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安田純平さん帰国について想うこと 「アメリカ政府がジャーナリズム原則論をコメントした意義」|青木理

TABLO / 2018年11月5日 11時0分


 安田純平さんが解放され、無事帰国した。なによりもそれを喜びたい。

 一部ではいまだに「自己責任論」などを振りかざし、安田さんに罵声を浴びせる連中もいるらしいが、世界でも珍しいほど馬鹿げた議論にこれ以上、私はつきあいたくもない。

 ただ、紛争地での取材やメディア、ジャーナリズムの原則論については、一般の理解があまりに不十分だと思われるので、私がすでに各所で紹介した話ではあるが、本サイト編集長の久田君の許可を得て、ここでも再掲しておきたい(なお、この話は紛争地に限らず、事件・事故や被災地での取材にも同じことがいえる)。

 さて、あらためて記すまでもないことだが、紛争地でジャーナリストやメディア関係者が殺害されたり、人質になったりする事件は日本以外にも各国で起きている。米国務省によれば、たとえば米国では2014年、実に60人ものジャーナリストやメディア関係者が紛争地で死亡したという。

 そこで翌年の2015年1月20日、米国務省はメディア関係者と会合を開いた。テーマは、紛争地取材におけるジャーナリストの安全について。その会合であいさつに立った当時のケリー国務長官は次のように述べている。

「紛争地におけるジャーナリストの危険性を完全に取り除くことはできない。唯一の方法は沈黙することだが、それは降伏と呼ぶべきだ。世界は何が起こっているかを知る必要がある。沈黙は圧政者や暴君に力を与える。専制政治を栄させてしまう」

 その上でこうも語っている。

「ジャーナリストは可能な限り公的機関から独立していなければいけない。しかし政府にもできることがある、我々はそう信じている」(米国務省HPより訳出)

 なんでもかんでも米国がいい、などというつもりはない。米国こそが世界最大の"紛争生産国"ではないか、という皮肉を投げかけることだってできる。

 だが、この発言は、メディアやジャーナリズムの教科書があれば、その1ページ目に記してもおかしくないほどの原則論である。たとえ建前にせよ、政府高官がこうした原則論をきちんと口にできる国と、そうでない国との違いはあまりに大きい。政府高官が建前でも原則論を口にできぬ国がどこか、これもあらためて指摘するまでもないだろう。(文◎青木理 連載『逆張りの思想』)

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