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安倍政権に嫌気がさした事と締め切りの催促が優しくなった件について|青木理

TABLO / 2018年7月3日 12時52分

 今回の原稿も、締め切りを大幅にすぎてしまった。編集長の久田くんからは何度も電話が鳴った。メールも来た。以前この連載で久田くんの"怖さ"をバラしたせいか、「ツイッター気分で気軽に、数百字でも構いませんから」というずいぶん優しい文面だった。

 だから心は痛んだが、しかし、書きたいこと、書くべきことが、にわかに思い浮かばない。腐臭漂う政治についてならネタは尽きないのだが、あの政権を批判するのもほとほと嫌気がさしてきた。

 いくら問題点を指摘されても馬耳東風、糠に釘、蛙の面に小便。国会中継を流すテレビから、あの舌足らずな口調でひり出される屁理屈が聞こえてくると、もう勘弁してくれと電源を切りたくなる。

 おそらくは同じように感じている人が多いのではないか。問題だらけなのに聞く耳すら持たず、知らぬふりで開き直る。何かを変えるつもりもなく、実際に変わる気配もない。広がるのは嫌悪と諦観、そしてニヒリズム。それにみなが麻痺し、時間とともに忘れいく。もとよりそれを狙っての振る舞いだろうから、まさに政権の思う壺。いつか巨大なツケを払わされる予感はするけれど、でもあの男の面をしばらく思い浮かべたくもない。

 こんな時にツイッター、あるいはフェイスブックやブログなどで盛んに情報発信する人には、つくづく感心させられる。締め切りがあるわけでもなく、編集者に追われているわけでもないのに、日々大量の文字を産み出していく。少しでも真似できれば久田くんに苦労をかけることもないのだが、どうも僕にはできそうもない。そんな暇があればあれもこれも......と妄想は広がるばかり。とりあえず来週は福島の被災地をめぐろう。(文◎青木理 連載『逆張りの思想』)

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