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あの頃みんなの溜まり場だった「小さな喫茶店」 個人経営の喫茶店が激減している悲しい理由とは

TABLO / 2018年10月25日 16時30分


 地方へ旅行に出かけると、「昔はやっていたんだろうな」という喫茶店の慣れの果てを見かけることがよくあります。筆者が小学生だった1980年から1990年代前半は個人営業の小さな喫茶店はたくさんあって、「不良が集っている」という〝悪所〟のイメージでした。ゲームセンターと同じく、ちょっと怖いけれども行ってみたいという憧れの場所でもあったのですが、現在は消えつつある絶滅危惧種という印象です。

 今回はそんな喫茶店についてのデータを調べてみました。

 まずは全国の喫茶店の事業所数を調査したグラフ1ですが、1981年をピークに右肩下がりということが分かります。ピーク時には15万軒を超えていたのが、2014年は7万軒弱と半分以下にまで減少しました。


 しかし、オレンジの折れ線グラフで表した従業員数については、ピーク時の約57万人から減少したものの、2001年以降は30万人台前半で推移していて、あまり大きな変化は見られません。個人営業の小さな喫茶店とは異なり、スターバックスやコメダ珈琲などの大手チェーンは勢いのあるところも多いため、従業員数はそれなりの数をキープしているものと思われます。

 また、「三菱UFJリサーチ&コンサルティング」のシニアコンサルタント・不破慎介さんが、2017年11月8日付のマーケティングコラム「喫茶店のデータを読み解く」と題して、平成8年から平成26年までの国の統計をもとに喫茶店の状況をまとめています。
 関東(東京都・埼玉県・神奈川県)、東海(愛知県・岐阜県・三重県)、関西(大阪府・京都府・兵庫県)の1都2府6県を対象地域として、個人経営と法人経営の喫茶店事業所数について調べたところ、法人経営は横ばいなのに、個人経営は60%にまで減少しているという結果でした。いかに個人経営の小さな喫茶店が激減しているかが伺えるというものです。

 次にコーヒーの消費量を現すデータがグラフ2です。こちらはレギュラーコーヒーのほか、インスタントコーヒーやコーヒーエキスを使った製品をすべて含めたものですが、消費量は増加傾向を見せていました。つまり、コーヒー自体の需要はさほど変わっておらず、むしろ消費自体は拡大していることになります。


 個人経営の喫茶店が消えつつあるという現状は、昔を知っている人間としてはなんだか残念。でも、〝昔ながら〟という個人経営店は、喫茶店に限らず、「うちはコレだから」という旧態依然という体質が根強いように思えます。だって、100円でコンビニコーヒーが買える時代に、代り映えしないブレンドや紅茶などのオーソドックスなメニュー(しかも結構な値段がする)を提供する古いスタイルのお店に、誰が行くんだという話ですから。古き良きを守り続けることも大事なのでしょうが、時代に合わせて変わっていく努力も必要なことなのだと思います。(文◎百園雷太)

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