身体の一部を欠損した女の子がお酒をすすめてくれるガールズバーがあるのをご存知ですか?

TABLO / 2020年12月2日 16時50分

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写真は欠損バー『ブッシュドノエル』(https://buchedenoel.tokyo/)より提供

あの「欠損バー」が5周年を迎えてトークイベントを敢行

欠損バー「ブッシュドノエル」とは、何らかの理由で身体の一部を失くした〝欠損女子〟たちとお酒を飲んだり、トークしたりできるガールズバーです。

店主の北川玲さんと広報担当の岡本タブー郎さんのおふたりを運営として2015年10月からスタート。多くのファンに愛されつつ、ときに批判も受けながら、このたび5周年を迎えました。それを記念して開催された今回のイベントでは、メンバーが独自に考えたショーや重大発表まで盛りだくさんの内容でした。それでは、実際のイベントの様子をお伝えしましょう。

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2020年11月27日、欠損バー「ブッシュドノエル」の5周年記念イベントが阿佐ヶ谷ロフトAで開催されました。出演者も観客も大盛り上がりで楽しんだ約2時間30分。そのイベントの様子をリポートしていきたいと思います。

■開演前から和気あいあいとした雰囲気。そしていよいよ開演!

イベントの開場は18時30分。コロナ禍ということで、手の消毒と検温、マスクの着用、観客席のソーシャルディスタンスを徹底した厳戒態勢です。とはいえ、会場ではメンバーの欠損女子たちとお客さんが和気あいあいとトークしていて、なんだかほのぼのした雰囲気。お客さんは若い男性のほかに、年配の方や女性、障害を持たれた方など、本当にいろいろな人たちが訪れていました。

そんななか、19時30分にいよいよイベントが開幕。司会を務める運営の岡本タブー郎さんとメンバーのあもりさんが舞台に上がります。まずはコロナの再流行で大変な時期、会場に来てくれた、そして、同時配信を視聴してくれたお客さんへの感謝がファーストワード。

そこから欠損バー「ブッシュドノエル」や今回のイベント内容についての説明を続けます。なんでも、メンバーの〝欠損女子〟が自分なりに考えたショーや重大発表を行うとのことで、会場は大きな期待感に包まれました。そして、大役にやや緊張気味のあもりさんを、岡本さんがうまくリードしながらアイドリング・トークを続けて会場を盛り上げます。それらがひと段落すると、いよいよメンバーによるショーのスタートです。

■あもりさんが起こした衝撃的なハプニング

「キミは障害者で可哀想だね」と言われたい私のような障害者がいることも知ってほしい|文◎あもり(欠損バー『ブッシュドノエル』所属) | TABLO

イベントのファーストバッターは司会として登場したあもりさん。彼女は生まれつき右手の指を欠損していますが、それを感じさせない天真爛漫なキャラクターが特徴です。欠損バーに参加したのは2016年に行われた大阪イベントで、「当時は自己否定が強くて、私なんかがイベントに出演していいのかと思って。イベントが終わると泣きながら会場を後にしました」と当時の思い出を語っていました。

そんなあもりさんに、岡本さんから「ある人からメッセージが届いている」と動画を流し始めます。そこに映し出された方は、なんと『五体不満足』の著書で有名な乙武洋匡さん! 乙武さんはよく「ブッシュドノエル」に訪れているそうで、来店したときにあもりさんが不在だったことでメッセージを送ってくれたのだとか。突然のメッセージに、あもりさんも大感激でした。

そして、いよいよあもりさんからの重大発表は「今回のイベントのため、自主制作した写真集を販売したい」とのこと。なんと水着や下着などのセクシーショットにも挑戦したのだとか。その努力の結晶をイベントで販売することを認めてほしいと岡本さんに提案します。会場のお客さんは「おぉ」と好感触でしたが、なぜか運営の岡本さんは微妙な表情…。というのも、「お客さんから正式に写真集発売の希望は来てないので、公式サイトで売るのはどうかな?」と懐疑的なんです。それを受けたあもりさんは真剣な表情で「覚悟を見てくれますか?」と一声漏らすと、いきなり服を脱ぎだします。

会場中が「?」に包まれるなか、脱ぎ終わった彼女はセクシーな競泳水着姿(笑)。写真集でも着用していたものらしく、その度胸には岡本さんも苦笑しながら、見事に「販売許可」のお墨付きを受けました。

■癒し系リブさんは人生の転機を報告!

