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「アイドルの舞台」をなめていると思いっ切り頬を殴られる Juice=Juiceの舞台が千秋楽そして武道館へ

TABLO / 2018年10月15日 16時0分


 ハロー!プロジェクトの8人組アイドルグループ・Juice=Juiceの主演舞台、演劇女子部「タイムリピート〜永遠に君を想う〜」が10月8日、大好評のうちに千秋楽を迎えました。正直な話、公演が始まる前はそこまで話題になっていたわけではありませんが、いざ幕が開けると「これはすごい」「何度も観たい」などと絶賛の嵐。数あるアイドル舞台の中でも、歴史に残る名作と呼ぶにふさわしい作品となったようです。

 宇宙暦3255年、銀河連邦とロア帝国の冷戦状態が続く中、銀河連邦の宇宙船エスペランサ号は希少エネルギーが眠る惑星を発見。着陸を試みるも、謎の天体が衝突し宇宙船は大破してしまう。乗組員全員が死亡したかと思いきや、鉱物学者ルナは大破する前のエスペランサ号に戻っていたのだった......。

 というタイムループを題材としたSF作品。主人公のルナを演じるのは今年6月にJuice=Juiceへと加入した稲場愛香、その相手役となる物理学者ソーマを宮本佳林が演じます。そのほか、Juice=Juiceのメンバー全員と、ハロプロの新グループのメンバー5人が出演しています。

 今回の舞台の大きな魅力は、登場人物たちの明快なキャラクターでしょう。一匹狼のルナ、人付き合いは得意ではないがまっすぐなソーマ、母のような船長アリサ(宮崎由加)、大雑把だけど熱い心を持つ機関長エイジ(高木紗友希)などと、どの登場人物もとてもわかりやすい。宇宙船の中だけで展開される物語であり、さらには同じ時間を何度も繰り返すので、下手をすれば単調になってしまいがちですが、わかりやすくて魅力的な登場人物のおかげで、すんなりと作品の中に入り込むことができるのです。

 しかし、物語そのものはかなり重苦しいもので、悲しき結末に向かって進んでいきます。宇宙船の大爆発という悲劇的な出来事が"タイムリピート"という現象を生み出し、そして悲しき結末によって"タイムリピート"という現象が回収される。そんな悲しく重い物語を、ハロプロのアイドルたちが見事に演じているのです。

 何より圧巻なのは、主人公ルナを演じた稲場愛香でしょう。冷徹だったルナはタイムリピートを繰り返す中で、乗組員たちとの絆を築いていくのですが、クライマックスに向かうに連れて、感情を爆発させていきます。それを稲場はまさに魂を削りながら熱演するのです。そして、そのルナと心を通わせていくソーマ演じる宮本佳林もまた圧巻。不器用で内気な青年が、避けることのできない現実と向き合うことで、見事に成長していくさまをしっかりと演じきっているのです。

 筆者は"前から4列目"という、もっとも演者たちの表情が見やすい席で観劇したのですが、クライマックスで涙を流すルナに呼応するかのようにソーマの瞳が徐々に潤んでいった場面には、本当に感動しました。2人の感情が完全にシンクロし、涙という形で具現化するという奇跡に立ち会えるとは、なんと貴重な体験でしょう。しかも、2人は毎公演そのシンクロをしているのだから、想像以上にすごいことだと思います。

 ハロプロの舞台は可愛らしくて楽しいものもありますが、最近はかなり重苦しい作品が多い傾向にあります。特にここ数年のモーニング娘。の主演舞台は戦争や孤独、死などがテーマとなっているものが多く、結末も悲劇的なものばかり。今回の『タイムリピート』もその系譜にあるものだと言えるでしょう。

 たしかにファンとしては可愛らしいハロプロメンバーたちの姿を観たいという気持ちもあるのかもしれませんが、そういった淡い期待をいとも簡単に裏切っていくのも、ハロプロの面白いところ。それこそ"アイドルの舞台"としてなんとなく抱かれているであろうイメージに、思い切りカウンターパンチを食らわせていく姿は、痛快でもあります。

 ちなみに、アンジュルムの主演舞台は比較的明るくて楽しいものが多い傾向にあります。アンジュルムというワチャワチャ感の塊のような稀有な存在を舞台の中に落とし込み、その魅力を増幅させているかのような感覚。もちろんこちらも最高です。11月後半から上演されるアンジュルムの主演舞台「アタックNo.1」も楽しみです!

Juice=Juice#2 -! Una mas! -【通常盤】


 さて、演劇女子部「タイムリピート〜永遠に君を想う〜」を無事完走させたJuice=Juiceは、千秋楽の2日後となる10月10日の"Juice=Juiceの日"にZepp Tokyoで単独ライブを敢行。2000人を超える観客(オールスタンディングでフルハウス!)の前でとてつもなく熱いパフォーマンスを繰り広げました。

 さらに、10月29日には3回目となる日本武道館公演を控えています。壮絶すぎる舞台を成功させたことでアドレナリンが出まくっている状況であろう彼女たちが、1万人規模の大きな舞台でコンサートをするのですから、それはそれはとんでもないことになるはず。しかも、ルナ役を演じた稲場愛香にとっては初めての日本武道館公演となるわけで、これはもう期待せずにはいられないというものです。

 元々ライブパフォーマンスには定評があったJuice=Juiceは、今回の舞台を経験したことで間違いなくより一層スケールアップしていることでしょう。10月29日には、日本武道館でJuice=Juiceの勇姿を目に焼き付けようではありませんか! そして、演劇女子部「タイムリピート〜永遠に君を想う〜」も近いうちにDVD化されるはずなので、こちらも是非ともチェックしてみてください! We are Juice=Juice! (取材・文◎大塚ナギサ)

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