「ゼビウス」「マッピー」「ドルアーガの塔」 ...ファミコンソフトにナムコが参戦した時の喜び|中川淳一郎
TABLO / 2018年10月30日 16時30分
2017年、任天堂「ファミリーコンピュータ」の30タイトルを一つのハードにまとめた「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」がヒットしたが、昭和といえばファミコン。当然私も「ミニ」は購入済。「思い出補正」があったのは否めないが、『マリオブラザーズ』『ダウンタウン熱血物語』は相変わらず楽しかった。
ファミコンが当時の小学生にとっていかに画期的だったかといえば、「ゲームセンターや駄菓子屋に行く時間を減らした」ということにある。親のカネをくすねてゲームセンターに入り浸っていた我々は、ファミコンが出て以来、「〇〇君の家に行ってくる!」と行動様式が変わったのだ。
だが当時、小学4~5年生だった我々は、任天堂のゲームだけしかなかった時代に若干不満はあった。なんとなく家庭用ゲーム機の域を出ていないといった感覚を抱いたのである。『ベースボール』や『ドンキーコング』(しかもステージがアーケード版より1面少ない)など、任天堂発のゲームは、ゲームセンターをより楽しく背徳感ある場所にするあのアングラな感覚がなかった。
しかし、1984年から1985年、ついにサードパーティとして、ハドソンとナムコが参入! 特にナムコについてはゲームセンターでやっていたあのゲームができるのか! と我々は狂喜乱舞した。100円玉が次々となくなるあの切ない感覚をもう味あわなくていいのだ! と感じ、今度は友人の家に入り浸るようになる。
もちろん、アーケード版ほどのグラフィックやサウンドではないものの、自宅でできるレベルとしては十分なもの。しかも、第一弾は「ギャラクシアン」である。我々1973年生まれ世代にとってシューティングゲームにおいて1978年に発売された「スペースインベーダー」は若干「古臭いゲーム」だったが、1979年発売の「ギャラクシアン」は「来てるね、未来!」といった感覚さえあるゲームだった。何しろカニのように横這いしかしないインベーダーと異なり、ギャラクシアンは編隊を組んでこちらに襲い掛かってくるのだ。
任天堂のゲームについては「子供がやるものかよ、ケッ!」的シニカルさで接していた我々は、ナムコの参戦に大喜び。すでに「スーパーマリオブラザーズ」は登場していたものの、以後リリースされる「パックマン」「ゼビウス」「マッピー」「ギャラガ」「ディグダグ」「ドルアーガの塔」まではもう、「ナムコさん、ありがとう!」とゲームセンター大好き小学生からすれば思ってしまったものである。
上記7作品は日本のゲーム史に残る名作揃いだというのは異論はなかろう。だが、第9弾「バトルシティー」もこれまた名作である。ゲームが人を魅了してやまないのは、「ドルアーガの塔」にも見られるように、そしてその後の「ドラゴンクエスト」シリーズや「ファイナルファンタジー」シリーズにも表れるように、「成長する」ことも重要な要素である。ハドソンの「ボンバーマン」はパネルを取ることによりボンバーマンを成長させるのが大きな魅力だったが、「バトルシティー」も同様だったのだ。しかも、2人プレイも可能なため、協力するもよし、邪魔し合うのも良し、という佳作である。
ナムコの「ナンバータイトル」の後期にあたる13弾「タッグチームプロレスリング」は、面白いと言えば面白いのだが、同じ相手と延々試合をする、という点においてダレた面はあったが、裏ワザとして「ハリセン」を使えることなどは嬉しかった。というか、ファミコンにおける「裏ワザ」の元祖といえば、週刊少年ジャンプの袋とじ「ファミコン神拳」に登場した「ゼビウス裏コマンド」だろう。自分が操る「ソルバルウ」が無敵になったり、やたらとゲームの難易度が上がるなど、あまりにも衝撃的だった。
さて、ナムコのファミコンゲームに関しては、初期の「ナンバー」ゲームの記憶が鮮明な方も多いかもしれないが、別パッケージになって登場した「プロ野球ファミリースタジアム」「ファミリージョッキー」「ファミリーボクシング」「三国志 中原の覇者」「ファミリースタジアム'88年度版」はとんでもない名作だった。今でもこれらは時々やっているほどである。(文◎中川淳一郎 連載『俺の昭和史』)
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