仮想通貨取引所「Zaif」 顧客を舐めきった運営をして、あっさり他社へ譲渡 テックビューロ許すまじ
TABLO / 2018年10月18日 10時33分
2018年10月10日、仮想通貨取引所「Zaif」を運営するテックビューロがZaifの事業をフィスコ仮想通貨取引所に譲渡することを発表しました。
今年9月に仮想通貨の流出事件が起こり、同月にフィスコによる支援の話が出ていて、10月になって事業譲渡の決定です。
この間、一度もZaifの社長や関係者による会見は行われておらず、恥も外聞もない逃げっぷりに呆れるばかり。ここの社長さんは、某大手ニュースサイトの記事に〝コミュ障〟と書かれていましたが、それでも一応は会社の責任者なんですよ。それが、一度も顧客の前に姿を現さず、一連の事件に関する経緯の説明も行わず、挙句の果てに経営を放り投げるというのは、もう顧客を舐めているとしか思えません。
ちなみに、譲渡には利用者の同意も必要になるのですが、どうやら同意しないと補償を受けられないようです。もう、なんというか、何とも言えませんね。
ユーザーから改善を指摘されまくっていた
筆者もZaifの口座を保有するユーザーの1人なんですが、思い返してみれば、これまでにもZaifでは顧客軽視を感じるシーンに遭遇したり、耳にすることが多かったように思います。
まず、よく耳にしたのは口座開設に際しての本人確認が異常に遅いということ。とくにアルトコインが高騰を続けた2017年末はユーザーが爆発的に増えたことで、作業スピードが追い付かず、1カ月以上かかることもざらでした。ちなみに、本サイトの編集者は口座開設までに2カ月かかったそうです。ほかの仮想通貨取引所ではここまで時間がかかるという話は聞いたことがなく、その顧客対応力の低さに驚かされたのを覚えています。
この対応の遅さというのは、ハッキングによる流出事件でも顕著でした。なんでも、9月14日の17時頃から19時頃までに不正アクセスが行われていながら、Zaifがツイッターで初めて被害を報告したのが17日。翌18日には顧客資産の安全確認と1~2営業日の復旧予定を伝えていますが、被害詳細などの記述は一切なし。そして、ハッキングに関する正式リリースを発表したのは事件から約1週間後となる20日の深夜2時で、どれだけ遅らせたんだという話です。
あくまで多分ですが、確実に予想される批判に対して回答するための時間稼ぎだったんだろうなと。しかも、あまり人目に触れないような深夜2時に発表するところにZaifの悪意すら感じられます。
約67億円相当がハッキング! 仮想通貨取引所「Zaif」が顧客へ知らせるまでの謎の6日間
ほかにも、利用しているときにも不満を感じることが多くありました。
1つは、Zaifの問い合わせはメールのみの対応でしたが、そのレスポンスがとにかく悪いこと。Zaifに問い合わせのメールを送信後、返信の遅さにイライラして、ついにいつ送ったか忘れかけたころに返答が来るという印象でした。
あるユーザーのツイートでは、問い合わせのメールを送信してから1か月後に返信メールが届き、「もう一度、内容を教えてくれ」という旨の内容だったのだとか。しかも、そこから送ったメールに返事が来なかったというのですから、顧客をバカにしすぎだろという話です。
2つめはアプリがとにかく使いにくかったこと。あくまで個人的に利用していた感想ですが、そもそもインターフェースが直感的な操作に適しておらず、しかもエラーが頻発してなんども操作を繰り返すことが多く、よくイライラさせられました。しかも、そのアプリがいきなり廃止になって、「なんだ、それ?」と。
ちはみにZaifアプリのウォレット残高とZaif Exchangeのアカウント残高は別の機能なので、ウォレットの引継ぎか、Zaif Exchangeへの送金をしなければならず、「面倒なことをさせやがって」と激怒してしまいました。
3つめは、サーバーがとにかく不安定で、価格が激しく上下しているとダウンしてしまうこともしばしば。かつて、21億BTCが0円で売買できるようになったり、なぜかBTC価格が約110万円から約65万円まで急落して注文が通らず、強制ロスカットで大損する人がわんさか出たり、のちにZaif事件と呼ばれるサーバーの問題が多発しましたね。
人々の資金を預かっているという意識の低い会社
ここまで書いていて、「なんでZaifの口座を保有し続けていたんだろう」としきりに反省してしまうほど、いろいろと問題が多かったんだなというのが正直な感想です。
あと、多くの仮想通貨取引所について言えることですが、Zaifを運営していたテックビューロは仮想通貨が本格化していくなかで生まれた若い企業です。多くの投資家たちの大切な資産を預かる業種では、さまざまな顧客対応やセキュリティへの配慮、事件や不祥事に対する対応マニュアルや他企業とのサポート体制など、多くのことが求められます。
しかし、これまで実績を積み重ねてきた老舗の企業とは異なり、会社としての諸体制が十分に確立されていかなっただけではなく、「顧客の大切な資産を預かっている」という、お金を扱う企業であれば当然持っていて当たり前の意識さえも薄かったんじゃないでしょうか。
これからも仮想通貨を始めとする新たな投資はどんどんと生まれていくはず。その際、手数料や利益などの即物的なファクターだけに目を奪われず、企業がどれだけ信用できるのかという見えないメリットについても気を配らなければ、いつでもZaifの二の舞になるということを肝に銘じたいと思います。
ちなみに、運営企業のテックビューロはZaifの事業を譲渡しましたが、テックビューロとテックビューロホールディングス自体は残っております。盛大な逃げっぷりを披露している社長の朝山貴生氏が今後どのような対応を取るのか、その去就だけには注目しておきたいものです。
このまま雲隠れして、ほとぼりが冷めたころにこっそりと戻ってどこかの企業の役員になっていたり、新しい事業を始めていたなんてこともあるような気がしますね。その時はまたしっかりと報告させて頂きたいと思います。(取材・文◎百園雷太)
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