中川家お兄ちゃんの毒舌が爽快！　「フワちゃんとかウイカで笑うん１５歳までやで」　今４０代がこっそり見たい癒しチャンネル

TABLO / 2020年9月20日 16時30分

イラストはイメージです

ガチャガチャした格好で、コーラにメントスを入れたり、お風呂にニベアを入れたり“やってみた”動画を何の工夫もなく編集しアップする『おもしろ系』のユーチューバーだけがYouTubeではありません。

いま、BGM無し、テロップ無しでも、めちゃくちゃ面白い！ …と30～40代に人気なのが漫才師・中川家の『中川家チャンネル』です。

そこにはテレビではあまり見ることのない毒を振りまく「剛お兄ちゃん」と声の音量を全く上げない「礼二弟」が鎮座していました。

現在、登録者数45万人程度の「中川家チャンネル」ですが、当初はネタや舞台でやったコントなどをYouTube用に編集していたものを上げていましたが、生配信を始めるようになってから「よりコア」な内容へと変遷していきました。

番組を見ていると、とにかくお二人は無駄に声を張り上げるのが嫌いなご様子。編集で盛り上げようとする無駄なBGMや効果音は一切入りません。仲の良い兄弟二人がお茶の間でテレビを見ながらぼやいている体で途切れること無くずっと「ボソボソ」と喋っています。

特に二人に共通する「地元」の話は笑いなしでは聴いていられません。泥水の上の方だけをすくって飲み水にしているおっさん、タバコを吸いながら授業をする小学校教諭、お金が無いので高校生がインベーダーゲームをやる後ろで12時間くらい見ている子ども、これが令和や平成だったら絶対にアウトだろうというトークが炸裂します。

印象深かったのは、剛お兄ちゃんがしばしば言う、

「そろそろ、昭和50年代とか平成の初めのドラマとかやらなアカンやろ。三丁目の夕日が昭和ちゃうで。今の40代後半とかが子どもやった頃、おもろいことばっかやったで」

には感銘を受けました。

これは本サイトで連載中の中川淳一郎さんの『俺の昭和・平成史』と全く同じ理念です。昭和と言えば世の中的には戦後すぐ…のイメージを植え付けられていますが、本当の昭和とは1980年代に最も煮詰まって凝縮されたものがあるんだ！というのが氏と本サイトの共通概念。それらを一つ一つ掘り返しています。奇しくも同じ中川……少なからず関係があったりするのでしょうか！？

参考記事：一体なぜ我々は駄菓子屋にハマっていたのだろう　昭和の子どたちが夢中になった時間｜中川淳一郎

「中川家チャンネル」は、声を張らないお二人を見て眠りたいという中年世代に人気があるようです。私たち視聴者がテレビの理論である、ボケとかツッコミとかひな壇とか食レポとか番宣などという単語を知っている必要はなく、見る側が制作サイドに忖度していたということがよく理解できます。彼らがそれをかなぐり捨てたことで、私たちはリラックスして視聴できるのです。

印象深かったのは、生配信に「次長課長」がゲストで登場した回。

1時間半の間、ずっと一般人のモノマネ・コントを展開してくれましたが、「いやあプロだなあ」というよりはむしろ、井筒和幸監督の『ガキ帝国』や『岸和田少年愚連隊』の中に出てくる人がお好み焼き屋でずっとダベっている…そんな雰囲気が最高すぎるのです。

剛お兄ちゃんのテレビではあまり見られない毒舌にも注目です。7月31日に公開された動画の中では、「フワちゃんとかな、見た目がなんか『楽しそう！』やろ？　配色がな。オモロないで、別に」と礼二を爆笑させます。そして「フワちゃんとかサマーウイカとか、30秒見たら飽きるけどね」と振る礼二に対して、兄がまた爆弾を投げます。

「ま、大したこと言うてへんからな。心には刺さらへんよ。目には刺さるけど（派手やから）」

「15歳までやん、あんなん笑うん。16歳から笑わへん」

決して二人を腐しているわけではなく、なぜテレビでウケるのかを解説しているのですが、「大人が思ってること（でも言わない）」を遠慮なく話していることが心に響くのだと思います。