続いて登場したのはリブさん。彼女はある理由で右目をなくしていて、おっとりした口調とシャイなキャラクターで愛されるメンバーです。欠損バーには2016年12月のクリスマス頃に初参加していて、あまりイベントには慣れていないためか、かなり緊張気味。つっかえつっかえ自己紹介する姿に、思わず「頑張れ!」と心のなかで叫んでしまいました

そんなリブさんはイベントのため、自らのイラストで〝義眼あるある〟を説明する動画を制作。コミカルなイラストとミュージックで、義眼ならではの悩みと彼女なりの解決を伝えます。経験者だからこそわかるネタの数々に、会場からは「へぇ」や「ほー」という声があがっていました。このときの〝あるある動画〟はYouTubeでもアップされるとのこと。そして、この〝義眼あるある〟のような動画は今後も発表していくそうなので、ぜひご覧になってみてください。

そして、リブさんの重大発表ですが、なんと昨年に結婚されたという報告。会場は一気に「おめでとう!」の雰囲気に満たされます。ちなみに岡本さんいわく「かなりイケメンのダンナ様です」とのこと。それを受けたリブさんは照れながらも幸せいっぱいの表情でした。

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■「ブッシュドノエル」の仲良しコンビ登場!

イベント前半のラストを飾ったのは、「ブッシュドノエル」の親友コンビでもあるこみみさんとLisaさんの2人。一緒に壇上へと上がったふたりはおそろいのツインテールで、仲が良い理由をお互いに「かわいいから!」と絶賛し合うなど、かなり〝ラブラブ〟なトークを繰り広げてくれました。そんなアマアマな時間を経て、それぞれの発表へ。

まず、こみみさんは事故で右足のひざから下を切断しています。そんな彼女はメンバーも認めるハイセンスだそうで、イベントで着用していた義足もピンクでキュート。欠損バーに参加したのは2018年11月からで、そのために作った義足なのだそうです。そんな彼女からは描いてきたメンバー全員のイラストを発表。愛らしい絵柄はプロ顔負けの腕前で、どのメンバーも個性をうまく押さえた愛らしいキャラクターに仕上げていました。

続けて、こみみさんが義足で片足立ち10秒チャレンジした動画も披露。一生懸命がんばる愛らしい彼女の姿に、会場の全員がひたすらに萌えまくりです。そして、重大発表はこみみさん制作で公式グッズのリリースが決定したというもの。本当にクオリティが高いものになりそうなので、ぜひ発売されたときには手に取ってみてください。

次にLisaさんはワイルドなロックテイストの美女。先天性で右掌が小さく、そこに鳥のような爪があるのがチャームポイントです。そんな彼女は「Bad Baby Bomb」というガールズバンドを組んでいて、「ギターを担当したり、作詞作曲していたり、たまに歌っている」と語ります。ちなみにギターは、ピックを付けられるグローブを右手に着用して、本当に違和感なく演奏していて驚きでした。そんな彼女のショーは、もちろんギター演奏です。ナロウなバラードをつま弾きながら、甘くハスキーな歌声で熱唱。観客席はシーンと静まり返り、みんながうっとりと聞きほれていました。そして彼女からの発表は「コロナで中断していたレコーディングが12月からスタートする」というもの。待望の音楽活動の再開に、ファンからは熱い声援が送られました。

■休憩中も飽きさせない!

こみみさん、Lisaさんの登場が終わると15分の休憩タイム。その時間を利用して、会場ではメンバーたちがお客さんとのツーショットを撮影したり、トークで盛り上がっていました。休憩のときでもお客さんを飽きさせない演出はお見事です。

■「ブッシュドノエル」のセクシー担当が爆弾発言!

