「私語厳禁カフェ」が話題 客はＬＩＮＥで会話 コロナを本気で乗り越える“考える”飲食店が登場

今こそ、いい音で、いい音楽を！

新型コロナの感染拡大に歯止めが効かない状況に、政府は二度目となる緊急事態宣言を出しました。そんな中、とあるカフェが独特な感染対策をとっていることで話題に。実際に来店し、お店の方に話を伺いました。

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今回の緊急事態宣言では、「急所」と言われる飲食業に対して営業時間の短縮など、強い要請が出されています。そうした要請に「時間が問題なのではなく、食事をしながら喋ることが問題だ」と、対策のズレに対する反発の声も。

そんな中、高円寺にあるcafe「yummy」が、大きなスピーカーから大音量で音楽が流れる昔のJAZZ喫茶のような営業スタイルにしてみたいと「（当店では）今までにないボリューム」のBGMでの営業を開始すると発信。その様子について、実際に体験しお話を伺いました。

高円寺駅北口から、徒歩３分ほどの場所にあるお店の前に到着すると、オシャレな店頭に「私語禁止」という看板が。

店内に入ってまず目につくのが、大きなスピーカー。このお店を夫婦で経営されているという羽根真紀さん（以下、同）によると「スピーカーにプレイヤーなども合わせると、300万円くらいしたと思います」とのこと。ロゴをみるとイギリスの高級オーディオブランド「B&W」の文字が。そのスピーカーからは確かに大きな音でボサノバが流されていました。

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注文は必要な会話であるため、口頭でも可能ですが、筆談用の紙とペンも用意されています。筆者が頼んだのはランチメニューの「肉味噌じゃあじゃあごはん 800円（税別）」で、料理を待つ間も、BGMというよりはお店の主役のように音楽が鳴っています。BGMとしてではなく「音楽を聴きながら食事をする」と捉えれば、大きな音に体が包まれるのが心地よくなってきます。

「元々、夫婦で音楽が好きで、普通のカフェなのにオーディオにこだわったお店としてはじめました。それで、コロナが広がった時に飛沫で感染するということと、お客様とスタッフの安全を守るために私語禁止にしようと思い、自然な流れで音楽を大きくすることになりました」

と羽根さん。この感染対策は、国や自治体が発する飲食業への締め付けへのアンチテーゼのように見えることもあるかもしれませんが、そういった意味合いではないようです。とはいえお店のFacebookアカウントからは「20時までなら今まで通り店内での飲食がいいのかというと、それも疑問です」との投稿もあり、お店のスタイルと感染対策の両立を音楽でなされていることがわかります。

しばらくして運ばれてきた料理は「和風タコライス」といった風情で、甘めに味付けされた肉味噌とご飯の相性が抜群。半熟卵を割るとコクが増してさらなる食欲をそそります。

昨年、一度目の緊急事態宣言の際のことについて伺うと「前回は店内を完全に閉めて、テイクアウトだけでやりました。売上は半分以下になってしまいましたね」（羽根さん）といいます。売上の落ち込みだけではなく、テイクアウトではこだわりの音楽も聴かせられないのは、焦れったい思いをしたことでしょう。

このスタイルでの営業を始めて「他のお店で食事をした時に、近くにいるお客さんがたくさん喋って飛沫が飛ぶのが気になることもあったんですが、yummyではそれがないのでストレスも少ないですね」と羽根さん。さらに「理解してくださって、お二人で来てもLINEで会話していらっしゃる方もいますよ」とのこと。

多くの店が、緊急事態宣言下で何かを削ったり辛抱したりするばかりの中、こうして新たな楽しみと価値を生み出していけるのは素晴らしいことです。

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この世情で「出かけましょう」と書くことは憚られますが、高円寺に行く予定があり食事やお茶のタイミングがあれば「音楽での感染対策」という新しいスタイルを体感してみるのも良いかもしれません。羽根さんいわく「ただ大音量で流せばいいということではなく、大きいけど心地よい”音質”にこだわった環境を目指します」とのこと。

なお、ご主人がお店に入られる15時から16時以降は、ランチタイムには聴けないレコードなども登場するとのことで、時間も考慮に入れてみてはいかがでしょうか。（取材・文◎Mr.tsubaking）

取材協力■yummy
東京都杉並区高円寺北2-9-8
03-6753-0504
11時〜20時（〜2月7日）