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「サイコ巡りのプロ」がとうとう見つけた渋谷・金王八幡宮に祀られる神輿ストーリーが最高にサイコ!

TABLO / 2018年7月26日 15時46分

 僕のライフワークに「東京最古のものを巡る」というものがあります。勝手に「東京サイコ物語」と題し「サイコメグラー」を自称して久しいのですが、一向にブームになる気配はありません。

 これまでに東京サイコ小学校や東京サイコエレベーター、東京サイコ質屋や東京サイコ神社などを巡ってきました。

 サイコな場所を巡ると、サイコはやっぱり伊達じゃないというようなエピソードがついてくる楽しみがあります。例えば、両国にある東京サイコ質店の「福島質店」。


 徳川五代将軍・綱吉の時代に開業した福島質店は創業300年を誇る老舗で、かつては着物を質に入れる人が多かったといいますが、なかには両国ならではの物もあったようです。

 それは「化粧まわし」。
 今の力士は番付による給料制ですが、昔は親方にもらった小遣いをやりくりして暮らしていました。そうした中でお金に困った若い力士が、化粧まわしを持って質屋にやってくることも。さらには、タニマチにもらった高価なものをこっそり持ってくる力士もいたそうです。

 サイコ巡りふたつ目の魅力は、東京のあらゆる時代へのリーチがあり各時代の東京の姿が多層的に見えて来るところです。例えば、銀座の奥野ビルにあるサイコエレベーターは昭和7年のものである一方、サイコ神社の1つである上野の五條天神社は、今から1900年ほど前の西暦100年代であるといったように、いろんなサイコ物件を巡るだけで、あっという間に数百年を超える時間の旅ができるのです。


 今回はその中で、おかしなな来歴を持つサイコ物件をご紹介いたしましょう。

 若者であふれる渋谷。開発の進む東口から六本木通りを東へ進むと「金王八幡宮」があります。


 渋谷とは思えないほど静謐な雰囲気の境内。その一角に立つ宝物館が建に所蔵されて居るのが「東京サイコ神輿」です。


 鎌倉時代の作で、その歴史は900年近くに及びます。八幡宮に収められている神輿ですので、存在感のある巴紋があしらわれており、細かな意匠も美しく掘られています。重さは百貫、400キロ近くにもなる重厚な神輿です。


 この神輿が渋谷の金王八幡宮にやってきたストーリーがステキなのです。

 時は江戸時代のはじめごろ、金王八幡宮の氏子たちが鎌倉の八幡宮(おそらく鶴岡八幡宮と思われる)の祭りに参詣したとき、参道をゆく神輿を見かけました。
 そこに現れた神輿の、美しいことカッコいいこと。
 威勢のいい男たちの掛け声とともに、担がれていく神輿。その勇ましさ煌びやかさに、氏子たちは一緒になって担ぎはじめました。そしてなんと、祭りのドサクサにまぎれ鎌倉から渋谷まで担ぎ逃げた(そんな言葉あるのか?)のです。

 つまり、東京サイコ神輿は「鎌倉からパクってきたもの」だったのです。

 もちろん追っ手もいたようですが、神輿を担いだ氏子たちは、鎌倉から渋谷まで途方も無い距離を担ぎ逃げました。やがて目黒のあたりで日没が訪れ、暗闇に紛れて追っ手を振り切り渋谷までやってきたといいます。追っ手が神輿を見失った場所は、現在の中目黒の少し北側あたりで、「目切坂」という名前が残っています。

 思ってもみなかった東京の歴史に出会う「東京サイコ物語」、皆様もお休みの日にいかがでしょうか。(Mr.tsubaking連載 『どうした!? ウォーカー』第14回)

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