殺人者は眠くなる 「座間9人殺人事件」白石隆浩被告は眠い目をしていたのだろうか
TABLO / 2020年10月28日 5時50分
座間事件現場のコーポ。(撮影・編集部)
「日の下に新しきものなし」という言葉があります。理解不能な事件でも何らかの兆候が見えたり、類似性が見えてくるものです。
国内の犯罪史上、「日の下に新しきものなし」に当てはまらない、すなわち前例がない犯罪と言われているのが座間9人殺人事件ではないでしょうか。
まずは犠牲になった方のご冥福をお祈り申しあげます。
関連記事:過去のシリアルキラーに当てはまらない座間九人殺人事件白石隆浩容疑者の正体 | TABLO
9人もの人を殺め、損壊、遺棄したシリアルキラー(連続殺人犯)、白石隆浩被告。
昭和史で最悪のシリアキラーと言うと小平義雄、大久保清、勝田清孝、西口彰などなどが想起されます。
平成に入ると神戸児童連続殺傷事件や宮崎勤事件、池田小事件、相模原障害者施設事件など悲惨な事件が起きてしまいました。
こういったシリアルキラーの特徴として、何らかの前兆があるものです。「動物を虐待している」「猫を殺している」「幼女へのいたずらの前歴がある」等々。
ですからSNSか発展している現代では、特に少年犯罪が起きた時には瞬く間に、真偽不明の情報が拡散されます。不良少年少女たちのネットワークはいつの時代でも大変素早く広がります。それに踊らされてはいけないのですが、中には「もしかして有益かも」という物も散見されます。
「何らかの兆候があった」「こういう噂があった」といった類ですが、それも潰していけば、犯人の実像の一端に辿りつく場合もあります。
前記に挙げた日本のシリアルキラーも、前兆や噂や前歴があったりしました。昭和にもしSNSがあれば瞬く間に、名前まで上げられていたような人物もいます。
まもなく令和になろうとしていた2017年。神奈川・座間のコーポで9人もの方々が殺害され遺体損壊する事件が起こりました。現在、裁判中の白石隆浩被告の事件です。
こういった連続殺人(シリアルキラー)の特徴として何らかの前兆が見当たっても良いはず。ですが、白石被告の場合、それもありません。
人を殺めるという事は、「人として一線を越えた」という風に僕には思えます。先達と比べると、数少ないですが事件取材をしていると殺人犯にインタビューする機会があります。
参考記事:岩崎隆一容疑者と宅間守死刑囚の共通点 小学生を襲った二人の悪魔の「心の闇」|八木澤高明 | TABLO
ある公立大学の先生(役職はぼやかしておきます)の場合。インタビュー中に「なぜ事件を起こしてしまったのか(人を殺めてしまったのか)」と尋ねると、急に眼がトロンとしてしまい、眠そうな表情になりました。そして「何でそんな事を聞くのですか」と返答しました。その表情に、昼間で人が多い喫茶店の中にもかかわらずぞっとした事を記憶しています。
また、あるヤクザに取材した際、刑務所に入った理由を尋ねると「殺人です」と答えました。それまでしっかり受け答えしていたのがその時も、眼がトロンとしたように見え、またも不気味な想いにとらわれたものです。
千葉・市川で一家四人を強盗目的で殺害し、永山則夫以来、未成年で二人目の死刑判決を受けた関光彦元死刑囚も永瀬隼介著「19歳」では、殺害後「眠くなるんですよね」といった言葉を著者に手紙などで投げかけています。
白石被告も僕の感覚では「人として一線を越えてしまった」と見ています。そして「日の下に新しきものはない」ということわざを冒頭に引用しましたが、白石被告の所業はどのシリアルキラーにも当てはまらないような気がします。彼の幼少期のレポートも発表されていません。と、言うことは動物虐待など目立った行動をするような人間ではなかったようです。
白石被告の裁判が開かれてから、彼に面会に行った記者たちの証言から彼の似顔絵がテレビで散見されるようになりました。彼の言葉そのものは開き直りと言えるもので、例えば池田小学校の宅間守元死刑囚や植松聖死刑囚と同様のものを感じます。
そしてやはり、気になるのが似顔絵の目です。僕からは白石被告の似顔絵(とは言え)眼がトロンとしていて、眠くなっているような気がします。一線をこえてしまった人間の特有の表情な気がしました。《文中一部敬称略》(文◎久田将義)
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