これぞ泥試合 富山県知事選が凄まじい事になっている 「他県の人に知られたら恥ずかしい」(有権者)
TABLO / 2020年10月24日 8時44分
富山県知事選がえらい事になっている。
10月25日に投開票される富山県知事選が、「保守分裂」の泥沼選挙になっている。
富山県は「保守王国」と呼ばれ、現職の富山選出の衆参国会議員6名のうち5名が自民党。そんな土地だが、5期目を目指す石井隆一氏(74)に対抗し、元日本海ガス代表取締役社長の新田八朗氏(62)が出馬した。いずれも自民党と深いパイプを持つが、今回は石井氏が自民党の推薦を受ける形となった。
今回の選挙をめぐっては富山市長の森雅志氏(68)が新田氏の強力な応援団として存在。石井知事と森市長といえば、3月30日、富山県で20代女性2人の新型コロナ感染が確認された際の“罵り合い”で知られる。元々富山市で感染者が出た場合、富山市が会見するという申し合わせが県との間ではあった。
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女性の1人が富山市在住だったため、市は翌31日に会見する予定だったが、石井知事が30日夜に会見。これに対し森市長が「パフォーマンスが過ぎる」とかみつくと、石井氏は「市には30日中に会見をしては、と何度も言ったが聞き入れられなかった」と反論するなど、富山市と富山県の恥ずかしいバトルが全国ニュースとなった。
今回の選挙では、新田氏の姉の元北海道知事で現参議院議員の高橋はるみ氏も応援に入るなど、力の入れようはハンパない。現職を追い落とす勢いを感じる新田氏の支持者はこう胸を張る。
「石井さんなんてジジイ。あんなショボショボの爺さんに任せてどうするってのさ。あんな老害に5選を許すわけにはいかない。新田さんはね、ビジネスのセンスもあるから、富山の財政を任せるには適任さ。しかもお爺さんは元々富山県知事だしね。日本海ガスだって富山で一番大きなガス会社だよ。森市長とも仲がいいし、この2人に富山県を任せておけばいいさ」
一方、石井氏の支持者は石井氏を「よぼよぼの爺さん」と言いつつも、実績の十分さと安定が求められる今は再選すべきだと考えている。
「コロナに関するリーダーシップ云々でいうと、全国でいち早く対応したよ。PCR検査の軒数も全国で上位だよ。やっている政策は悪くないが、見た目がとにかく悪い! ビジュアルの面では爺さんなので悪い。よぼよぼで、言葉がぼそぼそしていて、何言ってるのか分からない。話が長い」
支持者だというのに何をdisっておるのだ、という感じだがもう少し話を聞こう。
「ただね、石井さんの実績は素晴らしい。県民の支持率は約80%と高いし、富山県の財政赤字400億円を解消したり、北陸新幹線の富山県の財政負担を減らしたりしてきた。地方行政・財政のプロであり全国知事会でも一目置かれている存在だよ。ただ、会見で県民を安心させたり、夢を持たせたりはしていなかった。情報発信力はあまりないからこそ、今回新田さんが派手に見えるんだろうね。本当に優秀な官僚だよ。県知事の実務をやらせれば全国トップクラスの能力の持ち主だ」
まさに「官僚vs財界人」といった形の争いになっているが、富山の地元メディア関係者は、なりふり構わない新田氏の選挙手法に呆れる。このメディア関係者のコメントは後に紹介するが、まずは富山県議の瀬川侑希氏が10月14日に執筆したブログからその概要を抜粋しよう。
「選挙運動は本来、自由無制限に行われるのが理想ですが、これを無制限にすると、お金のある人ほど物量に頼ることができ、選挙を有利に進めることができます。『誰でも立候補できる』『お金のあるなしに関わらず、平等な選挙』が選挙の基本理念。それを実現するために、選挙運動の費用、自動車、拡声機、ポスター、ビラなどの制限があります。例えば、顔写真の入ったポスターは公平に県内2,355ヶ所のポスター掲示場でしか掲出できません。現在富山県では県知事選挙が行われていますが、
・名前こそないが、シルエットのあるチラシ、ポスター
・顔写真の入った旗
が非常に目につきます。みなさんも見たことはありませんでしょうか? 目につくということは、相当のお金をかけて相当の物量が展開されているのでしょう。これらは公職選挙法に規定はありません。いわばグレーゾーンと言えるかもしれません。しかし、法の理念に照らし合わせると、グレーゾーンだからOKという解釈になりますでしょうか?」
この瀬川氏の問題提起に、県内メディア関係者はこう呆れる。
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「なんでこんな血なまぐさい選挙になってしまったんでしょうか。公職選挙法違反すれすれのことをやる選挙なんて前代未聞ですよ。新田氏のお金の使い方が半端ない。田舎の県知事選なんて普通、3~4千万円を使う程度だが、新田氏は私の見立てでは3億円ぐらい使っているのではないか。やっている手法が、都知事選で某政党がやっていたような選挙。相手への誹謗中傷とお金を使って公職選挙法違反すれすれ。
しかも、瀬川議員が紹介した件以外でも“政談演説会”の告知名目だとポスターを張ってもいい、という抜け穴を使い、自分とお姉さんである高橋はるみ氏の顔がついた幟と、自分と森市長の幟を県内に相当数立てた。新田氏は孫も選挙活動に活用してるけど、18才以下の子供を選挙に参加させるのも立派な公職選挙法違反ですよね。
さらにはシルエットとメガネのついた、顔写真ではないが、候補者を類推できるようなポスターを作ったり、本来街宣車は1台しか使ってはダメなのに、『ワンチームとやま号』と名付けた別の街宣車も作って街宣をしている。これを現職市長と現職参議院議員もやってきて毎日やっている。こんなことを他県の方々に知られたら恥ずかしいですよ……」
しかしながら、選挙というものは本来血みどろの戦いなわけで、前出・新田氏の支持者は「勝つためなら手段は問わない。新田さんが勝つことで富山は良くなる」と意気軒高で、瀬川議員の問題提起や職員の嘆きを一蹴した。一方、「民間のあたりまえを県政に、というのが新田氏のキャッチコピーだが、まさに“資本のあるものが勝つ”ことで“民間のあたりまえ”を県民に見せつけているよう。こんな人が、コロナ危機で生活が苦しい中小企業や家族のことを理解してくれるのだろうか」との県民の声も存在する。とにかくハチャメチャな選挙戦が富山で展開されているのだ。(文・写真◎編集部)
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