彫り師無罪判決 皆様はタトゥーを不快に思いますか? 指定暴力団幹部に聞いてみた
TABLO / 2020年9月24日 10時30分
狼のガラのタトゥー。(撮影・編集部)
タトゥー、刺青は日本古来の文化なのか
一部の人間から画期的と呼ばれた判決が成されてました。彫り師が医師法を取得しないで刺青やタトゥーを入れるのは違法だとして、訴訟を起こされました。が、最高裁で彫り師に対して無罪が出ました。
刺青の歴史は古く、中国の昔では漢の祖の部下、豪傑英布が罪人の証として入れ墨(ここでは「刺青」とは区別する)を入れられ、黥布と別称されるようになりました。また三国志の中の魏志倭人伝では当時は倭国と呼ばれていた日本人の習性として「鯨面文身」(顔と身体に刺青を入れている意味)があることが明らかになっています。
江戸時代では火消しや博徒が入れていました。政治家では、湾岸の荒くれ者を束ねた横須賀の小泉又次郎逓信大臣が、刺青大臣と呼ばれていました(※孫は後の日本国総理大臣小泉純一郎氏)。作家では、高木彬光が刺青文化に興味を示し、「刺青殺人事件」という傑作を上梓しています。テレビでは、時代劇「遠山の金さん」が刺青を晒しているを観た、昭和の子供たちも多い事でしょう。
が、最近はコンプライアンスというものがはびこり、例えばテレビでは総合格闘技選手の故・山本KID選手が地上波ではラッシュガードを着たり、最近のK-1では日本人ではタトゥー部分をテープなどで隠すようになりました。
世間の目が厳しい、タトゥー、刺青。海水浴場でもスーパー銭湯でもプールでも禁止のところが多くなりました。過ぎたるは及ばざるがごとし、というこわざがあります。規制し過ぎで、彫り師は医師免許を持たなければいけないという訴訟まで行ってしまったと思われます。
悪いイメージで言えば、やはり反社、いわゆるヤクザ・暴力団が刺青をしているから、という事が多いと思われます。そこで刺青について、あるヤクザ組織の幹部に聞いてみることにしました。仮にAさんとしておきますが、刺青は当然入っており、いわゆる「ドンブリ」。つまり胸から足まで隙間なく入っている状態です。Aさんは自身でも彫り師をしています。
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「私らは刺青は街中では隠していますよ。みっともないでしょ、出しているのは。それと美学みたいなもの、覚悟みたいなものがありますからね」
――パンクロッカーのような子たちはタトゥーを隠していませんがその点はどうですか。
「刺青は所詮、自己満足の世界。人に見せるもんじゃないですよ。でも、あの子らは堅気でしょ。いいんじゃなんいですか。関東と関西では感覚が違うのかな。でも私はそう思っていますね」
――と、僕も思います。が、不快になる人もいるようで。
「それはそうでしょうね。お年寄りからはそう見えるでしょう」
――そういう傾向があるようです。それと和彫りだと、刺青を出している子が準暴力団なのか堅気なのか、ヤクザなのか区別がつかない時がありませんか?
「確かに。でも自分らが現役か堅気か見抜けなくなったらお終いでしょう(苦笑)。だからあまり気にしないですね。現役が出しとったらみっともないと思うんですよね。いないでしょうが」
――大阪の判決ですが。
「あれは結審したんですか。良かったですよね。医療行為とかいったら、それ以前に伝統である刺青もダメになってしまうでしょう」
――ところで、ご自身も刺青を彫っていますが、ヤクザでもないのにヤクザぶっている人っているじゃないですか。お客さんでそういう人、来ます?
「悪ぶっている、イキがっているのが40、50代に多いんですよ。すぐわかります(笑)。ヤクザでもないのにヤクザみたいな服装やしぐさをする人間」
――思い当たる節があります。メディアでも多いですよ。ヤクザの取材したからヤクザ言葉使ったり。「オヤジ」とか「兄貴」とか使ったり。
「(苦笑)それを現役の人間が聞いたら『おう、お前は組織の人間なのか?』ってなりますよ。大丈夫なんですかね。その人達」
――僕もそう思っています。
「だいたい、自分らは普段目立たないようにしていますから。このご時世だから。車だって、プリウスとかアクアとか軽自動車とか乗ったり」
――はい、聞いた事があります。ただアルファードとかが二、三台並んで走っていたら要注意ですけど。
「ああ。アルファードとかはそうですね」
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読者の皆さん、ここポイントです。軽自動車だからといって乱暴な運転をしたら中に乗っているのが現役の人間という事があります。車で人を判断してはいけません。まとめてみます。
・パンクロッカーたちが入れて、見せている「タトゥー」は「堅気だから見せてもいい」
・現役のヤクザは見せない人がほとんど。見せている人は組織の人間ではないのでそこもしょうがない
というのが指定暴力団幹部の見解でした。これが全てに通じるものではないかも知れませんが、タトゥー・刺青を考える上で参考にして頂ければ幸いです。(文◎久田将義)
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