後半のトップバッターは「ブッシュドノエル」のセクシー担当を自他ともに認めるぽわんさん。彼女は先天性で左ひじより先がありませんが、あっけらかんとして豪放磊落な性格は見ていて楽しくなります。ちなみにキャッチコピーは「スリム&セクシー」で、イベント当日も黒のシックなワンピースで抜群のスタイルを披露していました。そんなぽわんさんは生まれつきの欠損ということで、なんでも器用にこなすことができます。お酒もストローなしで飲めるし、ドライヤーだってかけられます。そんな彼女がイベントに用意してきたのは今話題の「モーニングルーティーン」の動画。自分で編集したというムービーでは、起床してから身だしなみを整え、着替えを済ませ、ペットの犬たちにエサを与えて…。本当に障害を持っているとは思えないほどスムーズに生活をこなす姿が垣間見えました。

そんなぽわんさんですが、最後に「ヌード写真集をリリースする」と爆弾発言。そのあまりの衝撃的な重大発表に、会場全体が驚きと興奮で大盛り上がりです。もともとヌード写真集に興味があったそうで、実際に台湾まで出かけて撮影しようとしたこともあったとか。ただ、その時は料金が高くて断念したため、今回こそは!と奮起していました。ただ、制作資金はクラウドファンディングで募集するため、目標金額に届かなければ「制作はなし」とのこと。これからクラファンで〝支援〟を募るので、みなさん是非ともご協力をお願いします!

■最古参メンバーがカラオケを熱唱!

イベントも終盤に差し掛かり、いよいよ「ブッシュドノエル」の最古参メンバーとなる琴音さんが登場。

彼女は高校生のときに事故で右ひじより先を失っていて、前腕義手を使用しています。そんな琴音さんは過去のイベントで好評を博したカラオケをリバイバル。壇上に上がるとすぐにイントロが流れ、小刻みにリズムを取りながら歌い始めました。最初に披露したのは広末涼子の名曲「majiで恋する5秒前」。思わずホワッとしてしまう愛らしい歌声はほんわかした雰囲気の彼女らしく、観客を魅了してくれました。続いて流れてきたのは、中森明菜の最初のヒット曲となった「少女A」です。最初の曲とかなりイメージが違いますが、琴音さんの歌声はハスキーボイスへと一変。少女の複雑な内面をつづったリリックを切々と歌い上げていきます。その熱唱に会場からは「琴音ちゃ~ん!」と声援が送られたり、ペンライトを振って盛り上げるお客さんも。過去のイベントも盛況でしたが、それを超える盛り上がりだったことは間違いないはず!

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そして、歌い終えた琴音さんは「太り過ぎたため、痩せます」と発表。ちょっと恥ずかしそうに話すほほえまし姿に、会場のみんなも思わず笑顔になります。すでにダンスを始めているそうで、「痩せてキレイになったら、私も写真集なんてどうでしょう?」とアピール。半年で5キロ減が目標だそうで、ぜひとも頑張ってほしいですね。

■そしてフィナーレ

楽しい時間も終わりが近づき、ついにフィナーレへ。最後は運営の北川玲さんからの12月の欠損バーについての予定が発表されました。コロナで大変なときですが、感染対策をしっかりと行うことで、営業が続くことに観客一同は一安心。

しかも、来年は「ブッシュドノエル」で何らかの〝改革〟も行われる予定という報告も。これからも欠損バー「ブッシュドノエル」が進化しながら続いていくことを宣言して、無事にイベントは終了となりました。

欠損バー「ブッシュドノエル」の5周年記念イベントをリポートしてきましたが、いかがでしたでしょうか? まだまだ物足りないという人のために、〝欠損女子〟たちのミニインタビューをまとめたので、そちらもチェックしてみてください。また、〝欠損女子〟たちと気軽にトークできる欠損バー「ブッシュドノエル」にも、ぜひぜひ足をお運びあれ!(取材・文◎丸山大二郎)

参考記事:なぜ彼女たちは「欠損バー」で働こうと思ったのか? この時代の障害者としての『逆の発想』

 

■欠損バー「ブッシュドノエル」情報
・公式サイト
https://buchedenoel.tokyo/

・公式Twitter
@bucheden0el

・公式インスタグラム
https://www.instagram.com/bucheden0el/?hl=ja

・公式Facebook
https://ja-jp.facebook.com/bucheden0el/

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