2040年までに33%の「お寺」が消滅する? あなたにとって全く無関係ではない迷惑な話
TABLO / 2018年7月2日 11時30分
仏教寺院は日本に約75,000カ寺あります。セブンイレブンの国内店舗数がようやく20,000店に到達したと考えると、とんでもない数に思えます。しかし、これから20年余りで寺院の3割以上が無くなるのでは、と言われています。これは仏教界では大問題になっているようですが、一般の私たちに周知されるほど報道されては来ませんでした。
そもそも寺院が無くなるという話は、2014年5月に民間の政策発信組織である日本創成会議が発表した「消滅可能性自治体896」をもとにしています。これは、2040年までに高齢化や人口減少、過疎化に伴って、全国1800市区町村のうち約半数の896自治体が維持困難になることをデータで示したものです。単純に、消滅可能性自治体に建つ寺院を数えると、24770カ寺、約32.7%になります。自治体が維持できないのなら、そこに建つ寺院も維持できまい、ということです。ですが、2040年を待たずして寺院のあり方自体は変わってきています。
たとえば、過疎地域では「兼務寺院」が急増しています。1人の住職が、かけもちする寺院のことです。寺ごとの運営が金銭的に困難だったり、住職の後継者を確保できないケースが多いため、複数の寺院を1人の住職が運営せざるをえないのです。なかには、5つ6つの寺院を兼務する住職もいます。兼務寺院の割合は宗派によって差がありますが、全体で約20%のお寺がすでに兼務されています。
この兼務寺院には問題があります。常駐する僧侶のいない「無住寺院」がほとんどなので、境内の手入れが行き届かず、荒れるに任せた寺が少なくないのです。維持できないからと、宗教法人(お寺)を解散する例も出てきています。兼務(無住)寺院の増加も、それによって寺院が無くなるのも仕方のない時代の流れでしょう。
では、このことで私たちにどんな問題が起きるのでしょうか。
まず、近所に無住寺院があると、火災による類焼や倒壊などのリスクを抱えることになります。
あなたの先祖代々のお墓のある寺院(菩提寺)が、荒れ放題の無住寺院になってしまったらどうでしょうか。お墓参りに行っても本堂はボロボロ、墓地は草が生え放題で虫だらけ、水も出ない...。ということは大いにあり得ます。それだけでお墓参りが億劫になりそうですが、近隣から「お荷物」と捉えられている場所で祖霊が安心して眠れるとは思えません。
また、「自分は無宗教だからお寺が無くなろうが関係ない」と言う人もいますが、何も知らないでいると痛い目に遭うかもしれません。
たとえお墓参りに行かなくても、「○○家の墓」など先祖代々のお墓の「使用権」は継承されるのです。菩提寺が解散してしまい墓地の管理者(所有者)がいなくなった場合、墓地使用権の継承者がお墓を別の墓地に移さなければならないケースもありえます。お墓の場所を移すことを改葬と言いますが、これには数十万円から数百万円の費用がかかります。まずは使用権が現状どうなっているか、調べておいたほうが良いかもしれません。
さらには、維持困難な地方寺院がブラックマーケットで売買される例もあります。宗教法人は税制優遇されるので、反社会組織などがこれを買うわけです。気づかぬうちに菩提寺の代表役員が恐い人になっていた、ということもありえます。代表役員が変わって、何が要求されるのかは分かりませんが、無住化や解散、売買などの寺院側の都合に巻き込まれる可能性は十分に考えられるということです。
あなたの菩提寺は大丈夫でしょうか?
ともあれ、この夏、お墓参りを済ませたら、住職に「後継者はいるのか」「今後も維持管理できるのか」と聞いてみましょう。こちらも"お寺を見張る目"を持つことが必要です。(文◎東康)
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