安田純平解放で友人の僕が思う事 「日本政府の影の努力があったはず」 自己責任論がまた吹き荒れるのか
TABLO / 2018年10月24日 8時50分
安田純平が解放されたという情報が10月23日の夜、突然入ってきた。菅官房長官による緊急記者会見が夜11時から行なわれたり、妻、myuさんがテレビに対し電話インタビューに答えたり。テレビのニュースでは安田純平解放に関するニュースが駆け巡った。
日本政府に、カタール政府から解放の情報がもたらされて、発覚したわけだが、それによるとトルコ中南部にあるアンタクヤという国境沿いの町の入管施設にいると言う。日本政府がしっかりと人物特定を行うまでは結論は出ないが、フライングということはないだろう。ひとまず安心だ。
第一報を知ったのはfacebookのタイムラインに出てきた信用できるジャーナリスト関係の友人による書き込みだった。慌ててテレビをつけて本当だということを知った。
半信半疑で現実感がまるでない。
諸手を挙げて喜ぶという感じもない。それはもしかすると拘束されたままということが自分の気持ちの中で少しずつデフォルトになってしまって、突然変わった状況について気持ちがついていけないということなのかもしれない。
両手をあげて喜べなかった理由はもう一つある。それは批判的なコメントがヤフーのコメント欄にたくさん寄せられるということが予想できるからだ。彼が帰ってきて、記者会見を開くようなものなら、またさらにバッシングが起こるんじゃないか。そういった懸念が捨てきれない。
安倍政権はテロリストにはお金を一切渡さないと言う方針を突き通している――とされていた。だから交渉は一切してないじゃないかと思っていて、解放されるなら動乱が何か起こった場合しかないだろうと諦めていた。
しかし、実際にはやれる範囲で、表に出さないように、慎重に解放に向けて動いていたということなのだろう。でなければカタールから連絡が来るはずがない。そうした働きかけをやっていた日本政府関係者の影の努力には感服した。自己責任論がこれだけ吹き荒れても、邦人保護の原則をしっかり守って粘り強くやってくれたのだから。
日本人の若者は海外に行かないといわれている。ネットなどで溢れる情報が行くまでもないと思わせているというのが大きいのだと思う。だがそれ以上にこの自己責任論というものの浸透が大きいのではないか。これを機会に自己責任論というものの、風向きが変わればいいのだが、それは政府の持って行き方次第だろう。
ともかく彼が無事だということがほぼ確定的になったのは友人として素直に良かったと思っている。現地で一体何を見たのか。その貴重な経験をしばらくは発信し続けていく活動に専念してもらいたいと思っている。お疲れさま、よく頑張った。(文◎西牟田靖)
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