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『ハロプロ・チーム対抗歌合戦』 アイドルがセルフ・プロデュースするとクレイジーなものが産まれた!

TABLO / 2018年10月22日 12時36分

ライブが行われる前と後でもメンバーたちによる無料イベントは続いた


 10月21日、埼玉県熊谷市の彩の国くまがやドーム体育館にて『ハロプロ・オールスターズ シングル発売記念イベント 〜チーム対抗歌合戦〜』が開催されました。これがとんでもなく素晴らしいイベントだったのです!

 ハロー!プロジェクトに所属するモーニング娘。'18、アンジュルム、Juice=Juice、カントリー・ガールズ、こぶしファクトリー、つばきファクトリー、BEYOOOOONDS(CHICA#TETSU、雨ノ森 川海)の全メンバー55名が参加したハロプロ・オールスターズのシングル『YEAH YEAH YEAH/憧れのStress-free/花、闌の時』(9月26日発売)の初回生産限定盤購入者特典として開催されたこのイベント。参加するにはCDに封入されているシリアルナンバーを使って抽選を受けて、当選する必要があるというものでした。

 10月20・21日には、彩の国くまがやドームにて入場無料の『SATOYAMA & SATOUMI with ニャオざねまつり in 熊谷』というイベントが開催され、さらにハロプロメンバーが総出演する有料のコンサート『ハロ!フェス』も彩の国くまがやドーム体育館で開催。それら、ハロプロが所属するアップフロント系列のタレントが多数出演する大きなお祭りの最後を飾ったのが、この『チーム対抗歌合戦』です。

 ちなみに、くまがやドームという場所は、埼玉県北部の熊谷市にある大規模なスポーツ施設で、最寄り駅の熊谷駅から徒歩50分。イベント当日は熊谷駅からのシャトルバスが出たり、路線バスが増便されたりして、どうにかハロヲタを運んでくれましたが、決して気軽に行けるような場所ではありません。しかしながら、会場までの長い道のりをも一瞬で忘れられるほどに、『チーム対抗歌合戦』は素晴らしいものだったのです。

 さて、その『チーム対抗歌合戦』とはどんなイベントなのか。簡単に説明すれば、ハロプロ55名を「チーム和田彩花」と「チーム譜久村聖」に分けて、それぞれ9つのユニットを作り、ハロプロの楽曲を1曲ずつ披露、最終的にどちらのチームが良かったのか、来場者のスマホ投票によって勝敗を決めるというものです。さらに、出場した18のユニットの中から、これまた来場者投票で「最優秀ユニット」を決定します。

 チーム分けについては予め決められていましたが、ユニットの編成と出場順は主に各グループのリーダーが話し合いで決定。歌う曲目や衣装、ユニット名、ステージ演出などは、メンバー自らが担当しました。

 つまり、普段は事務所主導で決められたことを表現するのが基本となっているハロプロメンバーが、真正面からセルフプロデュースをし、なおかつそれを観たファンが勝敗を決めるというイベントなのです。

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 セルフプロデュースということなので、もちろん自分ストロングポイントをアピールできます。たとえば、アンジュルム・竹内朱莉とつばきファクトリー・岸本ゆめのによるユニット「今日、微炭酸」は℃-uteの『悲しきヘブン』を披露しました。この曲は、℃-uteの鈴木愛理と岡井千聖が2人で全編にわたってハモりまくる楽曲。要は、この曲を完璧に歌い上げることで、竹内と岸本は「私たちは事務所に求められているもの以上のことができるんだぞ!」とアピールできるわけです。そして、2人は完璧にこの曲を歌い上げ、観ているファンも「この2人のポテンシャルはとんでもないぞ!」と広がる未来を期待し、おそらく事務所の人々も同様に感じたことでしょう。2人のアピールは間違いなく大成功です。

 Juice=Juice・金澤朋子、カントリー・ガールズ・山木梨沙、アンジュルム・笠原桃奈の「セクシー・オトナヤン」はモーニング娘。'16の『セクシーキャットの演説』を披露。曲中にジャケットを脱いだり、猫耳をつけたり、まさにセクシーな演出が盛りだくさんで、3人の個性は存分に発揮された素晴らしい演目でした。

