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第10回目のAKB48選抜総選挙 見事1位に輝いた松井珠理奈の「珠理奈劇場」|久田将義

TABLO / 2018年6月17日 6時30分

総選挙1位となった松井珠理奈(©AKS)


「プロレスみたい」
「一体何話してるんだろうな」

 僕の隣の男性客が感心したようにつぶやいていました。......そうか、プロレスか。

 松井珠理奈のスピーチ。「大切なことを話します。1位になる事が夢でした」とためてからの「卒業はしません」は、小嶋陽菜あたりからのお約束事ではあり、目新しくはないのですが、それからが「珠理奈劇場」の幕開けでした。

 テレビの放送時間が迫り、徳光和夫さんに急かされる松井珠理奈。そして、徳光さんが新聞の見出し用に無理やり「宮脇咲良さんに何か言いたい事ある?」と振ったかと思うと、おずおずと立つ宮脇咲良を抱き寄せた松井珠理奈。ハグした後、ずっと語りかけています。

 どこかで見た光景だと思ったら、冒頭の男性客の「プロレスみたい」でした。または、格闘技やボクシングの試合後の選手同士でハグし、何事か語りかけている状況です。


 それまで、いまいち盛り上がりに欠けていた、今回の総選挙。「世界総選抜」と名付けられ、BNK48メンバーもランク入りしましたが、テレビを見ていた人は盛り下がりに気付いていたのではないでしょうか。

 新幹線の終電は早いです。と、いう事もあるのでしょうが、2位が須田亜香里と発表された時点で、帰る人が出てきます。これは須田が不人気というわけではなく、日産スタジアムで大島優子が2位、指原莉乃が1位になった時にも起きた現象です。

 しかし、最後の最後で「珠理奈劇場」が開催。これで、今回の総選挙の何となくざわっとした雰囲気を一気に吹き飛ばしたように感じました。


 暗いスピーチが連続するの無理はありません。それほど、ライバルだった(坂道グループの)乃木坂46、欅坂46の勢いと差は誰の眼から見ても明らかでしょう。
 事実、僕が取材したメンバーも「全盛期の48を取り戻したい発言」をよく聞きました。

 また、NGT48の、いや48グループの中心メンバーになりつつある中井りかの「やっちまいました」で、会場がちょっと引いた感じになってもいました。
 「去年は須藤凜々花で今年は中井りか。48グループは炎上でしかニュースにならないのか」
 そんな思いを抱いたファンもいた事でしょう。

 中井さんに関しては個人的に、ユニークな存在だと思っていますし、インタビューした時「豆腐メンタルでした」から「今は鋼のメンタルです。りかは強いですよ」と答えていたほどです。その心根をどう変えたのか、一冊の本で読みたいくらい興味深いです。


 ともすれば、スキャンダルが話題になって終わる総選挙ですが、最後の珠理奈劇場でナゴヤドーム全体が、ほんわかとした感じになったのは僕だけでしょうか。

 NGT48、SKE48の躍進。BNK48メンバーのランクインなどが目立った10回目の選抜総選挙ですが、個人的には「珠理奈劇場」が今回の目玉だったのではないかと感じています。(文◎久田将義 / 写真提供◎AKS)

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