61歳のビキニ姿 宮崎美子「いまのキミはピカピカに光って♪」が放送された昭和は“まだ”日本が牧歌的だった頃|中川淳一郎
TABLO / 2020年10月19日 11時30分
![61歳のビキニ姿 宮崎美子「いまのキミはピカピカに光って♪」が放送された昭和は“まだ”日本が牧歌的だった頃|中川淳一郎](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/knuckles/knuckles_33650_0-small.jpg)
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昨今、CMはクレームがつかないことがかなり大事な状況になっている。本来は販売促進のためのものだったのに、ネットがここまで一般的になった今、それに加え「悪評を広めない」表現が求められる。
大企業のCM中心のプロモーションが限界に来ているのではないだろうか。販促やブランドイメージ向上のためにやるべきことは元々「テレビCMがあったうえで、その他様々な手段を駆使する」だったが、2000年代中盤からは「課題を解決するためにどの手法が良いか、手段は都度考える」という考え方も広告業界では使われるようになっている。
広告一辺倒の考えとは真っ向対立する企画をバシバシと繰り出す株式会社GOの三浦崇宏氏は、PRTableのインタビューで「広告でも商品開発でも何でもいいけれど、未来に対するアクションを一緒に作りましょう」とクライアントには伝えると述べている。
そう考えると、昭和のCMというのは実に牧歌的だった。娯楽の王様がテレビだっただけに、テレビ広告を作っておけばとりあえず商品の認知度は高まった。そのため、とにかく各社CMソングを鼻歌で歌い、コピーをマネしたくなるようなCMや、キャラが特殊なものを次々と繰り出したのだ。
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何とも言えない味を出していた昭和のCM
2014年、キリンビールの缶チューハイ「本搾り」のCMに登場するカエルがかわい過ぎるということで未成年の飲酒を誘発しかねないと批判された。結局このCMはお蔵入りに。
私が小学生の頃流行っていたCMはサントリーの酒類のCMだった。「カールおじさん」のイラストで知られるひこねのりお氏が描く「サントリー缶ビール」のCMに登場するペンギンや、「タコハイ」のCMに登場するタコは子供達に大人気だった。子供達から親近感を抱かれたことは認めるものの、果たして未成年の飲酒を誘発しかねない、という批判が社会問題化されたかといえばどうだろうか。そういった声はサントリーに寄せられたかもしれないが、抗議に屈してCM打ち切りとはならなかった。何しろ人気シリーズなので何本もCMが作られたのだから。
幼少期の記憶の方が鮮明、というのはあるものの、結局今でもCMソングや決めゼリフがスラスラと出てくるのは昭和のCMである。当時の小学生に人気だったCMを振り返ろう。
「ちゃっぷいちゃっぷい、どんとぽっちい」(大日本除虫菊[キンチョー]「どんと」)
携帯カイロのCMなのだが、縄文人のような男が「ちゃっぷいちゃっぷい」と言い、もう一人が「どんとぽっちい」と言う。私の通っていた学校は冬でも長ズボン禁止だったため、休み時間はどいつもこいつも「ちゃっぷいちゃっぷい」「どんとぽっちい」をそこかしこで言っていた。
「幸せってなんだってなんだって、ポン酢醤油のある家さ」(キッコーマン「ポン酢しょうゆ」)
これは明石家さんまが軽快に歌いながら踊るCMだったのだが、まさに流行歌のようになっていた。踊りもキチンとつけつつ、最後まで歌うのが流儀であった。ポン酢しょうゆがない家は不幸だと思ってしまった子供達は「さんまのポン酢しょうゆ買って!」と母親に言うも「ミツカンの『味ポン』があるからいらないの!」と反論され「やだーやだー、キッコーマンがいい!」とダダをこねていた。
「お湯をかける少女」(ハウス食品「ハウスヌードル303」)
いかにもマイナーなハウス食品のラーメンが奇策に出た。お湯をかけるだけで食べられる袋入り麺といえば、チキンラーメンの牙城だったが、そこに殴り込みをかけたのが「303」だった。原田知世主演『時をかける少女』が話題となったが、303のCMでは工藤夕貴がヤカンを持って走って来て「おー湯を、かけーる少女」のBGMが流れる。「かけーる少女」は『時をかける少女』の主題歌とメロディを変え、パクリ度合を少しでも弱めようとする健気さがあるCMだった。
まだまだ思い出が止まらない昭和のCMたち
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「なに、サスケ!」(サントリー「サスケ」)
コーラの対抗馬として登場したであろう黒い炭酸飲料。「コーラの前を横切るヤツ」というコピーがついていたため、「黒くて素早いヤツ」ということで忍者がモチーフとなったのだろう。商品は最後に登場するだけなのだが、忍者が登場し、場面が次々と切り替わる様が意味不明で人気に。途中、警官が受話器を持ち、「何? サスケ?」と言い、その後外国人の牧師が「ナニ、サスケ?」と言う。子供達の心を捉えたのは、カタコトの日本語の牧師バージョンで、警官の「何? サスケ?」はほぼ採用されなかった。
「いまのキミはピカピカに光って」(ミノルタ「X7」)
斎藤哲夫が歌う『いまのキミはピカピカに光って』に合わせて宮崎美子がビーチでTシャツを脱ぎ、ビキニになっていく。プールの時間は必ずこの歌を歌いながら男子は着替えをしたものである。なお、大学生世代はこのCMに登場する宮崎美子の腹回りの肉付きが良かったため、歌を歌いながら腹を出した後にお腹の贅肉を掴んで震わせ同時に「みやざきよしこぉぉ!」と決めゼリフを言う宴会芸もあったという。
他にも丸大ハムの「大きくなれよ~」やキンチョーの「ハエハエカカカ」なども印象深いが、これを語り始めると際限なくなるので今回はここらへんで。昭和的な面白いCM、また見たいですね。(文◎中川淳一郎 連載『俺の昭和史』 ※この記事は平成30年9月18日に公開したものを再編集しました ※タイトル画像はイメージです)
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