 このユニットの中心人物である金澤は、Juice=Juiceでもセクシーな歌声を武器としているものの、照れもあるのか、自らセクシーさをアピールすることはそこまでありません。でも、今回は明らかに"セクシー"のスイッチを入れて、より魅力的な姿を見せてきたのです。これはもう誰かの指示で出てくるものではなく、自分の意志でしか出てこないもの。多くのファンが求めていた"かなとものセクシー"を引き出すのは、事務所のプロデュースではなく、かなとも自身だった......ということでしょう。このように、どんどんメンバーたちが自分の力で覚醒していくのが『チーム対抗歌合戦』なのです。

 一方、ハロプロリーダーのアンジュルム・和田彩花はツインテールにまっピンクのワンピースを着て、最年少の雨ノ森 川海・岡村美波と「あやちょ♡みぃみ」としてWの『ロボキッス』を披露しました。普段はクールビューティーな和田が10歳年下の新人メンバーとかわいらしいアイドルソングをやるというのも相当な気合いの入りよう。それこそ事務所の人間も24歳のハロプロリーダーに「ツインテールにして14歳と2人で歌え」なんてオーダーするのも躊躇するはずですが、これがセルフプロデュースだと成立するというのもすごい。"アイドルは大人にやらされているもの"なんてことを言われますが、いやいやむしろその逆。大人はアイドルたちを制御している側で、アイドルにプロデュースをさせると、かなりエクストリームなものが飛び出てくるという事実が明らかになってしまいました。

 また、メンバーによる選曲もまた容赦ない。このイベントは"勝負事"なので、各チームが勝ちを狙って、盛り上がる曲をどんどんセレクトしていきます。しかも、来場者の投票ということもあるので、客ウケをしっかり意識している。つまり、頻繁にライブでやるような定番曲というより、ファンが日頃からライブで聞きたいと思っているであろう盛り上がり曲を見事にチョイスしてくるのです。普段のライブにはない「勝負」という要素が乗っかることで、いつも以上のエキサイティングなセットリストになったといえるでしょう。

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 そのほか、ハロプロの2大歌姫である高木紗友希と小田さくらによる『Everyday, Everywhere』とか、宮本佳林を中心とした5人組による"かわいさ最重視"の『心の叫びを歌にしてみた』とか、全18ユニットの詳細を書き連ねたいところですが、最後に最優秀ユニットに選ばれたモーニング娘。'18・佐藤優樹とつばきファクトリー・小野田紗栞の「Crazy 心(クレイジーハート)」について言及したいと思います。

 まずユニット名が相当狂っています。アイドルなのに「クレイジーハート」だなんて、穏やかじゃない。そして、2人が歌ったのはスマイレージの『私、ちょいとカワイイ裏番長』。曲の冒頭から客席とコール&レスポンスを繰り返し、会場全体を巻き込んで、見事優勝をかっさらっていったという形です。現在ハロプロ内での人気No.1とされるまーちゃんこと佐藤優樹にそれをやられちゃあ、もう仕方ない。大事な時に勝負強さを発揮するあたりも、さすがまーちゃん。人気No.1たる所以です。

 アイドルたちがセルフプロデュースしたら、想像以上に過剰で、とんでもなくギラギラしたイベントになった──というのが、『ハロプロ・オールスターズ シングル発売記念イベント 〜チーム対抗歌合戦〜』。このテンションを続けていたら、メンバーたちもあっという間に燃え尽きてしまうかもしれないので、1年に1回くらいで十分な気もしますが、とにかくすごいイベントだったことは間違いないです。

 今後同様のイベントが開催されるとしたら、そのチケットは相当に入手しづらくなるはずですが、アイドルと呼ばれる人々の心の奥底にあるメラメラと燃えるものを観たいのであれば、必ず足を運ぶべきです。アップフロントさん、次に『チーム対抗歌合戦』を開催する場合は、もっと大きな会場でお願いします!(取材・文◎大塚ナギサ)

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