日大アメフト部危険タックル問題 内田前監督と井上前コーチを「関東学生連盟が除名」は重いのか
TABLO / 2018年5月30日 12時41分
1・日大当該選手のタックルの危険性
2・日大のアメフト部の指導
3・日大運営する理事
1から3の順番にかけて「罪」が重くなっていきます。
1について。
この問題がこれほど大きくなったのは、まず、いかにタックルが危ない行為か。そしてだからこそ、ルールが厳格に設けられているという点。これは僕が選手だったラグビーについても同様です。「相手選手を頭から故意に落としてはいけない」「首から上にタックルに行ってはいけない」「ボールを持っていない選手にタックルに行ってはいけない」などです。
何回か、弊サイトで指摘しているように、タックルで下半身不随になったなど重大な後遺症に悩まされる事になった選手を僕はラグビー選手の経験から、身近で見て来ています。日大当該選手のタックルは本当に危険でした。
2について。
1の原因が2です。体育会系の闇というか、いまだにこんな指導をしているのか、という点が明るみになった点。内田前監督は篠竹元監督のスパルタを勘違いしているのではないか。あるいは、いつからか勘違いをしてしまったのではないかと推察できます。
昭和の30年前、40年前は「試合中、水を飲んではいけない」など根拠なき根性論がはびこっていました。が、それほど根性を注入しても世界のチームを相手にすると子供扱いでした。これは何かが間違っているのではないか。そして現在の優秀なチームは選手同士での話し合いなどを密にし、チームとしての機能性を大事にし、また人間育成にも力を入れているチームが躍進をしています。
日大の内田前監督はその真逆の指導でした。篠竹元監督は厳しかったけれど選手がついてきたのは、「愛情」があったからです。現在、体罰は厳罰に処せられます。僕もラグビー部時代、ミスをすると体罰くらったこともありました。しかし、全く監督を恨んではいません。愛情を感じられたからです。やられた方はそうしう感情に敏感です。
関東学生連盟の聞き取りで特定選手を「ハマる」と部で呼んでいた行為を内田前監督、井上前コーチは行いました。「ハマる」はイジメです。パワハラです。パワハラを20歳の学生が受けた場合、精神に異常をきたすほどひどい状態になります。
日大当該選手は、悪質タックルをした時、明らかに自分を失っていました。なぜか。内田前監督と井上前コーチが精神を追い詰めていったからです。これは故意に相手の神経を削り取っていく行為でした。相手は学生です。教育を受ける立場の人間です。学生体育会は教育も兼ねています。体育と教育は大学の中では、別々ではありません。もし別だと言う人がいたら、大学でなくプロに行ったら良いのです。
3について。
これが最も重要かつ、今回の問題に根強く横たわっている闇です。内田前監督は日大学生職員、約10万人の人事をつかさどる事が出来る人間でした。人を自分の思い通りに動かせるという支配感は毒リンゴです。一度味わったら、やみつきになります。内田前監督は学生だけでなく、職員らも支配していました。
関東学生連盟は内田前監督を除名処分という最も重い処罰を下しました。確かに重いでしょう。しかし、最も重要なのは、彼が日大常務理事という位置に未だついている点です。またその親方が田中理事長であるという点。田中理事長の次の理事長が内田前監督と言われていました。この常務理事がもっとも重要です。
権威がそこに集中しているからです。井上元コーチの除名処分は彼にとってかなり重いでしょう。彼をコーチとして再雇用するチームが、社会人チームがあるでしょうか。再就職が出来るでしょうか。会社の立場に立って考えてみてください。まだ30歳の井上コーチはアメフトではなく、社会人としての勉強を雑巾がけからしてください。まだ間に合います。
翻って、内田前監督の除名処分はさほど彼にとってダメージは少ないと考えます。だからこそ、日大での記者会見の際、日大アメフト監督を辞する旨を淡々と発表しました。しかし、井上前コーチの「私はコーチを辞めます」と言ったニュアンスには温度差が感じられました。
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国の補助金が下りているのだから他人事ではない
内田前監督の親方が日大学生・教職員約10万人のトップに立つ、田中理事長です。田中理事長のコメントが出ない限り、日大がこの問題に対しどのように感じているのか、全く分かりません。
大塚学長が会見しましたが、学長はあくまで教育部門での長。大学の長ではないのです。大学の長は田中理事長です。
日大には補助金が国から数十億円の金が落とされています。その予算を牛耳るのが田中理事長であり、内田前監督兼常務理事です。筆頭常務理事は石井進氏。しかし、体育会系で形成されている理事会では石井氏の発言はさほど重要ではないと思われます。
なぜ、体育会で日大が牛耳られるようになったのか。1960~1970年代。学生運動の季節でした。中でも日大全共闘の武闘ぶりは強烈でした。それを抑えたのが体力に勝る体育会系学生たちでした。この系譜がいまだに、日大に流れています。
田中理事長と六代目山口組司忍組長とのツーショット写真が公開されました。数年前の事とは言え、司組長に会えるという事自体、なかなかあり得ません。というより、教育機関の長である人間が、ヤクザの組長と仲良さげに会合をしているという事態が異様です。
暴力団排除条例が全国で施行されてから、ヤクザの側の方が一般人に接する事を控えるようになってきました。特に芸能界との接触でした。従って現在は付き合いはないとは思います。
田中理事長に取材しようとするリポーターたちに立ちはだかるのは、田中理事長の出身母体である相撲部の元学生らしき巨体の人間たちでした。
彼は「アメフトはルールも分からないんだよ」と意味不明なコメントを口走ったのみです。田中体制がなくならない限り、日大体質は変わらないでしょう。内田前監督が常務理事を辞任しないのであれば、彼にとって関東学生連盟からの除名はさほど重い処分ではないのです。(文◎久田将義)
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