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BSEと新型コロナ騒動の共通点 メディアは過度に報じている「悲観論を述べて責任回避する人間にはなりたくない」|中川淳一郎

TABLO / 2020年9月26日 10時30分

BSEと新型コロナ騒動の共通点 メディアは過度に報じている「悲観論を述べて責任回避する人間にはなりたくない」|中川淳一郎

「牛肉がヤバい」と言われたBSE騒動(撮影・著者)

令和の時代に登場した新型コロナに対しては、「やべぇもんが来た!」と皆が恐れおののいた。コロナについてメディアが報じる時、比較対象になるのは新型インフルエンザ、SARS、MERS、スペインかぜだ。

新型インフルについては2009年当時、大騒ぎをした記憶はあるものの、実はあまり覚えていない。小林よしのり氏著『コロナ論』では当時の騒動が描かれていたが、「へー、そうだったのか!」と思ったが、小中学生の学級閉鎖などが多数取沙汰されたため、子供のいない自分にとっては他人事だった。

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SARSとMERSは外国の話だし、スペインかぜは何しろ昔過ぎる。はて、自分の生活に直結し、さらにはネットを大いに騒がせたこの手の騒動ってなんだったっけ? と風呂に入りながら考えていたのだが、一つあった! 2003年12月の狂牛病(BSE)である。漫画『美味しんぼ』では居酒屋で牛皿を食べたい富井副部長が泥酔のうえ激怒して「BSEが怖くて衛星放送がみられるかってえんだ!」と暴れるシーンがある。

あの時、ネット上でもBSEを嘆く声が多数出たが、その大きな理由は、吉野家をはじめとした牛丼チェーンが牛丼の販売をやめたことにある。各チェーンは米国産牛肉を使っていたのだが、牛丼販売最終日が近付くにつれ、各店には大行列ができた。

新規調達先を確保するまで、吉野家は「豚丼」や「カレー丼」「いくら鮭丼」などを出した。築地の一号店は創業の地のプライドをかけて国産牛で牛丼を出し続けていた。一方ライバルのすき家はオーストラリア産牛肉に切り替えて牛丼ファンの心をつかみ、売り上げが減る吉野家を尻目に好調だった。

2005年2月11日に吉野家は1日限定で米国産牛肉を集めて牛丼を販売。この日がとんでもない行列ができた。そして2006年9月18日、吉野家は牛丼「牛丼復活祭」を100万食限定で行い、この日も大行列ができた。

今、各チェーンでは安定的に牛丼が食べられるようになったが、あの時、庶民の味方である牛丼がなくなることについては本当に多くの人が恐怖した。さらに言うと、2000年代前半まで、牛丼店は「女性一人では入れない場所」といった言われ方もされていたほどだったのである。今では女性一人でも入れる場所になったが、感慨深い。

今回のコロナの件を受けて思うのが当時の「牛肉を食べると死ぬ」とまで考えるトンデモ科学論が一定数蔓延したことだ。コロナは全世界で猛威を振るったが、「第二波」が来て以降、第一波で多くの死者を出したヨーロッパでも死者数は少なくなっている。

参考記事:「女性のあえぎ声が尋常じゃない!」「下品なラップがうるさい!」 コロナ禍でご近所トラブル多発! 知られざる日本人の民度とは? | TABLO

当時のBSE騒動と今回のコロナ騒動、かなり似た展開なのでは、と思っている。いわゆる「インフォデミック」と呼ばれるマスメディアやSNSを通じて過度に怖がる情報が流布されることだ。5月に陽性者が東京で200人を超えたり、7月、東京で陽性者が463人となった時、人々は驚愕し、この世の終わりが来たかのように扱った。だが、この1ヶ月ほど、200人を超えても「まぁ、そんなもんか」と考えている人は増えているのでは。

9月末のシルバーウィークで人の大移動が起きた。それから約10日後、陽性者は全国で増えるかもしれない。ただ、あまり死なないのでは、とも思う。BSE騒動の時もそうだったが、メディアも役所も政治家も「最悪の事態」を言い続ける。そうすれば、結果がどうなろうが後で責められないのだ。

この世の中、楽観論を述べて悪い結果になったら糾弾されるもの。だから人々は悲観論を述べ、責任回避をしようとする。くだらない。そういう人間に私はなりたくない。(文・中川淳一郎 連載「俺の平成史」)

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