年末年始がコロナ対策の「大連休」になることにより犯罪に走るしか生きる術を持たない人々が存在することを西村大臣は知っているか
TABLO / 2020年11月23日 8時30分
画像はイメージです
突然、生活に困窮する人が必ず出てくる
先日、西村康稔経済再生担当相が新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために年末年始の休みを1月11日の成人の日まで延ばすよう企業に要請すると発表したことがニュースになっていました。実際にどうなるのかはわかりませんが、多少は休暇が延びる企業もあるのではないかと思います。
企業が休むことがコロナ対策になるかどうかはさておき、気になることは役所にもこの要請が影響するのかどうか、です。
もし役所が大型連休に入っている時に突然生活に困窮するような事態が起きてしまったら一体どこを頼ればいいのでしょう?
参考記事:コロナパンデミック第3波 生き残りを図る繁華街は今こうして変貌した 頼りにならない政治をよそに「焼肉店」が激増した理由 | TABLO
これは毎年、ゴールデンウィークや年末年始には発生している問題です。
それに加え、今のコロナが蔓延している状況です。裁判所に傍聴のために通っていると、主に万引きなどの財産犯で裁判を受けている被告人が
「コロナの影響で生活に困って…」
と犯行動機を話している光景は頻繁に目にします。
誰もがいきなり困窮に陥る可能性を持っています。そうなった時に、最後のセーフティーネットである役所の支援、つまり「公助」が受けられなければ犯罪に走ってしまう人も出てくるのです。
平成31年4月29日から始まり令和元年にまたがったゴールデンウィークは10連休という大型のものでした。
細谷賢治(仮名、裁判当時35歳)は連休の始まる前日、4月28日に窃盗罪での服役を終えて水戸刑務所を出所しました。まるでドラマのような話ですが、出所の際に刑務官から、
「もう二度と来るなよ」
と声をかけられたそうです。刑務官もまさか翌日に彼が再び逮捕されることになるとは思ってもいなかったと思います。
彼は刑務所を出てすぐ、「仕事を紹介する」と言ってくれていた知人に電話をかけました。しかしその知人は電話に出てはくれませんでした。後に彼はもう1度この知人に電話をかけることになります。犯行に至る直前です。その際にも知人が電話に出ることはありませんでした。
知人がいるのは東京です。連絡が取れなくてもとにかく東京に行けばどうにかなる。彼はそう考え、その日の夜行バスで東京に向かいました。
関連記事:テレビを筆頭としたコロナ禍を煽るメディアの「インフォデミック」 日韓ワールドカップを振り返ってみれば見えてくる|中川淳一郎 | TABLO
彼は幼い頃に両親を亡くし名古屋の児童養護施設で育ちました。頼れる親族はいません。施設を出たあとは配管工や建設業などの職を転々としましたが、どの仕事も長続きしませんでした。
原因はパチンコです。
彼はギャンブル依存症の診断が出るほどにパチンコにのめり込んでいました。金銭に困ってトラブルを起こして仕事を辞めざるをえなくなる、そして仕事がないから困窮して犯罪に走りよりいっそう仕事に就くのが困難になる、彼はいつしかそんな沼にはまり込んでしまっていたのです。
水戸を出て東京に着いた彼が真っ先に向かったのはやはりパチンコ店でした。手元には刑務所で得た作業報奨金が9000円ほど残っていました。
「2000円だけ使おう」
そう思ってパチンコ店に入りましたが、その日の夕方には彼はほぼすべてのお金を使い果てしていました。
先ほど述べたように役所はもう10連休に入ってしまっています。頼れる親族もいません。頼れるはずだった知人は電話に出ません。
残った僅かなお金で彼は1本のカッターを買いました。
「ホームレスになるくらいなら捕まろう、と思いました。普通はあり得ないかもしれないですけど、捕まるのも初めてじゃないし慣れてるというか…抵抗はなかったです」
そして彼は110番通報をしました。
臨場した警察官にカッターを示し、現行犯逮捕となりました。
自己責任。自助。
そう言って突き放すのは簡単です。ですが、それをすれば犯罪に走るしかなくなる人間も出てきます。死ぬ人間も出てきます。(取材・文◎鈴木孔明)
あわせて読む:コロナ感染者急増 立川志らく氏、東京都の医療体制に「卑怯なやり方」と口が滑ってしまいコメンテーターや視聴者からフルボッコ | TABLO
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
<安倍昭恵さんも登壇>妹を殺された男はなぜ「元犯罪者」に手を差し伸べ続けるのか? その葛藤に10年密着した『おまえの親になったるで』
文春オンライン / 2024年6月30日 11時0分
-
全国の刑務所や少年院でも上映! ドキュメンタリー映画『おまえの親になったるで』 草刈健太郎さん「元犯罪者の更生は“誰かがやらなあかん”」【インタビュー】
エンタメOVO / 2024年6月28日 8時0分
-
ホストから窃盗を繰り返した“令和のキャッツアイ”。本人が語った「逮捕されて本当によかった」理由
日刊SPA! / 2024年6月25日 15時53分
-
死刑囚たちや拘置所内の描写がリアル。「犯罪者が犯罪者の髪を切る」異様な仕事本/『死刑囚の理髪係』書評
日刊SPA! / 2024年6月25日 8時50分
-
女性で初めて暴力団員と認定…刑務所生活終えた人等に手を差し伸べる「元・ヤクザの女」消せない過去と充実する今
東海テレビ / 2024年6月23日 21時0分
ランキング
-
1呪術廻戦、実写CMで「塩顔イケメン」Xトレンド入り 「ドンピシャ配役」人気キャラ再現に大興奮
J-CASTニュース / 2024年7月4日 18時30分
-
2「アンジュルム」川村文乃 芸能界引退を発表「残りの約半年間を全力で」秋ツアーをもってグループ卒業
スポニチアネックス / 2024年7月4日 21時2分
-
3Number_i平野紫耀、KREVAの“提案”を一度断っていた「FNS歌謡祭」コラボ秘話明かされる「説得して本番はキッチり」
モデルプレス / 2024年7月4日 19時44分
-
4「危機かも」女装YouTuber、投稿休止した衝撃の理由を明かす。ファンからは「お気をつけください」の声
オールアバウト / 2024年7月4日 21時5分
-
5滝沢カレン 出演ドラマ主題歌を歌う歌手のサプライズ登場に号泣「本当に感動してしまってて…」
スポニチアネックス / 2024年7月4日 15時58分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください