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またもヤクザの喧嘩に巻き込まれてしまいました その時あなたならどうする?

TABLO / 2018年9月30日 16時0分

 些細な事から喧嘩、抗争へ発展するものです。歌舞伎町のある親分に取材した際、「浄化作戦後も毎日、どこかで喧嘩は起きている。私ら、上の者が話し合いで止めているだけです」というコメントを聞いて、僕も「ああいうのが日常茶飯事なのか」と改めて裏社会の入り口を覗いた気がした。

 僕などはまだまだ駆け出しなのですが、備忘録的に第二弾を書いてみます。

 (第一弾はこちら。まったくの想定外......ヤクザの喧嘩に巻き込まれてしまいました|久田将義http://tablo.jp/street/underground/news003739.html )

 東京のある暴走族を取材していた時の話です。下町出身者たちで構成されているそのチームの凶暴さは都内では知られており、彼らの地元の店で食事をしながらインタビューをしていました。

 先輩らも同席しており彼らの中にはヤクザになる者も少なくないです。というより、僕の感覚だと半分以上が渡世に入っていたような気がします。「そういうチーム」だという事を読者の皆さんにおいては理解して頂いて読み進めて頂きます。

 地元の居酒屋に入り、インタビューも大体終わり、雑談モードに入っていきました(店主もその暴走族出身である)。するとその店の常連の客(50歳くらい)が「俺も昔、暴走族だった」と言い出したのです。先輩らは大人の対応で聞き流し、和気あいあいとした雰囲気の飲み会のような感じになりました。僕も普通に、彼らと受け答えをしていました。

 と、急に僕の隣に座っていたヤクザの雰囲気が変わりました。今までは愛想よく受け答えしていたのに。少し沈黙した後。


「おう、ちょっと待て。お前今何言うたんじゃ」

 顔色が変わっています。人間、酔うと顔が赤くなる人と変わらない人がいます。その人はむしろ変わらないというより青白い顔色に変化していました。これって結構不気味です。

 その、自称元暴走族の常連客が何事か言いかえしてきました。多分、どこかの組織の名前を出したのではないでしょうか。その下町はヤクザと一般人の距離が近いのです。

「お前、俺に何言ったんだ、ああ!?」

 ヤクザが立ち上がった。
 箸を手にしている。
 箸を逆さまに構えた。
 相手に向かって振りかざした。

 喧嘩慣れしてるな、と変な事に感心した僕だが、隣にいるし、しょうがなく彼の腰を抑え、「●●さん、ちょっと座りましょう」と必死に止めます。

 常連客の身の危険を案じたのもあますが、こんな事で抗争に巻き込まれたくないというのが本音です。いや、巻き込まれないまでも現場にはいたくないじせゃないですか、正直。

 店主もイケイケで「●●さんやっちゃっていいよ」などと言っています。彼も暴走族出身で「俺、ヤクザになりてぇと思っていたんですよ」などと言う人ですから。

 確かに常連客の態度は上から目線で感じが悪かったです。ヤクザは当初は

 「堅気と上手く付き合うのも器量」

 と言っているので、普通に酒を飲んでいたがやはり、ヤクザはヤクザです。どんなに大人しい恰好をしていても、大人しい対応をしていても一線を越えたらその本性が出ます。

 こういう時は店主が止めるものではないのか。僕は店主に「そんな事言わずに」と言いましたが「久田さん、大丈夫。やらせとけばいいんですよ」とタバコをふかしています。

 その間も「お前、○○一家の名前出してたな、本部長に電話するからちょっと待ってろ」とヤクザが僕に腰を抑えられながら電話しだしています。

「ええ、今そちらの人とモメとるんですわ。だから本部長にご迷惑をおかけしするかもしれないんで」などと交渉をしています。

 大体、この常連客も悪いだろ。僕はそう思い、怒りが湧いてきました。「騙ってんじゃねえよ」と。続いて、常連客に説教します。

 「そもそも、あなたも調子に乗ってどこそこのチームにいたんだ。とか、『お前』とか言ってたでしょ。この人の素性分かってたんでしょ。ナメられたら引けないのが稼業でしょ。あなたも悪いですよ」と強い口調で言いました。しかし常連客はぶつぶつ言うのみで歩みよりません。

 「お前、いい加減にしろよ!」とヤクザの怒号が飛んだ。

 僕も余計に腹が立ってきました。止めているこっちの身にもなれよ、と。
 「一言、話せばすむでしょうが。いい大人がヤクザに絡んで。早く店から出て行って下さいよ」(抑えるの大変なんだから)。

 結局、店主にも「いい加減にしろ」と怒鳴られて、常連客は出ていく事になりました。ほっとしました。

「もうちょっと飲んでいく?」と店主。
「いただきます。気分悪いので飲み直しですわ」とヤクザ。もうテンションが収まっています。

 このテンションの上げ下げが上手いのがヤクザです。僕も経験したが「殺すぞ」と言われた翌日にそのヤクザと会った時には「どうも昨日は」などと普通の挨拶をしてくる人もいます。こういう所は、ちょっとついて行けません。

 ヤクザは怖い。だからこそ、こちらから接触しないようにします。なまじっか「昔悪かったんだけど」とか調子に乗ると今回のようなちょっとした騒動になりますよ。

 さわらぬ神に祟りなし、です。それにしても本当に偉そうにしている奴なはロクなもんがいませんね。ヤクザでも出版業界でも。(文・久田将義 連載「偉そうにしないでください。」)

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