毎日どこかで起きている「プチ座間事件」 知らない男に着いていく女の深層心理とは? ナンパの最終目的は「性交」と語る被告人|裁判傍聴
TABLO / 2020年10月5日 10時30分
画像はイメージです
スカウトを装ってナンパ
成田稔弥(仮名、裁判当時37歳)はだいたい週に1回はナンパのために街へ繰り出していました。しばしばナンパに成功することもあり 肉体関係を持つこともありました。彼には4年前から交際している女性がいて、心理的な抵抗もあったそうですが
「心の浮気じゃなければいいだろう、と思っていた」
ということです。
いつものように軽い気持ちでやっていたナンパが原因で彼は被告人という立場で法廷に立たされることになりました。罪名は「わいせつ誘拐」です。
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「芸能関係って興味ある?」
そう彼は声をかけました。相手は街で見かけた面識のない女子高生です。
彼は芸能関係の仕事などはしていませんでしたし、過去にそのような職業に就いたこともありません。犯行当時、彼はコロナの影響でずっと勤めていた運送業の会社を解雇され無職の状態でした。スカウトを装って声をかけることについては悪いとは思っていなかったようです。
「ナンパでそういう風に嘘をついたりするのは当たり前になってて、抵抗は感じませんでした」
と裁判では供述しています。声をかけられた被害者は芸能という言葉に興味を示しました。その反応を見て彼はさらに続けます。
「資料あるからちょっと着いてきて」
その後、被害者は彼の自宅へと連れ込まれました。
そして連絡先を聞き、処女かどうか確認し、身体を触り…。
しかし被害者はそこで拒絶の意思を示しました。彼も抵抗する被害者に対して無理やり何かをするようなことはなく、
「じゃあ、もう帰ろうか」
と被害者を促し、最寄り駅まで送り届けました。被害者を送る最中には
「実はスカウトじゃなくてナンパだった。ごめん」
と本当のことを言い謝ってもいます。
しかし被害者はその後、友人に事の次第を伝えて相談しました。その友人から警察に届けるように助言を受けたことから事件が発覚しました。
相談を受けた友人によれば、その時被害者は泣きながら、
「あのへん(ナンパをされた場所付近)にはもう二度と行きたくない」
と話していたそうです。
彼にとってはいつもと同じナンパでした。しかも失敗をしています。それでも、相手によってはそれが犯罪になることもあります。わいせつ誘拐の法定刑は1年以上10年以下の懲役です。また、今回の事件で逮捕された際には実名での報道もありました。 軽い気持ちでのナンパだったかもしれませんが、今回の事件で彼の人生は大きく変わることになってしまいました。
彼はどういうつもりでナンパをしていたのでしょうか。検察官とのやり取りからその概要は少しだけ見えてきます。
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意味不明な男の言動
――平成23年にも似たようなことで高松で検挙されてますよね?
「あの時は車でナンパして断られてそのまま帰ったんですけど、またその女性と鉢合わせて…『追われてる』とか『付きまとわれてる』って誤解されました」
――その時の女性ってどんな人でした?
「学生…だったと思います」
――ナンパの時はそういう若い人に声をかけるんですか?
「いや、年の近い人にも声をかけます。でも、中学生、高校生、大学生…やはり女子高生が好みでした」
――今回の子はいくつだと思ってました?
「高校1年生くらいだと思ってました」
――いつもナンパはしてたんですか?
「いつもというか、週1でやってました。うまくいくこともありました」
――うまくいく、っていうのはセックスをするってこと?
「セックスもありました。そこはナンパの最終地点なので」
――じゃあ今回の子もセックス目的でしたか?
「いわゆるナンパという目的においては…そうです。犯罪になるとは思ってませんでした」
この裁判では彼と交際をしている女性が情状証人として証言をしていました。今後、再犯を犯さないように監督し裁判後には結婚をする意思があると話しています。
こうして捕まってからも支えてくれる人がいながら、習慣的にナンパをしていたという彼の行動は…正直全く理解はできません。(取材・文◎鈴木孔明)
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