ぼったくり店は儲かる!? はじめて入ったお店の壁に◯◯◯◯が貼ってあったら気を付けろ!!
TABLO / 2018年5月25日 17時30分
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夜9時の歌舞伎町。
仕事を終えて帰宅途中だった被害者の山田(仮名)は、声をかけてきたキャッチの男を無視して通りすぎようとしていました。しかしキャッチの
「3,000円でキャバクラいけるよ」
という言葉に心が動いてしまいました。
「本当に3,000円だけなの?」
「はい、大丈夫ですよ」
そんな会話をしながらキャッチに連れていかれたのは歌舞伎町のビルの中にある店でした。
店に着くなり、頼んでもないシャンパンやお通しが出てきました。店内にメニューは見当たりません。彼は自分に付いた女の子に
「本当にこの店大丈夫?」
と尋ねましたが、女の子は
「大丈夫、大丈夫」
と繰り返すばかりでした。不審に思った彼は水だけを飲んで一時間後に会計をしようとしました。請求されたのはセット料金の3,000円にチャージ料70,000円、それに加えてよくわからない名目の料金が加算されて総額240,000円でした。
「キャッチに3,000円と言われた、おかしい」
と抗議しましたが
「うちは店の外に店員はいません。警察呼ぶなら呼べばいいじゃないですか」
と言い返されるだけでした。店員の威圧的な態度にだんだん恐怖を感じてきた彼は、
「今、払うなら210,000円でいい」
という店員の言葉に応じて言われた通りの金額を払ってしまいました。
意外と刑が軽い「ぼったくり業」
このお店でぼったくり被害にあった、という通報や相談は200件以上、人数も250人を越えています。そうなってからようやく警察が摘発に乗りだし、数名の店員をぼったくり条例違反で逮捕、起訴しました。店長含め、ほとんどの従業員は不起訴になったそうです。
裁判を受けることになった店員の一人、小宮山智也(仮名、裁判当時37歳)は公判で無罪を主張し、検察官の質問にまともに答えることはありませんでした。
――ぼったくりが社会問題になってるってわかる?
「ぼったくりがどういうものかわかりません」
――人を騙してた、って自覚はあるの?
「答えたくありません。黙秘します」
――あのさ、『もう二度としない』とか言えないの?
「黙秘します」
――被害者に対して、何か思うことある?
「黙秘します」
――『申し訳ない』とか、思わない?
「思いません」
――いっぱい通報されてたのは何でだったと思う?
「お客さんとの認識の違いです。全体的に料金が高かったので」
実際、このキャバクラ店は違法なことは何もしていませんでした。
店の開店前には毎日ミーティングが開かれていて、お金の取り立て方や店の運営方法が刑法や条令に触れないよう全従業員に徹底していました。
例えば、このような店には値段を書いたメニュー表がなければ条令違反になるのですが、このお店では壁にきちんとメニュー表が貼ってありました。メニュー表の前にたまたま従業員が常に立っていて客から見えなくなっていただけです。
もちろん金額も全て正しく書いてあります。各テーブルにもメニュー表は置いてありました。客が気づかなかっただけで、ちゃんとテーブルの裏側に貼ってありました。
外にいたキャッチもそもそも店と直接雇用契約を結んでいるわけではなく、『総額が3,000円』とは一言も言っていません。
「全部込みで3,000円だよね?」
などと客に問われても
「セット3,000円です」
と答えていたようです。
料金説明に嘘があると条令違反になりますが、たしかに嘘はついていません。事実を伝えています。セット料金は3,000円です。
開店前のミーティングでは必ず出てくるフレーズがあったそうです。
「安く遊べると勘違いさせろ!」
店からはぼったくり訴訟の資料がたくさん押収されました。客や警察対策もいつも話し合っていたそうです。傍聴席から見ていると、検察側がかなり不利な状況に追い込まれているように感じました。
この裁判での求刑は罰金40万円。このキャバクラ店に関しては、警察に届け出があって判明している分だけでも総額5,000万円以上の被害が出ています。(取材・文◎鈴木孔明)
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