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『週刊少年ジャンプ』創刊50周年で思う「俺はなぜジャンプから離れていったのか」|中川淳一郎

TABLO / 2018年7月10日 13時9分


 週刊少年ジャンプ50周年記念号が話題となっている。今回は井上雄彦と鳥山明の6ページ対談があるなど、大々的に報じられている。少年ジャンプの部数は最大の時の653万部(1995年3・4号)からは随分と減っているが、ヤフーニュースのヘッドラインに今回の記念号に関する記事が出るなどいまだに大いに影響はあることは間違いない。

 しかしながら小学生時代からジャンプを読み熱狂しまくった現在の40代~50代の多くはもはやジャンプを定期的には買っていないだろう。

 私もそうだ。「ジャンプ黄金時代」といえば、前出の1995年あたりを指すかもしれないが、1973年生まれの自分自身にとっては小学校高学年から中学生にかけての1984~87年あたりが一番ジャンプに熱狂した時代だった。
 不思議な話なのだが、今漫画喫茶(ネットカフェ)に行った場合、読んでしまうのは当時連載していたジャンプ作品なのである。


「俺の」ジャンプ黄金連載陣はこれだ!


『きまぐれオレンジロード』
『ハイスクール!奇面組』
『銀牙-流れ星銀-』
『キン肉マン』
『コブラ』
『キャプテン翼』
『魁!男塾』
『ジョジョの奇妙な冒険』(第一部・DIOの時)
『北斗の拳』
『キャッツ・アイ』
『シティー・ハンター』
『Dr.スランプ』
『ドラゴンボール』(※ただし、ピッコロ大魔王が出た時期以前に限る)
『天地を喰らう』
『ウイングマン』
『よろしくメカドック』
『シェイプアップ乱』
『聖闘士星矢』
『赤龍王』
『ばくだん』
『男坂』


 1984年の40号では謎の『海人ゴンズイ』が連載を開始し、1985年の23号では謎の『すもも』の連載が開始した。今でこそ味わい深い作品として記憶に残っているのだが、当時はまったくワケが分からなかった。上記で挙げたような作品の次を楽しみにしていただけに連載終了になる『コブラ』や『天地を喰らう』『男坂』の終了が残念でならなかった。

 そして、不思議な話なのだが、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』は、自分がジャンプから距離を置いた後も2016年まで連載をし続けていたため、80年代は大好きだったのだが、なぜか思い入れがなくなってしまった。

 これは「少年漫画」と言われるものの宿命なのでは、とも思う。自分が大学生・社会人になって「少年ジャンプ」を読み続けるのは違和感はある。だからこそその頃には一旦終わっていた『キン肉マン』や『キャプテン翼』『魁!男塾』には愛着があり、その間も続いていた「こち亀」は、「もはやオレらの漫画ではない」という感覚を抱いたのかもしれない。

 その一方、ある程度の雌伏の期間を経て「大人買い」で一気にコミックを買えるようになったリバイバルバージョンの続編的作品は「おっさんホイホイ」的に我々世代をターゲットとし、実際懐かしさとともに購入に至った。

 今の週刊少年ジャンプは読みたくないものの、漫画世代における最大級のボリュームゾーンである我々団塊ジュニア世代を獲得するには、やはり1984年~1987年の小中学生を狙うのがいい。その点、『キン肉マン』や『キャプテン翼』の「その先」はオッサンにとっては実に大人買いをしたくなる対象になっている。

 そして私は『ONE PIECE』を一回も読んだことがない。これだけ売れているのだから面白いのだろうが、それよりも『天地を喰らう-諸葛孔明編-』とか、『ウイングマン 2018年・中年編』などがあったらそちらを読みたいと考える。

 今回のジャンプ50周年の特集号を買う気にまったくなれなかった自分は、やはり好奇心を失ったオッサンに成り下がったとともに、結局は一番ターゲットとしてドンピシャだった時期の週刊少年ジャンプ以外は受け付けない体質になってしまっていたことを、今回は改めて示された形となった。『ブラックエンジェルズ』の続編やスピンオフ作品は毎回読んでいるというのにどういうこっちゃ。(文◎中川淳一郎 連載『俺の昭和史』第二三回)

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