太田光さん裁判 「バイキングMORE」坂上忍+コメンテーター陣vs清原博弁護士で対立 「もう清原さんとは友だちになれないわ!!」
TABLO / 2020年12月22日 17時30分
![太田光さん裁判 「バイキングMORE」坂上忍+コメンテーター陣vs清原博弁護士で対立 「もう清原さんとは友だちになれないわ!!」](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/knuckles/knuckles_38291_0-small.jpg)
写真はイメージです。
坂上忍さんがタイトルにある言葉をいつもの甲高い声で叫びました。爆笑問題の太田光さんと『新潮社』との名誉棄損裁判を巡って、『バイキングMORE』(FNN系)で、坂上忍さんとコメンテーター陣が、清原博弁護士とまっこうから対立しました。
この番組は、バラエティ番組なので(と僕は捉えています)「お約束」の範囲内であると承知しています。が、メディアの末席を汚す身として記事の名誉棄損について考察してみたいと思います。
その前に、ですが、僕も数多くの抗議や名誉棄損の裁判を起こされており、その経験を踏まえての論考です。ちなみに抗議を受けたり裁判をした相手は、芸能事務所、企業、著名人、政治家、ヤクザ、右翼、同和団体、半グレ(準暴力団)などなどです。ほとんどの業界を網羅しているような気がします。証人として東京地裁で証言台に立って証言をした事もあります。
『週刊新潮』の記事、「太田光さんが日本大学芸術学部に父上の斡旋で裏口入学した」に関しては、東京地裁が440万円の賠償命令を出したので、実質的に当該記事は不正確なもの、と世間には公になったと言って良いでしょう。
参考記事:太田光vs新潮社の裁判は太田勝利と予想 裁判官「これからは訴えたもの勝ちにします」 メディア対芸能人の裁判は大体メディアが敗けます | TABLO
『週刊新潮』は日本を代表する週刊誌です。
が、たまに凄まじい誤報を出してしまいます。ライバルの『週刊文春』との差が開くのは、そこらあたりの脇の甘さでしょうか。僕の記憶にあるのは「国松警察庁長官狙撃事件の犯人にインタビュー」記事でした。これがまるっきり、信用のない相手を取材源としてしまい、右翼団体から怒りを買いました。ある会長は僕に「誤報ならぬ虚報だ!」と怒りまくっていました。この人の沸点の高さを感じとって、ただで済む訳がないなと思っていました。落とし前としてはここでは書けないくらいのダメージを負っているはずです。
さて、「バイキングMORE」ですが、番組の前半で清原弁護士の「色々な記事に対して、芸能人の方はテレビなどのメディアに出て自分の主張を言うことができる(から一般人と比べてまだマシ)」という主旨の発言がありました。
これに対して坂上忍さんが「友だちになれない」と一応怒り、コメンテーターに話を振ります。
本題ではないので深く触れませんが、そこで高橋真麻さんの世間ズレしたコメントがありました。それは「私は大学受験した身ですし、その経験から言うと大学で裏口入学なんてあり得ないと思ったんですね」というもの。「嘘だー」と思わず僕は心の中でツイートしました。「裏口入学、あるわ!」と言いたいのは、僕は中学・高校と芸能人の子息、著名人の子息が多い私立学校で過ごし、大学はそのままエスカレーターで進学したのですが、その頃から裏口の話は聞いていましたし、実際にあるタレントの子息が裏口入学を告白しています。さすがに坂上さんも「え?そうだっけ」と伊藤アナウンサーに振り、伊藤アナも「まー、ありましたかね(苦笑)」みたいに反応をします。高橋真麻さん、ぶりっ子なのか本当に知らないのか、2人の冷めた反応を見て真っ赤になっていました(でしょうね。恥ずかしい発言です)。
閑話休題。
本サイトで散々批判してきた坂上さんですが、今回は彼に同調します。言論の自由は日本国憲法で保障されています。その代わり、反論権も保障されています。ですから、週刊誌も新聞もテレビも、書いたり発言した対象者からの反論があれば掲載するのが本来のルールです。「筋」と言っても良いかも知れません。
が、新潮社に限らず、そのルールを守っている出版社・新聞社・テレビはほとんどありません。それは、本来、野次馬的視点から世の中を斬っていた、いわばアウトサイダー的存在の週刊誌が、成長とともに大企業並みの「お役所」のような存在になってしまったからだと思っています。
とは言え、記者や編集長の中には、「うちは大企業ですから」みたいな人だけでなく、まだまだ野武士的な凄みがある人もいる事は強調しておきます。僕も約20年前に『週刊現代』に記事が載った時にある約束事を破られたので抗議しましたが、担当編集レベルで止められ、まだ30代のその編集者から「遺憾です」といった「大企業か、官僚か」と苦笑したほど慇懃無礼な手紙をもらった事がありました。
このようなお役所的な存在となった大手出版社において、太田光さんの反論・主張はとうてい週刊新潮に掲載されるはずもありません。
かつては、「言論には言論で」というルールが確かにありました。古くは元朝日新聞のジャーナリスト本多勝一さんとイザヤ・ベンダサン(山本七平)さんとの論争などなど。ですからメディア対メディアという構図の中では、清原弁護士の言葉は成立した時代もあったのですが、現在ではまず、ないです。前記したように、本来、権威を斬るはずの週刊誌・大手出版社自体が権威になってしまったから。
ですから、芸能人としては反撃の手段としては裁判に訴えるしかないのです。しょうがないのです。これは、昭和時代に散々書きまくってきたツケを現在、我々の代が負わされている気もしますが、昭和の、書きまくっていた時期だからこそ面白い記事もあった事も確かです。
名誉棄損裁判の賠償額の高騰化は、記憶の限りでは25年くらい前だと記憶しています。この時期から週刊誌・スポーツ紙・夕刊紙vs芸能人という対立構図が、かなり冷たいイメージとして出来上がりました。
関連記事:爆問・太田VS新潮社 とあるジャーナリストの記事に太田激怒 新たな争いに? 「法廷を侮辱」するとはどういうことか | TABLO
太田光さんの記者会見を聞くと、お父様の名誉を守りたいからと言った感情に根差したものだったようです。すなわち「お父様の名刺の写真を掲載され、ヤクザにペコペコしながら裏口を頼んだ」といった事を書かれた事に対して「親孝行もろくに出来ていないのに亡くなってからも迷惑をかける訳にはいかない」といった発言をしていました。
この会見で視聴者は心打たれたはずです。僕もそうです。譲れない一線があるとき、反論権を行使できない場合、芸能人や一般人は裁判所に訴えるしかないのです。これは、反論権をきちんと守らなかったメディアのツケが回ってきたからだと僕は思っています。大手のプライドか何か分かりませんが、「反論があるなら載せればいいじゃないですか」と思うのはまだ、僕が青くさいのでしょう。そのおかげで故宅八郎さんとモメて十二指腸潰瘍になってしまいましたが。※その話は別記事で。(文◎久田将義)
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