珍しい姿に仏像ファンはビックリ!? 東京・雑司ヶ谷に祀られる「三光天子立像」を知っているか|Mr.tsubaking
TABLO / 2020年9月25日 10時30分
御朱印ブームも手伝って、寺社仏閣の参拝者はここ数年、増加傾向にあるといいます。また2009年に東京国立博物館で開催された「阿修羅展」からつづく仏像人気もいまだに高いまま。国宝や重要文化財に選ばれるような仏像もすばらしいですが、今回はあまり人目につかない不思議な仏像を紹介いたします。
仏像の専門家やマニアの間では「仏像は鎌倉時代に完成形を迎えた」とよく言われます。
そのためもあって、鎌倉時代以前に都のあった京都や奈良、鎌倉に歴史的にも美術的にも価値の高い仏像が多く残っています。
一方で、江戸時代に都となった東京には国宝や国の重要文化財に指定される仏像はごくわずか。しかし、江戸という独特な土地と時代の中で醸成された文化は個性の際立つ文化財をいくつも生み出しているのです。
豊島区雑司が谷、鬼子母神のそばに建つ「本納寺」。
こちらの仏像は、仏像ファンである人ほど驚くような姿をしています。
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千手観音や阿修羅など、菩薩・天部とよばれるような種類の仏像には手の本数が多いものもよくみられますが、如来と言われる、一般的に「仏像」といって多くの人がイメージするパンチパーマのようなヘアスタイルの仏像は、手が二本であることが普通。
しかし、こちらに祀られる「三光天子立像」は、如来のような姿をしているのに、手が四本もあるのです。
手前の二体、唐風の装束をまとっているのが日光天子・月光天子、そして中尊が明星天といわれ、合わせて三光天子像というわけです。太陽と月と金星を表す三体で、この三つが空に揃う未明から明け方に7日間続けて行われる法要で拝まれるもの。日蓮宗のみに存在する像で、東京ではここにしかないという稀な作例です。
大きさは中尊が40センチと大きくはないものの、その存在感は圧倒的なものがあります。つくられたのは江戸時代の中頃1788年(天明8年)で、法華経には、この三天子が法華の教えを伝える集まりに列席したとも記されているといいます。
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ここまではお寺のご住職のお話しや、資料などでも確認できますが、私が気になったのが、明星天が右の上の手に持っている鍵。これは、北斗七星を表しているもののはずなのですが、金星を司る仏像に北斗七星を持たせるという謎。これは「日・月・星」と広く捉え信仰していたのではないかと推察できます。
本堂内には他にも、通常「笏(しゃく)」といわれる木の板を持っているはずの日蓮聖人像が払子(ほっす)を持っているという、珍しい像なども安置してあり独特な信仰の一端を垣間見ることができます。
観光化されたお寺ではないため、拝観の際は事前にお寺に連絡をすると良いでしょう。(Mr.tsubaking連載 『どうした!?ウォーカー』 第62回)
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