が、なぜ招聘したのか。日大は明らかにする義務があると思います。
また、LINEに書いてある「ヤクザ」の名前を出して脅すのは、刑事事件に発展しかねません。本当に背後関係には何もなかったのか。日大はアメフト部の騒動で懲りたはずなのに、「またか」と世間では思われています。また同じような騒動が出てくる可能性はあると僕は思っています。
最後に日大ラグビー部員には「これを糧として頑張れ」と、元ラグビー部としてエールを送っておきます。(文◎久田将義)
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