迷惑系YouTuberたちへ あなたたちは裏社会の本当の怖さを知らない 生きて帰れただけで幸せ者|久田将義
TABLO / 2020年12月28日 13時50分
写真はイメージです。
本サイトで報じましたが、ある迷惑系Youtuberが東京都内と思われるキャバクラ(違法と彼らは称しています)に凸をして、その模様をYouTubeにアップしました。
途中経過は省きますが、その中の1人がキャバクラのケツモチか、あるいは関係者かに生放送を配信中、拉致られてしまい(そのように見える)、その後、涙声で「すみませんでした」という真っ暗な背景での謝罪動画を投稿します。
凸撃系ユーチューバーが生配信中に拉致か 映像が乱れたあと「車に乗せろ!」の声 | TABLO
ニコニコ生放送黎明期にもこういった凸系の生主は存在していました。今は、YouTubeの時代が移り代わりましたがマインドは同じ。こういった人は以前からいたし、今後も存在し続けるでしょう。
例えば、これも既報ですが「ぼったくりバー潜入動画」。
これらはYoutubeで何件か散見されました。炎上系有名YouTuberや現役のプロ格闘家もこの手の動画をあげていました。これを見て20年前に歌舞伎町でぼったくりバーに取材した事がある経験から、「何事もなく帰ってこれるのはあり得ない」と思っていました。
某テレビ局でもぼったくり潜入動画をかなり前ですが、放映しました。「一応テレビ局からは数十万円の予算が出てこれは経費に数えられるのです」。そんな話をしていました。精算する時にわざともめて、テレビ用に撮影したのはさすがです。で、その記者は請求額をン十万円を払って無事帰宅しました。
関連記事:YouTubeで密かに流行の「ぼったくりバー潜入動画」について現役指定三次団体組長に聞いてみた 「ヤラセですよ(笑)」 | TABLO
裏社会を20年以上取材している知り合いの週刊誌記者に聞いてみたら「ヤラセでしょ。あり得ないよ」という返答。
僕としても、裏社会の取材などは彼らと比べれば全然ひよっこで末席を汚している身ですが、一応、20年は取材したり、事務所に行ったり酒を飲んりした経験から言って、潜入動画が撮れるほど甘い世界ではないな、という意見と同じだったので「やっぱりな」という感想でした。
直接ぼったくりバーのケツモチであるヤクザに聞いてみました(本サイトで先日記載しましたが、忠告の意味も兼ねてもう一度記事化します)。一番、これが手っ取り早いでしょう。「元」ではなく「現役」の人間です。
・歌舞伎町を主にシノギをしている関東の指定広域暴力団三次団体組長
・関西以西の指定暴力団幹部(たまに東京に来る)
の2人に聞いてみました。2人とも笑いながら「ぼったくりバー潜入動画? ヤラセですよ」と断言していました。
なので、ぼったくりバーに潜入した際、帰って来られるとしたら、請求額数十万円を払うか、ケツモチ同士の話し合いしかないと思っています。格闘家であろうが、潜入系YouTuberであろうが、すんなり帰ってくる事など、ましてYouTubeにあげてしまうなど、「裏社会の常識」では考えられません。彼らは、僕らとは別の世界にいるのです。それを見て、「再生回数、上がるかんだ。俺もやろう」などと絶対考えてはいけません。
冒頭のキャバに凸したはいいけど拉致られで涙ながらに謝罪させられるハメになります。台本ありき、なのを忘れてはいけません。
また、迷惑系・凸系YouTuberたちが口にする、相手「動画撮ってんのか」に対して「証拠ですから」「警察呼びますよ」「通報します」という言葉。これがデフォルトのようになっています。
一見、利口に見える対応です。が、そういうのが通用しない世界があります。
「警察、上等。今から逮捕されに行くから。刑務所で二年務めてたあとお前のところに行くから」。そういう言葉を口にする「モノホン」がいるので本当に、気を付けて頂きたいのです。
こんな体験を記しておきます。
僕が「実話ナックルズ」(大洋図書。当時はミリオン出版)の編集長だったとき、こんな目に遭いました。ある記事についてヤクザから抗議がきました。話し合いで終わりつつあったのですが、その晩、僕の携帯に違うヤクザから電話がかかってきました。拙著『トラブルなう』(大洋図書)で収録していますが、加筆再録してみたいと思います。
ヤクザから電話があった時、反射的に録音の用意をしていました。もちろん、向こうはそういう事を知っています。朝まで怒鳴られました。こんな具合です。
「今から出てこい! お前、散々言うてくれたのぉっ。ナメとったらあかんぞっ。編集長だか何だか知らんが今からワシが言うこと録音せい。これは恐喝や! それで警察行け。それでワシをパクらせろ。恐喝で2、3年務めてくるわ。それで出てきたらお前を殺す! それでワシの男が立つんやっ。な、頼む! 警察行ってお前を殺させてくれや。頼むわ!」
僕は自分で、顔から血の気が引いていくのが分かりました。これを朝方までずーっとやられてみて下さい。電話だからまだマシだったものの、相対していたら立っていられなかったかも知れません。
動画だろうが録音だろうが、「証拠です」と言えば引くような相手は素人です。堅気です。「逮捕上等だ」。イケイケはこのくらい言います。親分クラスになると(と、いうかそういう人はYouTubeに登場しないと思うが)さすがにこういった対応ではなく、その子分が対応すると思われます。
くれぐれも裏社会に取材する際は潜入など(台本ありは別)はやめてください。「いや、お前が臆病なだけだ」と言う人もいるかも知れません。どうぞご勝手に。僕がYouTubeをやるとしたらそういう取材は絶対しません。(文◎久田将義)
あわせて読む:裏社会の人物が語るYoutubeの「ぼったくりバー」潜入企画 知らずに『ヤラセ動画』を作っていると怖い目に遭う可能性が | TABLO
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